不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

黒雲を斬る

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「刺衝突っ!!」
「っ……!?」


死体人形と化したガオウの腹部に目掛けてレナは退魔刀を突き刺すと、貫かれた傷口から闇属性の魔力が噴出される。この時にガオウの肉体の内部に潜んでいたブラクの影も出現し、形を黒蛇のように変化させて刃を伝ってレナの元へと近づく。

刃を通じてレナに目掛けて影の蛇は迫るが、それに対してレナは既に退魔刀に魔力を送り込んでいた。次の瞬間、退魔刀の刀身が光り輝いて死体人形と影蛇は光に覆われた。


「消えろっ!!」
『ッ――!?』


退魔刀が聖属性の魔力を込められた途端に光り輝き、死体人形に突き刺さった刃を通じてレナに襲い掛かろうとした影蛇は消え去る。蛇が消えた瞬間にガオウは糸が切れた人形のように動かなくなり、やがて刃が引き抜かれると地面に倒れ込む。

死霊人形とは異なり、死体その物を操られていただけなのでガオウは既に死亡している。それでも死体を刺した事にレナは嫌な気分を覚えたが、次に彼は上空を漂う黒雲に視線を向けてアイリスに対処方法を尋ねる。


『アイリス……あの黒雲はどうしたらいい?』
『あれは黒雲じゃありません、ブラクがクリムゾンを利用して作り出した闇属性の魔力の塊です』
『クリムゾン?それって確か炎龍を封じるために使われた奴じゃ……』
『詳しい話は後でしましょう。あの黒雲を何とかしないと被害は拡大化しますよ』


アイリスの言葉を聞いてレナは黒雲を見上げ、既に冒険都市内の人間の多くがあの黒雲のせいで酷い被害を受けている事は確認済みだった。早く対処しないと今も被害を受けている人間が居るかもしれず、レナは黒雲を消し去る方法をアイリスから聞く。


『あの黒雲を打ち消すにはどうしたらいい?』
『勿論、聖属性の魔法攻撃が有効です。但し、相当な魔力を消費するので覚悟して下さい』
『分かってるよ……』
『ならまずは錬金術師の能力でレナさんの退魔刀を聖剣へ変えてください。どの聖剣に変化させるのかは分かりますね?』
『なるほど……分かった。ならまた後で話そう』


交信を打ち切ったレナは鏡刀を地面に突き刺し、漆黒の雨を降り注ぐ黒雲に向けて退魔刀を構える。ここでレナは退魔刀に錬金術師の「物質変換」の能力を発動させ、退魔刀を別の武器へと変換させる。


(この黒雲を切り裂くには……あの聖剣しかない)


聖剣の中で最も聖属性の魔力を引き出す事ができる聖剣はレミアが所有する「エクスカリバー」しか有り得ず、レナは彼女が聖剣を扱う姿を想像しながら自分の退魔刀をエクスカリバーへと変換させる。聖属性の聖痕を宿すレミア程にレナはエクスカリバーの力を使いこなす事はできないが、それでも全魔力を使い込んで黒雲へ目掛けて聖剣を振り払う。


「消えろぉおおおっ!!」


自分の能力で造り出したエクスカリバーにレナは魔力を注ぎ込み、黒雲に目掛けて全力で刃を振り上げる。その直後に刀身から光の刃が放たれ、三日月上の巨大な光刃は黒雲を真っ二つに断ち切る。

レナの魔力を注ぎ着こまれた聖剣の一撃によって黒雲は真っ二つに両断され、やがて切り裂かれた黒雲は徐々に薄くなっていき、完全に消え去ると本物の夕焼けが広がっていく。どうやら戦闘に夢中で気づかなかったが時刻は既に夕方を迎えていたらしい。


「はあっ、はあっ……くそっ、もう駄目か」


魔力が切れた途端にレナは膝を着いて退魔刀を手放し、荒い息を吐き出しながら地面に四つん這いになる。武器を聖剣に造り替えるだけでもかなりの負担となり、しかも黒雲を消し去るために魔力を使い果たしてしまう。

ここまでの戦闘でレナも魔力を消耗した状態で更に黒雲を打ち消すために無理をしてしまい、もう体力も魔力も残ってはいなかった。残念ながら姿を消したオウガとブラクの後を追う事はできず、彼はそのまま意識を失ってしまう――





――レナの聖剣の一撃によって冒険都市を覆っていた黒雲は完全に消え去り、都市内の大勢の人間の命は救われた。しかし、今回の戦闘で傷ついた人間は数千人は存在し、更に雨に打たれて身体が闇属性の魔力に汚染された人間も大多数存在した。

不幸中の幸いというべきかアルドラに操られていた人間の大半は外で戦闘を繰り広げていたため、殆どの人間が雨に打たれて動く事もままならない状況だった。そのために戦闘は中断され、負傷者は冒険都市内のギルドや教会へと運び込まれて治療を受ける事になった。気絶したレナも仲間達に発見されて運び出され、教会の方で治療を受ける。

まだアルドラの支配を完全に逃れていない物は武器を取り上げて監禁し、この時に監獄内に囚われていた無実の者達は解放される。その中には剣聖のシュンとロウガも含まれ、反対にアルドラに操られていた人間達は一時的に監獄内に閉じ込められた。

シズネとミナのような実力者は監獄を脱走する恐れがあるため、彼女達は氷雨のギルドにて剣聖たちが見張りを行う。しかし、剣聖の中でハヤテとゴウライは姿を消してしまい、ハヤテと相対していたカゲマルも行方不明となる。
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