不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

僕を舐めるなよ!!

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(――くそ、あの爺……僕の身体に何をしたんだよ!?)


自分の影魔法が思うように扱えない事にダインは歯を食いしばり、そもそも自分がこんな状況に陥ったのは全て七魔将にして自分の先祖を名乗ったブラクのせいだと思い出す。彼が現れなければダインは今頃はこんな場所で魔物を相手に戦わされる事もなく、平穏に暮らせていただろう。


(あの爺、絶対に許さないぞ!!僕の手でぶっ倒してやる!!)


ダインは自分の先祖であろうが関係なく、必ずブラクを自分の手で倒す事を誓う。だが、その前にまずはこの状況を切り抜けなければならず、影魔法の拘束から解除されたロックゴーレムはダインに向けて拳を振りかざしていた。


「ゴオオッ!!」
「うわぁっ!?」


意識を現実に戻されたダインはゴーレムの拳を身体を仰け反らせて回避する事に成功するが、ゴーレムの方は攻撃の手を止めずに今度は右足を繰り出そうとした。その攻撃に対して反射的にダインはバル仕込みの喧嘩術を披露した。


「させるか!!シャドウ・ウィップ!!」
「ゴアッ!?」


相手が右足を繰り出すために左足だけが地面に立った状態に陥ると、ダインは一瞬だけ影魔法を発動させ、足元を振り払う。片足で体制バランスを保っていたゴーレムは足元を振り払われて後ろ向きに倒れ込み、その隙にダインは距離を取る。

家を追い出されて冒険者として生きてきた頃、ダインはまだ若かりし頃のバルに指導を受けていた時期がある。魔術師である彼が純粋な剣士であるバルに教えを受けるなど変な話に思えるが、闇魔導士であるダインは普通の魔術師のようには生きていけず、そもそも闇魔導士の称号を持つ人間が少なかったので教えを受ける事も出来なかった。


『ダイン、あんたは魔術師だからどう頑張っても戦闘職の奴等には腕力では敵わない。だけどね、あんたには腕力の代わりに魔法という大きな味方がいるんだ。だったらその魔法の力を生かした戦い方を身に付けな』
『勘単に言うなよ……僕の魔法が何の役に立つんだよ!?』
『馬鹿野郎!!あんたの魔法をあんたが信じないでどうするんだい!?あんたにはそれしか取り柄がないんだから諦めずに頑張りな!!』
『いや、その言い方は酷くない!?』


まだダインが自分の影魔法の真価に気付かず、不貞腐れていた頃にバルは叱咤し、彼の扱う影魔法が戦闘においてはどれほど役立つのかを説く。そのお陰でダインは影魔法の真の使い方を知り、遂には闘技祭に出場して仲間の力を借りたとはいえ、あの最強の剣士を追い込むほどの力を手に入れた。


(僕はレナのように戦えない……だけど、レナだって僕みたいに戦えないんだ!!)


同じ魔術師でありながらレナの場合は肉体を鍛え上げ、自分の支援魔法の力で戦闘職の人間と対等以上に戦える力を身に付けた。だが、ダインの場合はレナのような真似は出来ない。しかし、彼を無理して真似する必要はなく、ダインは自分なりの方法で一人で戦う術を身に付ければいい。

仲間に頼れずともダインは自分一人で戦う術はバルから仕込まれており、昔を思い出す。まだレナ達と出会っていなかった頃、ダインは一人で仕事を行っていた。最初の頃は闇魔導士と知ると他の冒険者達は手を組んでくれず、彼の事を冷遇した。


『はあ、闇魔導士?砲撃魔法も使えないのかよ』
『影魔法ってなによ?そんなので敵を倒せるわけ?』
『相手の動きを止めるだけで精いっぱいなんて……何の役に立つわけ?』


冒険者になりたての頃はダインが他の冒険者から自分の職業を馬鹿にされていた事もあった。普通の魔術師ならば高火力の「砲撃魔法」と呼ばれる魔法が扱えるのに対し、彼の場合は影魔法しか使えなかった。しかもレナの場合と違い、影魔法の場合は初級魔法と組み合わせる事も出来ない。

それでもダインは冒険者を続けてきたのは彼の影魔法のお陰であり、バルとの指導を受けた事でダインは影魔法の使い道を模索し、遂には他の冒険者からも認められる存在へと成長を果たす。


「僕を……舐めるなぁっ!!」
「ゴオオッ!?」
「う、嘘だろおい!?」
「あんなガキがゴーレムを!?」


ダインがロックゴーレムを転倒させた光景を見た者達は驚きを隠せず、他の囚人や看守でさえも動揺を隠せない。先ほどのミノタウロスの看守も感心したような表情を浮かべ、一方でダインは右腕を抑えながらも一瞬だけならば影魔法を発動しても問題ない事を悟る。


(よし、数秒ぐらいならいつも通りに影魔法が使える……でも、どうやって倒せばいいんだ!?)


ロックゴーレムを転ばせる事には成功したが、それだけでは当然だが倒せるはずがない。ダインの影魔法は攻撃能力はなく、仮にシャドウマンなどの影人形を作り出して戦わせても損傷は与えられない。ましてや現在は数秒しか影魔法を維持できず、普段のようには戦えない。
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