不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

甲冑の騎士の正体は……

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「ここだ!!」
「ウオオッ!?」


甲冑の騎士の兜に鏡刀が突き刺さると、貫かれた箇所から聖属性の魔力が漏れ出す。やがて甲冑の騎士の全体の色合いが白から灰色へと変化していき、まるで石像のように変化していく。


「い、色が変わった!?」
「違う!!聖属性の魔力を纏っていたせいで白く見えてただけだ!!こいつの正体はゴーレムだったんだ!!」


甲冑の騎士が変色した事に他の者は驚くが、すぐにダインは甲冑の騎士の正体がゴーレムだと見抜く。恐らくは戦人形と同じ型のゴーレムであり、レナは鏡刀を引き抜くと甲冑の騎士は膝をつく。

どうやら頭部に核が存在したらしく、鏡刀に兜を貫かれた際に核が破損したのか動かなくなった。甲冑の騎士を倒した事を確認するとレナは鏡刀を鞘に戻すが、この時に甲冑の騎士の胸元の部分に亀裂が走り、粉々に砕け散った。


「これは……鍵?」
「な、何だそれ?」
「わあっ……金ぴかだね~」
「まさか、金か!?」


甲冑の騎士が粉々に砕けると体内から金色の鍵が出現し、それをレナは拾い上げた。かなりの大きさを誇り、他の者も集まって覗き込む。鍵を拾い上げたレナはとりあえずは空間魔法を発動して異空間に収納する。


「とりあえず、こいつは俺が預かっておくよ」
「あ、ずるいぞレナ!?」
「別に独り占めするわけじゃないって……」
「あ、見て見て!!皆、またあの黒い扉が現れたよ!!」


鍵を回収した事にダインが不満をレナに漏らすが、ティナが大声を上げて全員を呼ぶ。彼女の声のした方向に視線を向けると、そこには魔物を倒した時に出現する黒門がいつの間にか現れた。


「なるほど、こいつがこの空間の主だったわけか」
「あれ?ここには他の子達はいなかったの?」
「そのようですね……」
「まだ皆ここには来てないんじゃないのか?」
「どうする?下手に動くよりここで待っていた方が……」
「いや、道標は残してあるから俺達がここへ来た事は後から来た人間も気付くよ」
「何時の間に!?」


道中でレナは自分達が訪れたことを証明する道標を残しており、仮に他の仲間がこの場所に到着したらすぐに追いついてくるだろう。それにここに残っても他の者が追いついてくるとは限らず、先に進む事を決めた。


「とりあえずは先に行こう。皆、扉を開くよ」
「よ、よし……今度は皆で行くぞ」
「そうだね、その方がいい気がしてきた」
「レナ様たちだけ毎回危険な目に遭わせるわけにはいきません」
「大丈夫、いざという時はスラミンとヒトミンが合体してキングスラヒトミンになる」
「「ぷるぷるっ(任せんしゃい)」」
「何時の間にそんな能力を……というか、合体ってお前等は元々は同じスライムだろうが」


雑談を行いながらもレナは扉に手をかけようとした時、何故か彼が扉を開く前に勝手に扉の方が開かれた。急に動き出した扉に全員が驚くが、すぐにレナ、ミナ、ジャンヌは戦闘態勢に入った。

扉が開かれると中から現れたのはホネミン、ゴンゾウ、カゲマルの3人だった。彼等は非情に焦った様子で扉を潜り抜けると、レナ達がいる事を知って驚く。


「あ、レナさん!!丁度いい所に!!」
「ホネミン!?それにゴンちゃんとカゲマルまで……」
「お前等、無事だったのか!!」
「ダイン、お前も生きていたか。心配してたんだぞ」
「お前達、呑気に話している場合か!!早く扉を閉じろ!!」
「えっ……?」


黒門から出現した3人は急いで扉を閉めようと行動し、そんな彼等の姿にレナ達は呆気にとられる。いったいどうして彼等は扉を閉じようとしているのか問う前にホネミンが叫ぶ。


「説明は後です!!皆さん、この扉を閉じてください!!」
「えっ?な、何で?」
「いいから早く!!」
「な、何だかよく分からないけど……閉めればいいの?」
「ダイン!!」
「わ、分かったよ!!シャドーマン!!」


ダインはレナに指示されると彼は自分の影を変形させ、ゴンゾウのような巨人族の姿に変形させた影人形を作り出す。影人形を利用して扉を掴むと、他の者も協力して扉を閉じていく。開け開かれた扉はかなり重く、全員がかりでどうにか少しずつ閉める事ができた。そしてあと少しで完全に閉まろうとした時、内側から衝撃が走った。


「うわぁっ!?」
「な、何だ!?」
「ちっ、もう追いついたか!?」
「皆さん、急いでください!!早く閉じて!!」
「ダイン、ゴンちゃん!!」
「うおおおっ!!」
「こ、このぉおおっ!!」


ゴンゾウは鬼人化を発動させ、ダインも影人形を操作して押し込む。やがて扉が完全に閉じると、外側からの衝撃が収まった。全員が額の汗を拭うと、いったい何が起きたのかをレナは3人に問い質す。


「いったい何があった?」
「ふうっ……説明すると長くなるんですが、一言で言えば私達はこの訓練場の中で出会ってはならない存在と遭遇したんです」
「どういう意味?」
「そうですね、オンラインゲームに例えるなら物凄い低確率でエンカウントするめちゃくちゃ強い敵と言えば分かりますかね」
「……は?」


ホネミンの言葉にレナは呆気にとられるが、彼女はレナ達と遭遇する少し前の出来事を話し始めた――
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