不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

アルドラの居場所

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『アイリス』
『……あ、はい。何ですか?』
『う~ん、本当に調子が悪いな。原因は分からないの?』
『調べてはいるんですけどね、ちょっと分からないですね』


今日は交信を行う度に微妙に返事が遅くなり、レナは疑問を抱く。アイリスの方も何故かレナとの交信が上手く出来ない事を不思議に思うが、とりあえずは彼から話を聞く、


『アルドラの居場所を教えてくれ』
『アルドラは……どうやら氷雨のギルドにいるようですね。勝手にマリアのワインを飲んでますよ』
『後で叔母様に殺されるぞ……』
『まあ、そのマリアも戻るまで時間は掛かりそうですしね。手助けは期待しないでください』
『そうか……それより、エリナやレミアの方はどんな感じ?』
『レミアの方は既に王都に到着してナオ姫と合流しようとしています。ですけど、こっちの援軍は期待しない方がいいですね』
『どうして?』
『王都にも危機が迫ってるんですよ、七魔将のガイアが向かっています』
『えっ!?』


王都に七魔将が迫っている事を知ったレナは驚き、大丈夫なのかと思ったが王都にはレミアを始めにアイラや王国の守備軍も存在し、それほど問題視する必要はないという。


『王都の方もこれから大変な事が起きそうですが、レミア達なら何とか出来るでしょう』
『エリナはどんな感じ?』
『今の所は順調にヨツバ王国へ向かっていますね。ですけど、こっちの援軍は期待しない方がいいですよ。到着までに相当時間が掛かるでしょうし……』
『そうか……』


ヨツバ王国の王都までエリナが辿り着くまでかなりの時間が掛かり、援軍の方は正直に言えばあまり期待できない。六聖将が味方になれば心強いが、距離があまりにも離れ過ぎていた。

王都でも七魔将が迫っているとなればレミアの援軍も期待は出来ず、現状の戦力だけでレナ達は冒険都市を奪還しなければならない。しかし、奪還と言っても敵側とレナ達の戦力では大きな差があり、正攻法では勝ち目はない。


『敵にはゴウライやシズネ、他にも氷雨を筆頭に他のギルドの冒険者も含まれています。レナさん達の事を良く知っているシズネが敵に回ったのは厄介ですね。レナさんの戦い方も相手は熟知しているわけですから、闘技祭で優勝したからといって油断しないでください』
『分かってるよ。そういえばロウガさんやシュンさんはどうしてる?二人は捕まったの?』
『いいえ、どちらも捕まって現在は反抗した兵士と共に監獄に閉じ込められています』
『監獄?』
『都市内に存在する監獄です。場所は北東に存在しますが、そこは警備が厳重で簡単には忍び込む事は出来ません。反抗に加わった人間達はそこで捕らえられています』
『そうなのか……』


ロウガとシュンは既に捕まっていると知り、仮にも剣聖である二人が味方になれば心強いが、監獄に捉えられているとなると助け出すのは難しそうだった。だが、反抗した人間達の居所を知る事が出来たのは喜ばしく、レナはこれからどうするべきか相談する。


『俺達はまずは何をすればいいと思う?』
『そうですね……レナさんはどうすればいいと思ってますか?』
『当面はここを拠点にして反抗勢力を増やすために捕まった人たちを救い出す。そしてアルドラが待ち構える氷雨のギルドを強襲して他の奴等が来る前にアルドラを倒す、かな』
『そうですね、私もその作戦でいいと思いますよ』


現状ではレナ達の勢力だけでは分が悪く、まずは敵に捕まった者達を救い出し、反抗勢力を増やしてからアルドラが潜む拠点に襲撃を仕掛けるのが一番の作戦だと思われた。そして最初にレナ達が行動を起こすのは監獄であり、そこに囚われている兵士や冒険者達を救い出す事が第一目標だった。

アイリスとの交信を遮断したレナはまずは情報共有のために他の皆に振り返ろうとした時、ここでミレトが頭を抑えている事に気付く。ミレトは戸惑いの表情を浮かべており、それを見たレナは不思議に思って尋ねた。


「ミレト、どうかした?」
「いや……その、ちょっと頭が痛くなって」
「大丈夫か?ここまで無理をしてきたからな……」
「ゆっくりと休んだ方が良いよ。ここなら大丈夫ですよね?」
「大丈夫や、うちらはずっとここに隠れ取ったんや。あいつらもここにうちらが隠れているなんて思って……」
「っ……!?フェリス会長、侵入者です!!」
「何やてっ!?」


アリスの言葉を聞いてフェリスは驚愕するが、アリスは窓の外を確認し、建物の前に人影を確認する。その人影の正体は獣人族の女性であり、どちらも冒険者らしき格好をしていた。

まさかこの場所に隠れている事が気づかれたのかとレナは窓の隙間から様子を伺うと、二人とも鼻を引くつかせ、建物へと近付いていた。その様子を見てアリスはある事に気付き、レナの服を掴む。


「申し訳ございません、レナ様」
「うわっ!?」
「ちょっ、なにを……アリス、旦那さんがいるのに若い男の子に手を出したらあかんよ!?」


アリスの行動にフェリスは驚いて変なことを口走るが、アリスはレナの服を嗅ぐと、彼女は眉を顰めてゴンゾウとミレトにも振り返った。この3人から僅かにだが臭いが漂っている事を指摘する。
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