不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

やっと帰れるぞぉおおおっ!!(ガチ泣き)

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「加速剣撃……旋風!!」
『オアッ――!?』


空中にてレナは手元に紅色の魔力を纏わせ、重力を利用した一撃を放つ。その結果、戦人形の顔面に衝撃が走って瞳の部分に埋もれていた二つの核が破壊される。

核が崩壊した事で戦人形の肉体は泥のように崩れ去り、同時に戦人形を抑えていた影人形も消え去る。持続時間を過ぎた事でダインも限界を迎えて膝を着き、そんな彼の元に慌ててミイネが駆けつけてくれた。


「ダイン!?」
「ううっ……」
「ダインさん!!大丈夫ですか!?」
「チュチュッ!!(これを食べて元気出して!!)」


膝を着いたダインを見て他の者も集まると、彼は顔色が若干青ざめていた。先ほどの巨大な影人形を構成するのに相当な魔力を消耗したらしく、すぐにレナはダインに水筒を渡す。


「ダイン、これを飲みなよ。ホネミンが作ってくれた特製の魔力回復薬だから」
「た、助かる……うおぇっ!?」
「わあっ!?ちょっと、汚いですよっ!!」
「あ、ごめん……味の方は保証できないのを言い忘れてた」


水筒に入っていた魔力回復薬を飲み込んだ瞬間、ダインはあまりの不味さに耐え切れずに吐き出してしまう。それでも少し飲んだ事で魔力を僅かながらに回復したのか、動ける程度までは体力を取り戻す。


「げほっ、げほっ……な、なんて物を飲ませるんだよ!?」
「でも、少しは楽になったでしょ?それよりも……久しぶりだね、ネズミ」
「……どうも、お久しぶりです」


咳き込むダインの背中を摩るミイネに対してレナは改めて挨拶すると、ミイネはレナとゴンゾウに振り返って苦笑いを浮かべる。ミイネからすれば二人と出会えて嬉しかったが、いざ顔を合わせると何を話していいのか分からなかった。


「さあ、二人とも……色々と積もる話はあるだろうけど、とにかくここを離れよう。転移門を使うからすぐに王国へ戻れるよ」
「ほ、本当か?ふうっ、これでやっと休めるんだな……」
「いや……ゆっくり休めるとは限らないぞ」
「どういう意味ですか?」


ダインの言葉にゴンゾウは言いにくそうな表情を浮かべ、ミイネは彼の言葉に不思議に思う。ミイネとダインは現在の王国の状況を把握しておらず、七魔将が問題を起こしている事も知らない。その辺の説明を行うためにレナは転移門が再稼働できる時間を迎えるまで、これまでの経緯をお互いに話し合う――






――転移門が再稼働できる時間を迎えると、早々にレナ達は深淵の森の遺跡に転移する。深淵の遺跡にはレナ達を待ち構えた冒険者達が待機しており、その中にはバルやミレトの姿もあった。


「ダイン!!やっぱり生きてたんだね、たくっ!!心配かけさせるんじゃないよ!!」
「あいてててっ!?ちょ、締まってる!!締まってるから!!」
「ダ、ダインさん!?」


バルは久々のダインとの再会に感極まって彼の首元を締め付け、嬉しそうにダインの頬に拳をぐりぐりと押し当てる。彼女の怪力で締め付けられたダインは苦しそうな表情を浮かべ、慌ててミイネが二人の間に割って入る。


「ちょっと、ダインさんが苦しがってるじゃないですか!!離してください!!」
「あん?誰だい、あんた……ダイン、まさかこんな小さい女の子に手を出したんじゃないだろうね?」
「出してないよ!!ていうかこんな所で人聞き悪い事を言うなよ!?」
「全く、相変わらず騒がしい奴等だな……」


ダインとバルの掛け合いを見て遺跡に待機していたロウガは呆れた表情を浮かべるが、ミレトはダインを見て不思議そうに首を傾げる。


(この人……変な気配を感じる)


ミレトは直感でダインから奇妙な気配を感じ取り、その事をレナに報告するべきか悩む。だが、当のレナは遺跡に残っていた者達と話し合い、特に何も起きていない事を確認した。


「そっか……俺達がいない間にこっちは変わりなしか」
「うん、ウルちゃんと一緒にレナたんの屋敷まで行ってみたけど特に何もなかったよ?」
「スラミンとヒトミンも怪しい気配は感じなかったと言ってる」
「ウォンッ!!」
「「ぷるぷるっ」」


遺跡にはコトミンとティナも同行しており、レナが不在の間は彼女達がウルとスライム達を連れて森の中を見回っていた。他の冒険者達も調査した限りでは森の中に怪しい存在は確認できなかったと報告を行う。



――どうして深淵の森にレナ達が訪れたかというと、それは深淵の森に潜んでいるはずの牙人将「ガオウ」を探すためだった。アイリスの情報によると牙人将のガオウは他の七魔将から離れて現在は深淵の森に潜伏しており、先の冒険都市で負った傷を癒すために森に身を潜めている。

先日の戦闘で牙人将はレナに敗れたが、満月の光を浴びた事で狼男の血が覚醒して一命を取り留めた。しかし、狼男に変身したガオウは理性を失い、今現在は人だった頃の知性も記憶も失って深淵の森の中を彷徨っている事が判明した。

レナが深淵の森に戻ってきた理由はまずは転移門を利用して他国のダインを迎えに行く事、そして深淵の森の何処かに潜んでいるガオウの討伐のため、冒険者を引き連れて再びこの森に戻ってきた。
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