不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,754 / 2,091
真・最終章 七魔将編

支配の能力

しおりを挟む
「調子に乗るな!!貴様は従っていろ!!」
「オアアッ……!?」


髑髏の紋様が再び炎龍の額に浮き上がり、抵抗していた炎龍の力が弱まる。だが、この時に海面を凍らせて接近していたシズネはそれを確認すると、彼女はハルナを抱えて海面に浮いたレナを引き上げる。


「レナ!!奴も弱っているわ、あともう一押しよ!!」
「分かってる!!だけど、もう力が……」
「踏ん張りなさい!!ここまできて弱音なんて貴方らしくないわよ!!」


シズネの言葉にレナは頷き、もう体力も魔力も限界だがここで退くわけにはいかない。彼女が作り出した氷塊の上に移動すると、ハルナは苛ついた表情を浮かべて炎龍を睨みつける。


「くそ、危うく焼肉になる所だった……あたしは焼くのは好きだけど焼かれるのは大嫌いだ!!」
「馬鹿な事を言ってないで貴女も考えなさい!!こいつをどうやって倒すのか……」
「ふん、考えるのなんて大嫌いだ!!こんな奴、あたしがぶっ飛ばして……」
「ちょ、止めろ!!海水で濡れている時に電流を出すな!!感電するだろうが……感電?」


ハルナが電流を迸ると身体が濡れているレナも危うく感電しかけたが、自分の言葉にレナはある作戦を思いつく。炎龍は現在は両翼を失った事で海中から抜け出す術を失い、半ば海に沈んでいる状態だった。これを利用してレナはハルナに攻撃を命じた。


「ハルナ!!電流を海に流せ!!」
「えっ!?なんで海に!?」
「いいから早くしろ!!」


レナの言葉にハルナは戸惑いながらも海面に両手を向けて電流を流し込むと、海中に電気が伝わって当然ながら炎龍にも伝わる。不幸中の幸いは炎龍の出現で周辺の海域の生物は逃げ出しており、彼女の電流に巻き込まれる事はない。

電撃が海中を伝わって炎龍へと広がり、炎龍は悲鳴を上げた。ハルナが直接殴りかかる際も感電はしていたが、今回の場合は彼女は殴りつけずに電流を流し込む事だけに集中できる。ちなみにレナ達が感電しないのはシズネの作り出した氷塊の上に立っているからであり、炎龍の苦しむ光景を見て攻撃の好機を伺う。



オアァアアアアッ……!?



海中に流れ込む電撃に苦しむ炎龍の姿を見つめ、レナはラストの次の行動を待つ。これまでの傾向からラストは炎龍が攻撃を受けた際は魔力を吸収する力を利用して守ってきた。当然ながら今回もラストは炎龍を救うために電撃の吸収を行う。


「ちっ、この程度の電流……」


レナがハルナに電流を本体に流させず、海中に流し続けるのには理由があった。それはラストが魔法の力を吸収する際にどのような行動を取るのか見極めるためだった。下手にハルナを突っ込ませると彼女の身が危うく、ならば距離を置いて攻撃させる事で相手の出方を伺う。

ラストはどうやら掌を通して魔力を吸収するらしく、海面に掌を向けて電流を吸い上げる光景を確認した。すぐにレナはハルナに電流を流させるのを辞めさせると、彼は上空を見上げて白竜に声をかける。


「今だ!!」
「うおおおおっ!!」
「わああっ!?」
「何!?」


声をかけた途端に白竜の背中からゴンゾウが飛び降りると、その彼の背中にはレミトがしがみついていた。ラストは降下してきた二人を見て驚いたが、吸収したばかりの電撃を喰らわせようと掌を向ける。


「喰らえっ!!」
「あ、危ない!?」
「ぬおっ!?」


落下の際中、唐突にゴンゾウとレミトの降下速度が上昇してラストが放った電撃の回避に成功した。レミトは自分の周りの時間を早める事で降下速度を上げて落ちると、地上に降りたゴンゾウは鬼人化を発動させた。


「うおおおおっ!!」
「この力は……!?」
「金剛撃っ!!」


ゴンゾウはレミトの能力のお陰で一時的に動きが早くなり、鬼人化の状態でありながら高速移動を行う。咄嗟にラストは掌を構えたが、その前にゴンゾウの拳がラストを捉えた。


「ふんっ!!」
「ぐううっ!?」
「も、もう限界です!!」


ラストは殴り飛ばされるとレミトは能力を解除し、彼は全身から汗を流す。彼の能力は本来ならば自分だけを加速や減速させるのだが、ゴンゾウと密着した状態で発動したが故に彼も加速に巻き込む事ができた。

鬼人化の状態のゴンゾウにレミトが能力を使用して加速させる事で一時的に驚異的な腕力と速度で攻撃を繰り出す事に成功したが、その代償として二人ともかなりの体力を消耗した。その分にラストに大きな損傷を与える事に成功し、彼はゴンゾウの一撃で右腕の骨が折れてしまう。


「ぐはぁっ!?」
「今だ、畳みかけろ!!」
「炎龍の動きにも注意しなさい!!」
「おらぁあああっ!!」


レナ達も再び炎龍に乗り込むと、ラストに目掛けて突っ込む。ラストは迫りくるレナ達を見て舌打ちし、このままでは自分の命が危ういと判断した彼は予想外の行動を取る。


「ぐぅっ……!!」
「なっ!?」
「あいつ、落ちたぞ!!」
「海中へ逃げるつもり!?」


ラストは自ら海に向かって飛び込み、そのまま海中へと沈んで消えてしまう。海に逃げた所で逃げ場はないと分かっているにも関わらずに逃げ出したラストにレナ達は戸惑うが、その一方で炎龍は背中に乗り込んだレナ達を振り払おうとする。
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。