不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,755 / 2,091
真・最終章 七魔将編

止めを刺すのは……

しおりを挟む
「オアアッ!!」
「うわっ!?」
「こいつ、まだ動けるのか!?」
「まずはこっちから止めを刺すわよ!!」


暴れる炎龍の背中の上でレナ達は振り落とされないようにしがみつくと、この時に白竜が炎龍の頭に迫って牙を繰り出す。


「シャアアッ!!」
「ギャアアッ!?」


白竜の牙が炎龍の片目を抉り、それによって炎龍は悲鳴を上げる。白竜の攻撃で炎龍の注意がレナ達から逸れると、その間に全員が最後の一撃を繰り出そうと力を込めた。


「これで終わらせるぞ!!」
「ええ、終わらせるわ!!」
「うおりゃああっ!!」


レナは退魔刀に蒼炎を纏わせ、シズネは雪月花とリヴァイアサンの刃を重ね合わせ、ハルナは全身から紫色の電撃を纏う。三人は炎龍に止めを刺すために首の部分に向けて駆け出し、同時に攻撃を行う。


「一刀両断!!」
「刺突・弐連!!」
「紫電!!」
「ッ――――!?」


退魔刀の一撃で首の肉が大きく抉れ、そこからシズネが繰り出した二つの刃が突き刺さり、内部から凍結させていく。更にハルナの渾身の拳が凍り付いた箇所に叩き込まれて強烈な衝撃と電撃が襲い掛かった。

炎龍の首が半ば抉れてしまい、普通の生物ならばここで死んでいてもおかしくはない。だが、竜種の中でも最大級の生命力を誇る炎龍は倒れず、最後の力を振り絞って全身から魔力を解き放つ。


「アガァアアアアッ!!」
「うわっ!?」
「あちちっ!?」
「こいつ、まだ……」
「皆さん、こっちです!!」
「レミト!?」


全身から高熱を発生させる炎龍にレナ達は追い詰められそうになるが、レミトが呼びかけると彼の周りだけは熱が発生していなかった。時の聖痕の能力でレミトは炎龍の肉体の一部だけを遅くさせる事で発熱から逃れ、他の者達も彼の元へ集まる。


「レミト!!この能力は……」
「説明は後で!!それよりも早くここから離れないと……」
「いや、海中に落ちても無駄よ。煮えたぎって一瞬で全身火傷よ」
「くそっ!!どうすればいいんだよ!?」


既に炎龍の周りの海は煮えたぎっているため、この中に飛び込めば無事では済まない。魔鎧術を扱える人間ならば無事に生き残れるかもしれないが、生憎とここまでの連戦で全員が疲弊して魔鎧術を扱う余裕はない。


(もう魔力が残っていない……くそっ、薬の類で回復するにしても時間が掛かる!!)


体力と違って魔力は瞬時に回復はせず、回復薬の類を利用して短時間では魔鎧術を発動できるだけの魔力は回復しない。このままでレナ達は焼け殺されるかと思われた時、突風が発生してレナ達を取り囲む。


「この風は……叔母様!?」
「皆、よく頑張ったわね」
「マリア!?」


上空を見上げると背中に光の翼を生やしたマリアの姿があり、彼女はクサナギを所持した状態でレナ達の元へ降り立つ。彼女はレナ達を守るためにクサナギを構えると、竜巻がレナ達を取り囲むように纏う。この竜巻はマリアが作り出した風の障壁であり、熱を吹き飛ばす。

マリアはレナ達を風の結界で守ると、改めて炎龍に視線を向けた。今の炎龍ならば聖剣による同時攻撃などせずとも最上級魔法で止めを刺す事はできる。だが、最上級魔法を発動させれば如何にマリアといえども無事では済まない。先ほどの斬光で彼女もかなりの魔力を消耗しており、次に最上級魔法を使用すれば今度こそマリアも限界を迎える。


(これが最後の魔法ね……)


彼女は自分の身を危険に晒す事を承知でクサナギを構え、最後の魔法は母親が得意とする風属性の魔法で仕留めようとした。しかし、この時に彼女のクサナギが反応を示す。


(……母様?)


クサナギを振りかざした時に風の聖痕が浮き上がり、それを見たマリアの脳裏に母親の姿が思い浮かぶ。この風の聖痕は元々はマリアの母親が宿していた力であり、彼女の魔力の残滓が僅かに残っていた。マリアはまるで自分の傍に母親がいるような感覚を覚え、彼女は驚いた様子で空を見上げる。


「……そう言う事ね」
「叔母様?」
「レナ、後の事は貴方に任せるわ」
「えっ……」


マリアは何かを悟った風にレナに手を伸ばすと、彼が纏っていた竜巻を打ち消してレナの右手を掴む。マリアの行動にレナは驚いたが、マリアは笑みを浮かべて自分の残りの魔力をレナに渡す。


「叔母様!?何を……」
「私の魔力を貴方に託す。これに止めを刺すのは貴方よ」
「俺が!?でも、どうして……」
「母様の遺言よ……次の世代へ託せと言われたわ」


聖痕に残っていたマリアの母親の魔力の残滓には僅かに意識が残っており、これから先の未来のために若者に力を託すように促す。そしてマリアが力を託せる相手はレナだけしかおらず、彼女の魔力を受け取ったレナは力がみなぎる。

純粋な魔力量ならばレナはマリアにも匹敵するが、今回受け取った魔力はマリアだけではなく、祖母の魔力も混じっている。マリアと祖母の魔力を受け取ったレナはこれまでにない程の力が湧きあがり、退魔刀を握りしめる。
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。