不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・闘技祭編

カノンの先祖は……

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(あの王子や森人族のガキに負けたのは私が油断していたからね。その点は反省しないといけないわ……もう少し、癪だけど、身体を鍛えなおす必要があるわね)


イレアビトと出会う前のカノンは傭兵として暮らし、戦場で様々な敵と戦ってきた。この頃の彼女は魔銃の力に頼るだけではなく、己自身も危険を犯して相手に立ち向かっていた。いつの間にかイレアビトのお陰で裕福な生活を送り続けた事で身体が訛っていた事を嫌でも思い知らされる。

魔銃の手入れを終えた後、カノンは牢獄で閉じ込められていたせいで碌な食事もありつけず、痩せ細った身体を見てため息を吐き出す。だが、牢獄に閉じ込められていた事に関して別に彼女は恨みは抱いておらず、むしろ生かされているだけでも幸運だと思っていた。


(あの女に従っていた時から覚悟はしていたけど、やっぱり私は賞金稼ぎの方が気が楽ね。あら、なにかしらこの青くて柔らかいの……って、スライム!?)


魔石を削り取って弾丸の製作を行おうとしたとき、何処からから現れたのかスラミンがカノンの前に現れた。彼女は唐突に現れたスライムに驚くが、スラミンはカノンの顔立ちを見て何かを考え込むような表情を浮かべる。


「ぷるぷるっ」
「な、何よあんた……いっておくけど、魔石はあげないわよ!?」
「ぷるるんっ♪」
「ちょ、何よ!?こら、頭に乗るんじゃないの!!」
「あら……何を騒いでいると思えばスラミンじゃない。またレナに付いて来ていたのね」


スラミンはカノンの頭の上に乗り込み、嬉しそうに頭の上で跳ねる。そのスラミンの行動にカノンは慌てふためき、頭から落とそうとしたが騒ぎを聞きつけたシズネが近寄ってきた。

ジャンヌとの組手の方もひと段落が着いたらしく、地面の上に汗だくの状態で膝を付くジャンヌと、汗を掻いているが彼女ほどは疲労していないシズネがカノンの元へ近寄る。自分にじゃれついてくるスライムの飼い主がシズネかと思ったカノンは文句を告げるた。


「ちょっと、こいつあんたのスライムなの!?離れさせなさいよ、私の魔石を食べさせるつもりじゃないでしょうね!?」
「大丈夫よ、この子は勝手に他人の物を食べたりしないわ。ほら、スラミン……こっちに来なさい」
「ぷるぷるっ(もうちょっとだけ)」
「ちょ、離れなさいって……もうっ!!」


カノンの頭の上が気に入ったスラミンは離れる様子はなく、いったいどうして自分に懐いてくるのかとカノンは戸惑うが、スラミンはカノンの顔を見て遥か昔、まだバルトロス帝国が存在した時代の事を思い返す――





――スラミンは帝国が初級魔術師の勇者が召喚された時代、色々とあっ勇者の元で世話になっていた。勇者のペットとしてスラミンは様々な人物と出会い、その中にカノンとそっくりな女性が存在した。名前はもう遥か昔の事なので思い出せないが、元々は魔王軍の幹部だったのだが色々とあって勇者側の味方に付き、何だかんだで魔物に好かれやすい女性だった。

その女性と同じ雰囲気と外見を誇るカノンを見た時点でスラミンは懐かしく思い、昔を思い出すようにカノンにじゃれつく。カノンは自分から離れようとしないスラミンにうんざりとした表情を浮かべるが、それほど嫌がってはいないのか諦めるようにスラミンの好きにさせる。


「はあ、もう好きにしなさいよ。でも、邪魔をするようなら今度は本気で怒るわよ?」
「ぷるんっ(分かった)」
「へえ……スライムは悪人には懐かないと聞いているけど、どうやら貴方も根っからの悪人ではないようね」
「余計なお世話よ!!用がないのならあっちに行きなさいよ、こっちはあんた達と違って予選を勝ち進まないといけないのよ!?」


各国の代表枠は4名と決まっているため、レナ達の中で誰か一人は予選から参加しなければならない。そのためにカノンは自分が予選から戦う事を言い渡され、面倒ではあるが予選を勝ち抜くためにも彼女は装備の点検と準備を勧めなければならなかった。

今回の闘技祭の規模は前回とは比べ物にならず、世界中の高名な武芸者も多くが参加する。そのため、カノンの最初の目標は予選を勝ち残り、何としても本選に出場しなければならない。


「魔銃将軍カノン……噂通りの実力である事を期待しているわ」
「はあっ?あんた、私の事を馬鹿にしているの……いいわ、最強の傭兵だか何だか知らないけど、男も知らないようなガキが調子に乗らないでほしいわね」
「お、男は関係ないでしょう!!そういう貴方は男を知っているの!?」
「し、知ってるわよ!!もう何人もの男と一緒に寝た事があるわ!!」


シズネはカノンの言葉に反射的に言い換えると、カノンも負けじととんでもない発言を繰り出す。彼女の言葉にシズネは驚いた表情を浮かべ、頬を赤らめながら言い返す。


「何人も!?こ、この淫乱!!」
「だ、誰が淫乱よ!?誤解しないで頂戴、寝たといっても別にそういう意味じゃ……」
「じゃあ、どういう意味よ!?」
「えっと……と、ともかくそういう意味よ!!」
「だからどういう意味よ!?」
「ぷるるんっ(やれやれだぜ)」


互いに恋人も作った事がない女同士の言い争いにスラミンは呆れた表情を浮かべ、二人の喧嘩を黙って眺めていた――





※カノンの先祖は最弱職でも中盤から急にヒロインのような扱いになったキャラクターです(^ω^)
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