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S級冒険者編
勇者の武器庫
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――古城の宝物庫から無事に大量の魔石の回収を終えたレナは転移リングを使用して戻ると、リーリスが他の仲間達と談笑を行っていた。彼女も人間と話すのは久しぶりなので楽しそうに会話を行う。
「えっ!?あの白竜、元々は飼育されていたのか!?」
「そうですよ、名前はビャクと言います。ついでに言うと子供も孫もいます。子供の方はシロ、孫の方はハクといいます」
「子供と孫まで!?じゃあ、この階層にはどれだけ白竜がいるの!?」
「3体ですね、白竜は単為生殖なので番は必要としません。シロの方は親元を離れて暮らしていますが、ハクの方は父親に付いて行動しています」
「ビャク……そんな可愛らしい名前を付けるなんて、いったい何者よ」
どうやら第五階層に住み着いている白竜に関する話題で盛り上がっている様子だが、レナは自分が必死に働いている間に楽しく団欒している仲間達を見て何となく疎外感を感じながらも皆の元へ急ぐ。
「ただいま、戻ってきたよ」
「あ、お帰りなさい!!レナ君、無事だったんだね!!」
「生きて帰ってきて良かった」
「いや、別にそんな危険な場所に行ったわけじゃ……ああ、別にそうでもないか」
宝箱の罠で危うく死にかけた事を思い出したレナはため息を吐きながらも空間魔法を発動させ、属性ごとに分けて袋詰めした大量の魔石を取り出す
合計で7袋分の魔石を用意すると早速だが中身を開き、大量の魔石を見せつける。その様子を見た仲間達は驚き、ダインに至っては興奮を隠しきれない様子だった。
「うわ、これ全部が魔石なのか!?しかもこれだけの良質な魔石、滅多に手に入らないぞ!?」
「これだけでも凄い価値があるわね……恐らく、全部売却したら国家予算並の金銭が得られるはずだわ」
「え、そんなに!?それは言い過ぎなんじゃ……」
「馬鹿、この魔石一つで金貨10枚はくだらないぞ!?これで僕達は大金持ちだ!!」
「ふむ、どうやら外の世界では相変わらず魔石は価値が高いようですね。私が生まれた時代と変わりはありませんか」
大量の魔石を目の前にして興奮するダインの姿を見てリーリスは考え込み、ここで彼女はある事を思い出したように告げる。
「あ、そういえば忘れてました。実は勇者用の装備品もこの施設の中に保管されているんですけど、良かったらそれも見てみますか?欲しい物があればあげますよ」
「えっ!?いいの!?」
「勇者様が使った装備品がここにあるの!?」
「正確に言えば勇者のために作り出された装備です。一応は300年前の時代に存在した最高級の素材を使用して作り出された装備です。本当は勇者がここへ訪れた時に渡すように指示されてるんですけど、結構な数があるので持って帰ってもいいですよ」
「マジで!?お前、凄い良い奴なんだな!!」
「ちょ、近い近い……どんだけ興奮してるんですか」
魔石だけではなく、勇者のために用意されている装備品も貰えるかもしれないと知ったダインは興奮を隠しきれずにリーリスに詰め寄り、彼女は若干引き気味になりながらも全員を勇者の装備品が保管されている場所に案内するという。
リーリスの案内の元、レナ達が辿り着いたのは施設の最上階の一室らしく、部屋の中には大量のガラスケースが存在した。この世界には硝子は存在しないのだが、地球から材料を持ち込んできたのか強化硝子で構成されたガラスケースが何台も並べられ、武器や防具、装飾品の類が並べられていた。
「どうぞ、好きなのがあったら持って行ってください。気に入ったのがあったら私に話しかけてくれればガラスケースを開けますから」
「うわ、何だこの透明な箱?中身が透け透けじゃん!!」
「変わった水晶ね……いえ、そもそもこれは水晶なのかしら?」
「あっ、この槍……もしかしてトライデント!?槍の勇者が愛用した伝説の槍とそっくりだ!!」
「そちらは複製品ですよ。過去に召喚された勇者の武器を参考にして作り出されたんです。まあ、ぶっちゃけるとここにある全ての代物がオリジナルではなく、本物を参考にして作り出された模造品なんですけどね。でも、性能面はちゃんと優れてますよ」
「へえっ……これは凄いな」
「おおっ……見てるだけで楽しい」
次世代の勇者のために用意された代物だけはあり、並べられている装備品は一級品ばかりだった。だが、残念ながら七大聖剣などの伝説の武器の類までは流石に用意されておらず、リーリスによると彼女が生まれた時代の中でも最高峰の素材を利用して作り出された模造品が並べられているという。
中にはレナが愛用している「退魔のローブ」などの品物も存在し、他にも聖剣や魔剣ほどではないが優れた武器は存在した。その中にはレナがかつて愛用していた「反鏡剣」も存在した。
「あ、これ反鏡剣!?ここにもあったのか……」
「気に入りましたか?良かったら差し上げますよ」
「う~ん……」
失ってしまった反鏡剣が再び手に入る機会が訪れ、レナは考え込む。一応は守護者から回収した大太刀を所有しているが、長い間扱いなれた武器と言うとこちらの反鏡剣の方がレナに適している。
「えっ!?あの白竜、元々は飼育されていたのか!?」
「そうですよ、名前はビャクと言います。ついでに言うと子供も孫もいます。子供の方はシロ、孫の方はハクといいます」
「子供と孫まで!?じゃあ、この階層にはどれだけ白竜がいるの!?」
「3体ですね、白竜は単為生殖なので番は必要としません。シロの方は親元を離れて暮らしていますが、ハクの方は父親に付いて行動しています」
「ビャク……そんな可愛らしい名前を付けるなんて、いったい何者よ」
どうやら第五階層に住み着いている白竜に関する話題で盛り上がっている様子だが、レナは自分が必死に働いている間に楽しく団欒している仲間達を見て何となく疎外感を感じながらも皆の元へ急ぐ。
「ただいま、戻ってきたよ」
「あ、お帰りなさい!!レナ君、無事だったんだね!!」
「生きて帰ってきて良かった」
「いや、別にそんな危険な場所に行ったわけじゃ……ああ、別にそうでもないか」
宝箱の罠で危うく死にかけた事を思い出したレナはため息を吐きながらも空間魔法を発動させ、属性ごとに分けて袋詰めした大量の魔石を取り出す
合計で7袋分の魔石を用意すると早速だが中身を開き、大量の魔石を見せつける。その様子を見た仲間達は驚き、ダインに至っては興奮を隠しきれない様子だった。
「うわ、これ全部が魔石なのか!?しかもこれだけの良質な魔石、滅多に手に入らないぞ!?」
「これだけでも凄い価値があるわね……恐らく、全部売却したら国家予算並の金銭が得られるはずだわ」
「え、そんなに!?それは言い過ぎなんじゃ……」
「馬鹿、この魔石一つで金貨10枚はくだらないぞ!?これで僕達は大金持ちだ!!」
「ふむ、どうやら外の世界では相変わらず魔石は価値が高いようですね。私が生まれた時代と変わりはありませんか」
大量の魔石を目の前にして興奮するダインの姿を見てリーリスは考え込み、ここで彼女はある事を思い出したように告げる。
「あ、そういえば忘れてました。実は勇者用の装備品もこの施設の中に保管されているんですけど、良かったらそれも見てみますか?欲しい物があればあげますよ」
「えっ!?いいの!?」
「勇者様が使った装備品がここにあるの!?」
「正確に言えば勇者のために作り出された装備です。一応は300年前の時代に存在した最高級の素材を使用して作り出された装備です。本当は勇者がここへ訪れた時に渡すように指示されてるんですけど、結構な数があるので持って帰ってもいいですよ」
「マジで!?お前、凄い良い奴なんだな!!」
「ちょ、近い近い……どんだけ興奮してるんですか」
魔石だけではなく、勇者のために用意されている装備品も貰えるかもしれないと知ったダインは興奮を隠しきれずにリーリスに詰め寄り、彼女は若干引き気味になりながらも全員を勇者の装備品が保管されている場所に案内するという。
リーリスの案内の元、レナ達が辿り着いたのは施設の最上階の一室らしく、部屋の中には大量のガラスケースが存在した。この世界には硝子は存在しないのだが、地球から材料を持ち込んできたのか強化硝子で構成されたガラスケースが何台も並べられ、武器や防具、装飾品の類が並べられていた。
「どうぞ、好きなのがあったら持って行ってください。気に入ったのがあったら私に話しかけてくれればガラスケースを開けますから」
「うわ、何だこの透明な箱?中身が透け透けじゃん!!」
「変わった水晶ね……いえ、そもそもこれは水晶なのかしら?」
「あっ、この槍……もしかしてトライデント!?槍の勇者が愛用した伝説の槍とそっくりだ!!」
「そちらは複製品ですよ。過去に召喚された勇者の武器を参考にして作り出されたんです。まあ、ぶっちゃけるとここにある全ての代物がオリジナルではなく、本物を参考にして作り出された模造品なんですけどね。でも、性能面はちゃんと優れてますよ」
「へえっ……これは凄いな」
「おおっ……見てるだけで楽しい」
次世代の勇者のために用意された代物だけはあり、並べられている装備品は一級品ばかりだった。だが、残念ながら七大聖剣などの伝説の武器の類までは流石に用意されておらず、リーリスによると彼女が生まれた時代の中でも最高峰の素材を利用して作り出された模造品が並べられているという。
中にはレナが愛用している「退魔のローブ」などの品物も存在し、他にも聖剣や魔剣ほどではないが優れた武器は存在した。その中にはレナがかつて愛用していた「反鏡剣」も存在した。
「あ、これ反鏡剣!?ここにもあったのか……」
「気に入りましたか?良かったら差し上げますよ」
「う~ん……」
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