不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・闘技祭編

聖痕の所有者達

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「結論から言えば今回の闘技祭はバルトロス王国側が不利だからよ」
「不利?」
「巨人国、獣人国はともかく、和国やヨツバ王国には腐るほど武芸者が勢揃いしているからね。その一方でバルトロス王国の出身の武芸者の中で闘技祭を勝ち残れそうな人員と来たら、レナやレミア、ジャンヌやシズネぐらいだからね」
「ええっ……いや、でもレナなら優勝ぐらい出来るんじゃないのか?」


ダインにとって最強の剣士といえばレナしか思いつかず、普通に彼はレナが闘技祭で優勝すると思っていた。しかし、そんなダインの考えが甘いとばかりにバルはため息を吐く。


「確かにレナは強くなった、それは認めるよ。もう全盛期のアイラさんよりも強いかもしれない……けどね、レナ一人でゴウライをどうにか出来ると思うのかい?」
「うっ……で、でもシズネとかもいるし……」
「そのシズネとレナが戦う場合もあるかもしれないだろ?闘技祭は予選の後は抽選で組み分けが行われる。その場合、レナ達だって敵同士になるかもしれない」
「あ、そっか……いや、それなら尚更僕が出場する意味が分からないんだけど!?」


バルの言葉にダインは納得しかけたが、バルトロス王国側の人員が不利であるというのならばどうして自分が参加しなければならないのかと戸惑う。今回の闘技祭の主役は武芸者達であり、魔術師の自分が何の役に立つのかと問うと、マリアが代わりに説明する。


「一言で言えば貴方は捨て駒になって欲しいという事よ」
「捨て駒!?」
「おいおい、マリア……流石にその言い方は酷くないかい?」
「下手に誤魔化すよりも素直に答えた方がいい時もあるのよ。ダイン、貴方には才能がある。なら、その才能を生かして友人を救ってみなさい」
「ぼ、僕が?」


マリアの言葉にダインは戸惑い、まさか世界一と言っても過言ではない魔術師に才能があると言われて喜ばないはずがない。しかし、最初の「捨て駒」という言葉にダインは引っかかりを覚え、いったい自分に何を差せる気なのかと戸惑う。

会話の最中にマリアはダインに向けて掌を構え、そのマリアの行動にダインは戸惑うが、唐突にダインの身体に刻まれている聖痕が発熱する。突如として聖痕の痣が熱くなった事にダインは驚き、悲鳴を上げた。


「熱っ……な、何だ!?」
「やはりね、貴方もレナと同じく聖痕の所有者だったね」
「聖痕?なんだいそれ?」
「あ、その紋様……ダイン君が魔法を発動させるときによく浮き出るよね」
「……詳しく説明すると長くなるから、簡単に話すと魔法の力を増幅させる能力の事よ」


ダインがや闇の聖痕を抑えるとバルは初めてダインの身体に黒色の満月のような紋様が刻まれている事に気づき、ミナも思い出したように呟く。ダインは闇の聖痕を受け継いでいる事に関してはマリアも薄々勘付いており、彼女は掌を下げると聖痕の発熱が収まる。

聖痕に関してはダインも話は伺っているが、どうしてマリアが掌を向けただけで聖痕が発動したのか気にかかり、ダインはある事に気づく。それはレナと共に戦っているとき、レナが風の聖痕を使う時にダインの聖痕も僅かに反応していた事を思い出す。ここでダインはマリアが聖痕の所有者なのかと驚いた。


「ま、まさか……あんたも聖痕を持ってるのか!?」
「いえ、私は残念ながら持ってはいないわ……けれど、聖痕を持つ存在と共に暮らしていた時期がある。だから私は聖痕を見分ける事が出来るわ」
「聖痕を見分ける……そ、そういえば前にレナがレミア大将軍も聖痕の持ち主だといっていたけど、そもそもこの聖痕は何なんだ?」
「それは私にも分からないわね。風の聖痕に関してはハヅキ家の人間が代々受け継ぐ能力だけど、他の聖痕に関しては一切の情報がないわ。一つだけ判明している事は聖痕の所有者は7人存在する事……そのうちの4人は貴方も知っている人物よ」
「えっ……さ、3人?」


マリアの言葉にダインは戸惑い、自分を覗いた聖痕の所有者の心当たりなどレナとレミアしか思いつかず、あと2人は誰なのかと戸惑うと、マリアは意外な人物の名前を口にした。


「ホムラとゴウライ……この二人も聖痕の所有者よ」
「はあっ!?ほ、ホムラにゴウライ!?」
「誰だい?ホムラって……?」
「それって……六聖将の!?」


ホムラの名前はバルは聞いた事ぐらいしかなく、ミナもマリアの言葉に驚くが、ダインとしてはゴウライが聖痕の所有者である事に度肝を抜く。ホムラも所有者である事は驚いたが、ゴウライも聖痕を所有している事の方が予想がいだった。

マリアはゴウライはともかく、ホムラとは接点がないように思われたが、彼女は先日にヨツバ王国でホムラと遭遇した時に彼女が聖痕の所有者である事を見抜く。同時にゴウライに関してはつい最近に彼女が普段身に付けていた鎧を外したときに聖痕の所有者だと気づいたという。
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