不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・闘技祭編

修行難航

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――闘技祭の開催まで二か月、それまでにレナ、シズネ、ジャンヌはアイラの指導の下で魔刀術の鍛錬に励む。最も最初から魔鎧術を扱えたレナと違い、シズネとジャンヌの場合はまずは自分の魔力を実体化させるという事に非常に苦労していた。


「くっ……これは、結構きついわね」
「頭が割れそうに痛いです……」


シズネとジャンヌは訓練用の木刀に自身の魔力を流し込み、実体化させようと試みるが上手くいかない。シズネの場合は魔力を送り込もうとすると木刀が凍り付き、砕けてしまう。一方でジャンヌの方はそもそも魔力を流し込む事すら出来ない。

人魚族の血を継いでいるシズネは戦闘職ではあるが魔力に関しては恵まれており、性質的にも彼女の魔刀術は水属性の適性が高い。一方でジャンヌの方は残念ながら彼女は生粋の剣士であるため、魔力方面に関しては恵まれておらず、魔刀術を発動するだけでも苦労していた。


「くっ……もう一度!!」
「その調子よ、レナちゃん!!目で見て斬るのではなく、肌で感じて斬るのよ!!」


一方でレナの方は魔刀術の状態で魔法を斬る練習を行い、現在はアイラが手配した魔法兵(魔術師の称号を持つ兵士)が放つ砲撃魔法を切り裂く練習を行う。訓練内容は複数名の魔術師が同時に魔法を発動させ、レナに打ち込むという内容だった。


「ファイアボール!!」
「サンダーランス!!」
「スプラッシュ!!」
「はあっ、せいっ、このっ……うわぁっ!?」
「もう、だから言ってるでしょ!?斬る事だけに集中しては駄目、ちゃんと刀身に魔力を維持した状態で戦いなさい!!」


木刀に魔刀術を発動させたレナは四方八方から撃ち込まれる炎、電撃、水の砲撃魔法に対して切りかかるが、二発までは問題なく切れるのだが三発目は防ぎきれずに木刀が破壊されてしまう。砲撃魔法を受ける度に木刀に纏う魔力がかき消されそうになり、魔力を維持した状態で戦うのは予想以上にきつい。

それでも修行している人間の中ではレナが一番成果を上げているのは間違いなく、その様子を見たシズネは木刀に魔力を流し込む事に集中する。普段から彼女は雪月花に魔力を送り込む事で魔力を流し込む感覚は掴んでいたのが幸いし、遂に魔刀術の発動に成功する。


「……これが、私の魔刀術」


シズネの手元には全体が青色の氷に包まれたような木刀が握りしめられ、氷は異様なまでの冷気を放っていた。それを確認したシズネは剣を振り払い、問題なく扱える事を確認するとアイラが感心した声を上げる。


「あら……やっぱり、シズネちゃんは水属性の適性が高かったのね。完全に使いこなせるようになれば「冷気」も操れるようになると思うわ」
「冷気、ですか?」
「ええ、私達のような火属性の適性がある人間は武器に炎の魔力を纏わせて温度を上昇させる事も出来るわ。風属性の魔刀術の場合は風圧を生み出す事も出来る。単純に武器に魔力を纏わせるだけでは真の魔刀術とは言えないから気を付けてね」
「なるほど、分かりました……」
「あ、あの……私の場合はそもそも適性があるのでしょうか?」


遂にシズネまで完全に魔刀術を習得したのを見てジャンヌは不安な表情を浮かべるが、そんな彼女に対してアイラは安心させるように微笑む。


「大丈夫よ。ジャンヌちゃんも練習すれば必ず魔刀術は習得出来るわ。戦闘職の人間といっても、必ず自分の適した魔法の属性は存在するわ。焦らず、頑張って励むのよ」
「は、はい!!」
「ふうっ……そういえばレミアさんとシェルはどんな訓練をしてるんだろう?」


訓練を一時中断してレナは木刀を下すと、この場に存在しないレミアとシェルが何をしているのかを気になる。レミアに関しては魔刀術の訓練は行わず、そもそも彼女の場合はこの場の誰よりも完璧に魔鎧術を扱える事が出来る。幼少期からレミアは自身の魔力を実体化させる術は身に付け、本来ならば攻撃には不向きの聖属性の魔力を巧みに操作して戦闘を行う術を身に付けていた。



――現在のレミアはナオの許可を得て聖剣を受け取り、その修行に励んでいる事はレナ達も知らされていない。理由としてはレミアが修行に専念したいという意図をくみ取り、ナオから彼女は別々に修行を行う事を伝えてある。一方でシェルに関しては少し前前では魔銃の手入れや弾丸の製作に励んでいたが、最近は姿を見ていない。



まさかとは思うが逃げ出したのではないかと誰もが思った時、訓練場にシェルが訪れる。彼女はレナ達と最初に出会った時のように露出が激しい恰好をしており、腰には二丁拳銃を差していた。その様子を見てレナ達は驚き、明らかに元々シェルが装備していた魔銃とは銃の形状が違ったのだ。


「……待たせたわね、やっと私の銃の改造も終わった」
「シェル、さん……そ、その恰好はなんですか!?破廉恥です!!」
「ああ、これはあたしの戦闘着よ。普段は動きやすさを重視したこの格好に行きついたわけ、どう似合ってる?」


胸元をやたら強調してくる服装を見てジャンヌは恥ずかし気に頬を赤く染め、シズネは忌々しそうな表情を浮かべ、レナは少し目のやり場に困り、アイラは「まだまだね」とばかりにビキニアーマーを装着している自分を見て露出度が低い事に何故か勝ち誇った表情を浮かべる。




※衝撃の新事実!!アイラはビキニアーマーを当たり前のように装着していた(; ゚Д゚)
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