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真・闘技祭編
カノン改めシェル
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「なるほど……カノンという人間は死んだことにさせたいのね」
「え?そ、それはどういう意味ですか?」
「……大将軍と言えど、カノンが犯した罪は大きい。本来であれば死罪であってもおかしくはないが、そもそも彼女は正式な手順で大将軍になった人間ではない。元々は傭兵だった」
「ええ、その話は聞いていますが……」
カノンが大将軍に昇格したのはイレアビトの推挙があったからであり、当時はバルトロス王国の実権を握っていた彼女の決めた人事に誰も逆らう事は出来ない。カノンは大将軍となっても部下は作らず、あくまでもイレアビトの命令を受けた時にしか動かなかった。
逆に言えばカノンのこれまでの行為は全てイレアビトの命令に従っただけに過ぎず、彼女自身は別に命令を降す相手が誰であろうと仕事であれば遂行するのが彼女の役目だった。なので命令を降す大将がイレアビトからナオに代わろうと彼女に不満はない。
しかし、現実問題としてカノンを復帰させるのは難しく、世間では彼女は反乱に参加した大将軍という位置づけである。なのでナオはカノンという将軍を処刑した事にして改めて「シェル」という名前のワルキューレ騎士団に所属する女性隊員という立場を与えた。
「カノンという人間は先日、私の判断で処刑を降した。だからもうこの世にはいない……つまり、ここにいるのはカノンではない、シェルという名前のワルキューレ騎士団の見習い隊員だ」
「見習い隊員……」
「大将軍から一気に降格したわね」
「ううっ……正体が気づかれないようにするためとはいえ、私の髪の毛を切ってしかもこんな髪色に染めるなんて……」
現在のカノンは容姿で正体を気づかれないように髪を短髪に切りまとめられ、更に髪の毛の方も染めていた。それに制服に着替えた事で一見するだけではカノンと気づく事はないだろう。レナ達が気づけたのは彼女と死闘を繰り広げた仲なのでカノンの顔が印象強く残っていたが、他の人間はカノンの正体を見抜く事はないだろう。
元々、カノンは大将軍という立場でありながらあまり世間では目立ってはいない。彼女の役割は裏から敵を暗殺する存在としてイレアビトが雇い入れただけに過ぎず、カノンの存在を知る人間は意外と少ない。イレアビトが信用する配下(子供)たちは年齢が幼く、未熟な部分があるため、彼等に任せられない仕事をカノンに任せていた。
「それではここにいるカノン……いえ、シェルが5人目の代表選手という事でよろしいのですか?」
「いや、各国の代表選手は4名までしか出せない事が決定している。だからシェルの場合は予選から参戦してもらい、優勝を目指して貰いたい」
「ちょっと、待ちなさいよ!?私はこんな格好にまでされたのに予選から頑張れというの!?」
「カノン!!いえ、今はシェルでしたね……女王様に向かってなんて口の利き方を!!」
「うるさいわね!!私は約束したのよ、この闘技祭で活躍すれば罪は帳消し、そして莫大な報酬を用意するとね!!私は国に仕える気なんてないわよ!1」
カノン改めシェル曰く、彼女がナオに協力するのはあくまでも闘技祭の開催期間に過ぎず、それ以降は国を離れるつもりらしい。元々、イレアビトとの関係も彼女は服従を誓っていたわけではなく、あくまでもビジネスパートナーのように接していたらしい。
シェルは誰にも従わず、仕事は選ばない事を信条としているらしく、どんな人間だろうとシェルが納得する金額の報酬を約束してくれるならば彼女は従う。それが傭兵のシェルの信条だという。
「私が今回の仕事を引き受けた条件は自分のためよ、でも仕事である以上は全力を尽くす。それでいいでしょ?」
「全く、何の反省の色も見せませんね……本当にこの方を釈放してもよろしいのですか?」
「ううむ……確かに不安はあるが、だが残念な事に彼女程の腕前の実力者は国内にはいないだろう。悪いが、闘技祭の間までは頼んだ」
「ふん、素直にそう言えば良いのよ!!」
「という事はこれで役者は全員揃ったという事ね」
シズネは周囲を見渡し、剣星であるジャンヌ、大将軍のレミア、元大将軍のシェル、そしてレナを見て確かに現時点でバルトロス王国の出身の武芸者の中でも腕の立つ人間が揃った事を認める。だが、相手をするのは各国から集まった猛者だけではなく、世界中から集まった武芸者も警戒しなければならない。
「やはり、戦力不足は否めないわね……出来ればもう少し人員を集めたい所だわ」
「え?でも代表枠は4人まででしょ?」
「代表は4人でも予選に参加して勝ち残る人材はいくらいてもいいでしょう?その点では一番有利なのはヨツバ王国ね、確実にあの国が最大の難関だわ」
「六聖将に王国四騎士、それに剣聖のシュン、ハヤテ、ゴウライ……確かにヨツバ王国が闘技祭の最大の強敵となるでしょう」
他の人間もナオの言葉に頷き、確かにバルトロス王国と比べてヨツバ王国出身の武芸者は数多く、闘技祭で戦う事になれば最も苦戦が予想された。
「え?そ、それはどういう意味ですか?」
「……大将軍と言えど、カノンが犯した罪は大きい。本来であれば死罪であってもおかしくはないが、そもそも彼女は正式な手順で大将軍になった人間ではない。元々は傭兵だった」
「ええ、その話は聞いていますが……」
カノンが大将軍に昇格したのはイレアビトの推挙があったからであり、当時はバルトロス王国の実権を握っていた彼女の決めた人事に誰も逆らう事は出来ない。カノンは大将軍となっても部下は作らず、あくまでもイレアビトの命令を受けた時にしか動かなかった。
逆に言えばカノンのこれまでの行為は全てイレアビトの命令に従っただけに過ぎず、彼女自身は別に命令を降す相手が誰であろうと仕事であれば遂行するのが彼女の役目だった。なので命令を降す大将がイレアビトからナオに代わろうと彼女に不満はない。
しかし、現実問題としてカノンを復帰させるのは難しく、世間では彼女は反乱に参加した大将軍という位置づけである。なのでナオはカノンという将軍を処刑した事にして改めて「シェル」という名前のワルキューレ騎士団に所属する女性隊員という立場を与えた。
「カノンという人間は先日、私の判断で処刑を降した。だからもうこの世にはいない……つまり、ここにいるのはカノンではない、シェルという名前のワルキューレ騎士団の見習い隊員だ」
「見習い隊員……」
「大将軍から一気に降格したわね」
「ううっ……正体が気づかれないようにするためとはいえ、私の髪の毛を切ってしかもこんな髪色に染めるなんて……」
現在のカノンは容姿で正体を気づかれないように髪を短髪に切りまとめられ、更に髪の毛の方も染めていた。それに制服に着替えた事で一見するだけではカノンと気づく事はないだろう。レナ達が気づけたのは彼女と死闘を繰り広げた仲なのでカノンの顔が印象強く残っていたが、他の人間はカノンの正体を見抜く事はないだろう。
元々、カノンは大将軍という立場でありながらあまり世間では目立ってはいない。彼女の役割は裏から敵を暗殺する存在としてイレアビトが雇い入れただけに過ぎず、カノンの存在を知る人間は意外と少ない。イレアビトが信用する配下(子供)たちは年齢が幼く、未熟な部分があるため、彼等に任せられない仕事をカノンに任せていた。
「それではここにいるカノン……いえ、シェルが5人目の代表選手という事でよろしいのですか?」
「いや、各国の代表選手は4名までしか出せない事が決定している。だからシェルの場合は予選から参戦してもらい、優勝を目指して貰いたい」
「ちょっと、待ちなさいよ!?私はこんな格好にまでされたのに予選から頑張れというの!?」
「カノン!!いえ、今はシェルでしたね……女王様に向かってなんて口の利き方を!!」
「うるさいわね!!私は約束したのよ、この闘技祭で活躍すれば罪は帳消し、そして莫大な報酬を用意するとね!!私は国に仕える気なんてないわよ!1」
カノン改めシェル曰く、彼女がナオに協力するのはあくまでも闘技祭の開催期間に過ぎず、それ以降は国を離れるつもりらしい。元々、イレアビトとの関係も彼女は服従を誓っていたわけではなく、あくまでもビジネスパートナーのように接していたらしい。
シェルは誰にも従わず、仕事は選ばない事を信条としているらしく、どんな人間だろうとシェルが納得する金額の報酬を約束してくれるならば彼女は従う。それが傭兵のシェルの信条だという。
「私が今回の仕事を引き受けた条件は自分のためよ、でも仕事である以上は全力を尽くす。それでいいでしょ?」
「全く、何の反省の色も見せませんね……本当にこの方を釈放してもよろしいのですか?」
「ううむ……確かに不安はあるが、だが残念な事に彼女程の腕前の実力者は国内にはいないだろう。悪いが、闘技祭の間までは頼んだ」
「ふん、素直にそう言えば良いのよ!!」
「という事はこれで役者は全員揃ったという事ね」
シズネは周囲を見渡し、剣星であるジャンヌ、大将軍のレミア、元大将軍のシェル、そしてレナを見て確かに現時点でバルトロス王国の出身の武芸者の中でも腕の立つ人間が揃った事を認める。だが、相手をするのは各国から集まった猛者だけではなく、世界中から集まった武芸者も警戒しなければならない。
「やはり、戦力不足は否めないわね……出来ればもう少し人員を集めたい所だわ」
「え?でも代表枠は4人まででしょ?」
「代表は4人でも予選に参加して勝ち残る人材はいくらいてもいいでしょう?その点では一番有利なのはヨツバ王国ね、確実にあの国が最大の難関だわ」
「六聖将に王国四騎士、それに剣聖のシュン、ハヤテ、ゴウライ……確かにヨツバ王国が闘技祭の最大の強敵となるでしょう」
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