不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

やっぱりかませ犬だったのか……

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「くそ、やってやる!!俺が相手だ!!」
「ほう、ケマイヌか……性懲りもなくまた試験を受けに来たのか」
「うるせえっ!!その余裕も今の内だ……おい、そこの兵士!!剣を寄越せ!!」
「何だと!?」


ケマイヌは闘技台に移動すると、あろう事か兵士に対して堂々と剣を寄越す様に要求してきた。仮にも囚人が兵士に武器を求めるなど有り得ない話だが、パセリは気にした風もなく渡す様に指示を出した。


「構わん、渡してやれ」
「し、しかし看守長……」
「いいから渡せ、最初に行ったはずだ。ここにある物なら何でも使っても構わないとな」
「ふんっ、調子に乗りやがって……」


あっさりとパセリはケマイヌが兵士が身に付けている本物の剣を渡す様に促すと、兵士から剣を受け取ったケマイヌは剣を抜き放ち、パセリと向かい合う。パセリは腕を組んだ状態から動かず、余裕の態度を保つ。

武器を手に入れたケマイヌだが、状況が不利である事は変わりはなく、彼はパセリの雰囲気に圧倒されて不用意に動けなかった。だが、何時までも向かい合うわけにもいかずに彼は覚悟を決めた様に剣を振り下ろす。


「くたばれ、兜割りっ!!」
『おおっ!?』


ケマイヌは戦技を発動させ、パセリに切りかかると金属音が鳴り響き、囚人達が驚愕の声を上げる。ケマイヌが振り下ろした刃は確かにパセリの腕に衝突下が、あろうことか切り付けた刃の方が折れてしまい、折れた刃は闘技台の上に落ちた。


「なっ……け、剣がっ!?」
「阿呆が……お前の力では俺に傷一つ付ける事は出来ん」


自分の手にしていた剣が折れた事にケマイヌは唖然とするが、そんな彼に対してパセリはつまらなそうな表情を浮かべ、切り付けられた腕を覗き込む。刃物で切り付けられたにも関わらずにパセリの腕には掠り傷一つもなく、逆に斬りつけようとした剣の方が折れてしまった。

囚人達は正面から刃を受けて逆に破壊したパセリの肉体の硬度に顔色を青ざめ、特に渾身の力を込めて戦技を発動させたケマイヌは折れた剣を見つめながら呆然と立ち尽くす事しか出来ず、そんな彼に対してケマイヌは右腕を伸ばす。


「興ざめだ、いちからやり直してこい」
「うがぁっ!?」
「ふんっ!!」


ケマイヌの顔面を掴んだパセリは軽々と持ち上げ、仮にも人間の中では巨体のケマイヌを片腕のみで放り投げる。腕力の方も並の巨人族をも上回るらしく、投げ飛ばされたケマイヌは10メートル近くも離れた場所に投げ飛ばされた。


「うぎゃあああっ!?」
「うわっ……痛そう」
「あの人、一応はガルルの右腕なんですけどね……」
「ギギィッ(死んだか?)」


投げ飛ばされたケマイヌを見てダインは少しだけ同情し、その様子を同じく見ていたミイネはため息を吐く。分かり切ってはいた事だが、やはり看守長が相手となると一筋縄ではいかない。


「ダインさんはああならないように気を付けてください。何か必要な物があるなら今のうちに教えてください」
「……いや、大丈夫だ。僕にはこの杖があるからな」
「ギィッ?」


ケマイヌが投げ飛ばされる光景を見たというのにダインは不思議な程に落ち着いており、その不自然なまでに落ち着いた態度にミイネとゴブは疑問を抱く。何か勝算があるのかと思ったが、杖を手にしたダインは闘技台へと近づく。

他の囚人はケマイヌが投げ飛ばされた事で戦意を失い、どう考えてもパセリに傷を与えるか、あるいは闘技台から落とす方法など思いつかなかった。だが、ダインだけは自分の勝利を確信していた。


「おい、あんた!!この試験はあんたを闘技台から落とすだけでもいいんだよな?」
「ああ、その通りだ」
「よし!!その言葉を聞いて安心したぞ……それならこれで僕の勝ちだな!!」
「何だと?」


闘技台へ上がったダインは杖を構えると、笑みを浮かべて影魔法を発動させる。いかに敵が巨人族をも上回る腕力や頑丈さを身に付けていようと、闘技台から落とすだけならばダインの影魔法でも十分に勝ち目はあった。


「シャドウ・スリップ!!」
「ぬおっ!?」
「看守長!?」
「ば、馬鹿なっ!?」
「あのガキ……看守長を転ばせやがった!?」


ダインは杖を石畳の床に置いた瞬間、影が伸びるとパセリの足元へ向けて鞭の様にしなり、足元を転ばせる。鞭のように足元を振り払った影に対してパセリはて抵抗すら出来ず、床に尻餅をつく。彼は自分が転ばされたという事実に戸惑い、信じられない表情を浮かべた。

いかに巨体で力強い存在であろうとダインが作り出す影魔法は物理攻撃は通用せず、どんな重量の相手であろうと影が触れれば弾く事は出来た。体勢を崩して倒れたパセリに対してダインは今度は鞭に変化させた影で彼の足元を縛り付けると、杖を振りかざす。


「吹っ飛べっ!!」
「うおおおっ!?」
『えええっ!?』


杖を振り抜いた瞬間、杖から伸びていた影が引き寄せられ、足元を影で拘束されていたパセリの身体が引き寄せられて場外へ向けて吹っ飛ぶ。その光景を目にした囚人は驚愕の表情を浮かべ、ミイネやゴブでさえも信じられない表情を抱く。





※作者の部屋

アイリス「CQC!!」( ゚Д゚)ノ
カタナヅキ「はぐっ!?」(ノД`)!?
アイリス「ふふふ……今日は11時と12時にも投稿しますよ!!」( ・`ω・´)ノ公開ボタン
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