不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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弱肉強食の島編

白牛将の策

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(妙だな、どうして手紙だけを置いて戻ってこない?奴等、何をしている……?)


部下からの報告を聞いても白牛将は訝しみ、そもそも報告を行うならば手紙などせずとも直接戻ってきて自分に伝えればいい。しかし、部下の報告によると手紙が落ちていた場所には牛人族の臭いしか残っていないという。


「まあいい、この手紙が本物かどうかはともかく……ギュウカクが捕まったのは恐らく本当だろう。情けない奴め、また油断したな」
「どうしますか?助けに行きますか?」
「見捨てるわけにはいかん。親父殿もギュウカクがいない事を怪しむ前に動く必要があるが……おい、あいつらを連れて来い」
「あいつら?」
「捕まえたダークエルフ共だ。奴等を利用してこの手紙の真実を確かめるぞ」


白牛将はバルカンに同行して牛人族に投降してきたダークエルフ達を思い出し、彼等を利用して策を打つ事にした。ギュウカクと違い、白牛将は腕力だけではなく、知恵も回る男だった――




――それからしばらく時間が経過すると、手紙に記された位置を頼りに白牛将と彼の配下達は森の中を突き進む。この際に敵襲を警戒し、彼等は捕虜として連れてきたダークエルフの男衆に先行させる。


「お前等、もしも逃げようとしたら殺して餌にしてやるからな」
「ひっ……わ、分かっている」
「俺達はあんたらに逆らわないよ……」
「良い子だ、もしも今回の作戦が上手くいけば女どもはお前等の隙にしていい……ちょうど労働力が欲しかったからな。ガキもたくさん作って俺達のために働いて貰おうか」
「くぅっ……!!」


白牛将の言葉にダークエルフ達は悔し気な表情を浮かべるが、彼等が束になっても勝てない相手だと知っているため、逆らう事は出来ない。やがて手紙に記された手がかりを頼りに白牛将たちは遂に滝へと辿り着く。


「白牛将、ありました!!ここに石が重ねてありますぜ!!」
「ほう……この滝がそうか」


滝の近くには大きな石が幾つか盾に並んでおり、この石には接着剤のような効果を持つ特殊な花の蜜が使用され、石が崩れる事はない。この蜜も牛人族が住処にしている島から取れる素材であり、牛人族は手がかりを残す時はこの蜜をよく利用していた。

手紙には手がかりを頼りにダークエルフの隠れ里まで導くと書かれているが、今の所は白牛将は自分の部下と遭遇していない。その事がますます怪しく、周囲を警戒しながら白牛将は命令を下す。


「よし、まずはお前等から入れ。そして中の様子を調べ上げて来い」
「お、俺達が?」
「そうだ、お前達なら見つかったとしても奴等に殺される事はないだろう。あのバルカンという男から逃げてきたといえば怪しまれる事はないだろう。但し、俺達を裏切れば……どうなるか分かっているな?」
「わ、分かった……」


白牛将の脅しにダークエルフ達は顔色を青ざめ、そんな彼らに白牛将は隠れ里の様子を調べてくるように促す。その言葉を聞いてダークエルフ達は逆らえず、滝の裏にある洞窟へ向かう。


「お頭、あいつら信用できるんですか?」
「ふん、奴等は捨て駒だ。ダークエルフの気性はお前等も知っているだろう?裏切り者は容赦しない、あいつらが戻ったとしても他の仲間は許しはしない」
「え?それならどうして……」
「もしもこの手紙が罠だった場合……きっとダークエルフ共は待ち伏せしている。そこに奴等の仲間を送り込めばどうなる?裏切り者として制裁するか、俺達を招き寄せようとわざと呼び出させるだろう。だが、俺には嘘は通じない……もしも奴等が裏切った時は始末してやる」


最初から白牛将は捕まえたダークエルフの男衆は捨て駒として利用するつもりだった。もしも彼等が戻ってこなければ罠だと判断して引き返し、逆に彼等が戻ってきた場合は情報を引き出せる。仮に嘘を言おうとしても白牛将には嘘を見抜く事が出来るため、問題はない。

十中八九は白牛将は隠れ里にダークエルフ達が待ち伏せしていると考え、そうでもなければ自分の仲間が姿を現さないはずがない。あの手紙も恐らくは捕まった部下が無理やり書かされて送りつけられたと彼は気づいていた。


(こんな作戦、単純馬鹿のダークエルフが思いつくはずがない。恐らくは人間の仕業か……面白い、知略で俺に勝てると思うなよ)


白牛将は牛人族の中では自分よりも頭が回る存在はいないと確信しており、実際に彼は他の者と比べても賢く、同時に見下していた。自分よりも頭が良い存在などいない、そう思い込んだ白牛将は笑みを浮かべる。


(奴等がどんな顔をして戻ってくるのか見ものだな……)


しばらくの間はここでダークエルフ達が戻ってくるまで待つしかなく、その間に白牛将はゆっくりと身体を休める。部下達に周囲を警戒させていれば奇襲を仕掛けてきても対応できるため、白牛将はひと眠りでもしようとした時、予想外の事態が発生した。
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