不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

樹精霊との戦闘

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「無事か!?」
「は、はい!!ありがとうございます……あ、あの、ちょっと近いです」
「あ、ごめん」


空中に浮かんだ氷塊にジャンヌを引き寄せると必然的に彼女の身体を密着し、お互いの顔を間近で見つめ合う。ジャンヌは頬を赤く染めて顔を反らすと、レナの方はもう少し大きめの氷塊を用意すべきかと考えた。だが、彼が次の行動に移る前に地面から生えてきた植物が今度は二人の足場にしている氷塊に絡みつく。


「くっ!?」
「きゃあっ!?」


氷塊に絡みついた蔓はレナとジャンヌの足元にまで届き、このままでは地面に再び引っ張られると判断したレナは鏡刀を振り払って蔓を切り付ける。しかし、いくら切り裂こうと次々と新しい蔓が伸びてきた。


(いくら切ってもきりがない!!上に逃げるしかない!!)


蔓に拘束される前にレナは頭上に視線を向け、掌を構えると風の精霊を呼び出す。精霊魔法を扱えるようになったレナは風の精霊の力を借りて浮上した。


『風よ!!』
「きゃあっ!?」


ジャンヌを抱えた状態でレナは精霊の力を借りて浮き上がると、足場にしていた氷塊が蔓に引き寄せられて地面にめり込む。その様子を上空から確認したレナは再び空中で氷塊を作り出して新しい足場を用意した。

どうにか精霊魔法のお陰で蔓が届かない高さまで逃げ延びる事はできたが、いつの間にか地上を見渡す限り先ほど二人を襲った蔓が生えていた。辺り一面に生えた蔓を見てレナは自分達が最初から植物型の魔物の住処に居た事に気付く。


「まさか、この草原全体が魔物なのか……」
「レ、レナ様!!あそこを見てください、地面が盛り上がっています!!」


ジャンヌの声を聞いてレナは振り返ると、彼女の言う通りに地面が盛り上がってやがて人の腕のような物が出現した。最初は他の仲間が地面に埋もれていたのかと思ったが、現れたのは小さな緑髪の女の子だった。


「お、女の子!?どうしてこんな場所に……すぐに助けに行きましょう!!」
「待て、ジャンヌ!!あれは違う!!」


地中から現れた少女を見てジャンヌは背中に抱えた旋斧に手を伸ばすが、すぐにレナは少女が人間ではない事を見抜く。彼が地面の中に感じた魔力の正体は少女であり、以前に深淵の森で彼女とよく似た存在と出くわした事を思い出す。


「あれは……きっと樹精霊ドライアドだ」
「樹精霊!?では樹精霊が私達を襲ったんですか!?」


レナの言葉にジャンヌは驚愕し、本来であれば樹精霊は滅多に人前には現れない。植物型の魔物ではあるが魔人族として認識され、人間と同程度の高い知能を誇る。樹精霊は余程の事がない限りは人間を襲う魔物ではない。

しかし、草原に出現した無数の蔓を操っているのはレナ達の前に現れた樹精霊で間違いなく、警告も無しに攻撃を仕掛けた時点で相手はレナ達に強い敵意を抱いていた。深淵の森に生息する樹精霊は温和で話し合いができたが、今回の樹精霊はレナ達を見ると目つきを鋭くさせて攻撃を行う。


「じゅあっ!!」
「危ない!?伏せろ!!」
「きゃっ!?」


樹精霊の周囲に紫色の花が咲いた瞬間、花の中央部から種が発射された。弾丸の如く発射された種を見てレナはジャンヌを庇いながら伏せると、氷塊に次々と種が衝突してめり込む。


(やばい!?このままだと氷が持たない!!)


現在のレナが作り出す氷塊の強度は鋼鉄以上だが、樹精霊が放つ種は氷塊に次々とめり込み、嫌な予感を抱いたレナは氷塊が破壊される前にジャンヌを抱えて跳躍する。


「しっかり掴まって!!」
「きゃああっ!?」
「じゅあっ!?」


ジャンヌをお姫様抱っこの形で抱えたレナは氷塊から離れると、それを見た樹精霊は花の向きを変えて種を撃ち込む。精霊魔法でレナは風の精霊の力を借りて空を移動し、種の弾丸を回避しながら避難場所を探す。


(地上に降りたら蔓に捕まる!!けど、氷塊を作り出してもあの種に壊される……なら、これしかない!!)


風の精霊の力を借りて空を飛びながらもレナは樹精霊に視線を向け、退避できないのならば反撃に出るしかなかった。彼はジャンヌを片手で抱えると、彼女にしっかりとしがみつくように声をかける。


「ちゃんと掴まってろ!!」
「は、はい!!」


レナの言葉を聞いてジャンヌは抱きつき、この際にコトミンやティナ程ではないが平均よりも大分大きいジャンヌの胸が押し付けられる。だが、こんな状況で彼女の胸の感触を味わう暇はなく、風の精霊の力を借りながらレナは樹精霊の元へ滑空した。

樹精霊は自分に近付いてくるレナに対して周囲に咲かせた花を向け、種の弾丸を連射して攻撃を仕掛ける。それに対してレナは自分とジャンヌの身を守るために魔鎧術を発動させた。


(魔刀術で武器に魔鎧をまとわせる事ができるなら……きっとやれる!!)


しっかりとジャンヌを抱えた状態でレナは魔鎧術を発動させると、彼女の身体ごと蒼炎で包み込む。魔鎧術で自分以外の存在を守るのは初めてだが、一か八かレナは蒼炎を纏った状態で樹精霊の元に突っ込む。
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