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ダイン 監獄都市編
なんで試合なんか……
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――闘技区へ向かう場合、兵士が貸し出している馬車を利用して移動するのが通例だが、馬車を借りるには監獄都市に戻る必要がある。当然だが現在のダイン達には戻れる状況ではないため、徒歩で闘技区に向かうしかなかった。
闘技区は監獄都市からそれほど離れてはいないとはいえ、外の世界には魔物が存在するために乗り物で移動するのが一番安全だった。今回は運よく魔物に遭遇する事もなくダイン達は闘技区へと辿り着くと、兵士達は特に怪しみもせずに受け入れた。
「あれ、ミイネさん?今日は馬車じゃないんですか?」
「ええ、まあ……ちょっと節約する必要がありまして」
「そうなんですか。そういえば今日は試合でしたね、もう対戦相手の選手は待機してますよ」
「僕の相手か……ど、どんな奴だよ」
「それは規則で教えられないな。だが、油断はしない方が良いぞ。相当にやばい奴だからな……」
ミイネとダインが闘技場の前に訪れると見張りの兵士が出迎え、中へと案内してくれた。どうやら闘技区の兵士達は監獄都市で起きた騒動を知らないらしく、現在のダイン達が他の囚人から追われる立場である事を知らない様子だった。
闘技区は他の地区と違って外部に存在する事から三巨頭の勢力はお呼ばないという話は嘘ではなく、この地区には試合に参加する闘技者しか出入りは許されない。一応は闘技者を奴隷囚人にしている者も入り込めるようだが、この地区の中では囚人同士の諍いは許されない。
囚人同士が争う場所が許されているのは試合場だけであり、その他の場所でもめ事が起きればすぐに闘技区の看守の兵士が対応を行う。警備の厳重さならば監獄都市よりも厳しく、仮に三巨頭の派閥に属する囚人が居てもダインに手を出す事は出来ない。
「ダインさん、頑張ってくださいね。負けたら僕達は終わりですよ」
「分かってるよ……くそ、やるしかないのか」
「ギギィッ(頑張れよ)」
試合場に赴く前にダインは待機室にてミイネとゴブと共に試合の準備を行い、これから戦う相手がどんな人物なのかと不安を抱く。既に対戦相手もダインがここへ訪れている事は知っているはずであり、自分達の存在が知られてしまった。
対戦相手の囚人に存在を知られた以上はダイン達はもう監獄都市の外に抜け出した事も知られるのは時間の問題だった。だからこそ他の囚人に知られる前にダインは対戦相手の囚人から出来る限りの情報を引き出す必要がある。
「ダインさん、これから戦う相手の事を知りたいですか?」
「え?でも、試合が始まるまで分からないんだろ?」
「ここの兵士には僕も顔が聞きますからね。多少の金は使いますけど、情報を掴む事は出来ますよ」
「それ、賄賂を支払って情報を聞き出すんだろ……いいよ、そこまでしなくても」
「でも、知っておいた方が色々と有利ですよ?お金は大切ですが、命には代えられないでしょう?」
ミイネの言う通りに事前に戦う相手の情報を知れればダインの有利になるのは間違いない。相手が戦闘職か魔法職の人間なのか事前に知っているだけで戦い方も変わり、自分が有利に立ち回れるようになる。だが、賄賂を渡してまで相手の情報を得る事にダインは気が向かない。
「そりゃ命は金に代える事は事は出来なけどさ、こういう時だからこそ金は考えて使った方がいいと思うんだよ。これから先、必要になる時があるかもしれないしさ」
「そうですかね……僕は別に構いませんけど」
「いいって、それよりもその金を僕の勝利に賭けてくれよ。そっちの方が儲かるだろ?」
「なるほど、ではそうしましょう……必ず勝ってくださいね」
「ギギィッ!!(負けんなよ!!)」
ダインの言葉を聞いたミイネは彼の意思を尊重し、待機室から一足先に立ち去る。ゴブは別れ際に親指を立てると、それに対してダインも苦笑いを浮かべながら自分も親指を立てた。
一人になった事でダインは冷静に今の自分の状況を思い返し、数日前までの暮らしと比べても自分がとんでもない状況に陥っている事を改めて思い知る。少し前まではレナやゴンゾウやシズネといった頼りになる仲間と行動を共にしていたのだが、今は頼れる存在は自分自身しかいない。
(はあっ……早くレナ達と合流したい)
頼れる存在が傍にいないというだけでダインは不安を抱くが、その一方で他の仲間の安否を心配する。消えた皆が今頃はどうしているのかと気にかけ、無事である事を祈る。
(あいつら、大丈夫かな……まあ、皆は強いし平気だろ)
自分以外の人間は誰もが一騎当千の強者である事を思い出し、どんな場所に転移されていようと平気だと思い込む。実際にダイン以外の面子は超一流の武人や魔法使い揃いであり、心配するのも野暮だった。
自分自身の事と他の皆の心配しながらもダインは気を引き締め直し、試合開始の時刻を迎えるまでは座禅を行う。精神を出来る限り落ち着かせ、万全な体勢を整えて挑もうと考えた時、足元に違和感を感じて視線を向けると、そこには1匹の鼠が存在した。
闘技区は監獄都市からそれほど離れてはいないとはいえ、外の世界には魔物が存在するために乗り物で移動するのが一番安全だった。今回は運よく魔物に遭遇する事もなくダイン達は闘技区へと辿り着くと、兵士達は特に怪しみもせずに受け入れた。
「あれ、ミイネさん?今日は馬車じゃないんですか?」
「ええ、まあ……ちょっと節約する必要がありまして」
「そうなんですか。そういえば今日は試合でしたね、もう対戦相手の選手は待機してますよ」
「僕の相手か……ど、どんな奴だよ」
「それは規則で教えられないな。だが、油断はしない方が良いぞ。相当にやばい奴だからな……」
ミイネとダインが闘技場の前に訪れると見張りの兵士が出迎え、中へと案内してくれた。どうやら闘技区の兵士達は監獄都市で起きた騒動を知らないらしく、現在のダイン達が他の囚人から追われる立場である事を知らない様子だった。
闘技区は他の地区と違って外部に存在する事から三巨頭の勢力はお呼ばないという話は嘘ではなく、この地区には試合に参加する闘技者しか出入りは許されない。一応は闘技者を奴隷囚人にしている者も入り込めるようだが、この地区の中では囚人同士の諍いは許されない。
囚人同士が争う場所が許されているのは試合場だけであり、その他の場所でもめ事が起きればすぐに闘技区の看守の兵士が対応を行う。警備の厳重さならば監獄都市よりも厳しく、仮に三巨頭の派閥に属する囚人が居てもダインに手を出す事は出来ない。
「ダインさん、頑張ってくださいね。負けたら僕達は終わりですよ」
「分かってるよ……くそ、やるしかないのか」
「ギギィッ(頑張れよ)」
試合場に赴く前にダインは待機室にてミイネとゴブと共に試合の準備を行い、これから戦う相手がどんな人物なのかと不安を抱く。既に対戦相手もダインがここへ訪れている事は知っているはずであり、自分達の存在が知られてしまった。
対戦相手の囚人に存在を知られた以上はダイン達はもう監獄都市の外に抜け出した事も知られるのは時間の問題だった。だからこそ他の囚人に知られる前にダインは対戦相手の囚人から出来る限りの情報を引き出す必要がある。
「ダインさん、これから戦う相手の事を知りたいですか?」
「え?でも、試合が始まるまで分からないんだろ?」
「ここの兵士には僕も顔が聞きますからね。多少の金は使いますけど、情報を掴む事は出来ますよ」
「それ、賄賂を支払って情報を聞き出すんだろ……いいよ、そこまでしなくても」
「でも、知っておいた方が色々と有利ですよ?お金は大切ですが、命には代えられないでしょう?」
ミイネの言う通りに事前に戦う相手の情報を知れればダインの有利になるのは間違いない。相手が戦闘職か魔法職の人間なのか事前に知っているだけで戦い方も変わり、自分が有利に立ち回れるようになる。だが、賄賂を渡してまで相手の情報を得る事にダインは気が向かない。
「そりゃ命は金に代える事は事は出来なけどさ、こういう時だからこそ金は考えて使った方がいいと思うんだよ。これから先、必要になる時があるかもしれないしさ」
「そうですかね……僕は別に構いませんけど」
「いいって、それよりもその金を僕の勝利に賭けてくれよ。そっちの方が儲かるだろ?」
「なるほど、ではそうしましょう……必ず勝ってくださいね」
「ギギィッ!!(負けんなよ!!)」
ダインの言葉を聞いたミイネは彼の意思を尊重し、待機室から一足先に立ち去る。ゴブは別れ際に親指を立てると、それに対してダインも苦笑いを浮かべながら自分も親指を立てた。
一人になった事でダインは冷静に今の自分の状況を思い返し、数日前までの暮らしと比べても自分がとんでもない状況に陥っている事を改めて思い知る。少し前まではレナやゴンゾウやシズネといった頼りになる仲間と行動を共にしていたのだが、今は頼れる存在は自分自身しかいない。
(はあっ……早くレナ達と合流したい)
頼れる存在が傍にいないというだけでダインは不安を抱くが、その一方で他の仲間の安否を心配する。消えた皆が今頃はどうしているのかと気にかけ、無事である事を祈る。
(あいつら、大丈夫かな……まあ、皆は強いし平気だろ)
自分以外の人間は誰もが一騎当千の強者である事を思い出し、どんな場所に転移されていようと平気だと思い込む。実際にダイン以外の面子は超一流の武人や魔法使い揃いであり、心配するのも野暮だった。
自分自身の事と他の皆の心配しながらもダインは気を引き締め直し、試合開始の時刻を迎えるまでは座禅を行う。精神を出来る限り落ち着かせ、万全な体勢を整えて挑もうと考えた時、足元に違和感を感じて視線を向けると、そこには1匹の鼠が存在した。
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