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蛇足編
襲撃者
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「危ない!!」
「わっ!?」
「ウォンッ!?」
「ぷるんっ!?」
接近してくる気配を察知したレナはホネミンをウルの方へ突き飛ばすと、彼は空間魔法を発動させて先ほど回収したオリハルコンの大剣と剣を取り出す。そして上空に剣を構えると、金属音が遺跡内に鳴り響く。
気配の主は上空からレナに切りかかり、この時に相手が所持している武器が剣の類ではなくて「木刀」だと知る。しかも相手の顔を見てレナは驚きを隠せない。
「まさか……」
「っ……!!」
レナは相手の顔を見て驚くと、相手はレナの大剣の腹の部分を蹴りつけて跳躍を行う。上空に跳んだ相手を見てレナは咄嗟に下がると、改めて確認を行う。
(似ている……というか、そっくりにも程がある)
襲い掛かってきた相手はレナの良く知っている人物と瓜二つであり、しかし有り得ない事だった。彼女がここにいるはずがなく、そもそも年齢が若すぎる。第一にレナの知る人物だとしたらいきなり襲い掛かってくるはずがない。
「……何者ですか!!どうしてここに人間がいるのです!?」
「えっ!?この声……まさか!?」
「ウォンッ!?」
「……下がってろ」
声を聞いた途端にホネミンもウルの相手の正体に気付くが、レナは二人を下がらせて襲撃者と向き合う。襲撃者は森人族が好みそうな緑色の衣服にマントを纏っており、その手には若干赤みがかった木刀を所持していた。
襲撃者の所持する木刀はヨツバ王国で自生している「硬樹」と呼ばれる金属のように硬い樹木から作り出されており、その硬さは魔法金属のミスリルにも劣らない。しかし、そんな木刀よりも気になったのは彼女の顔だった。
(……やっぱり、間違いない。この人は)
レナは顔を確認して相手が自分の知っている人物と同一人物だと確信を抱く。だが、それは有り得ない事であり、もしも彼の知る人物だとしたらいきなり襲い掛かってくるはずがない。第一に年齢が合致せず、今の彼女は若すぎる。
「……アイラ?」
「なっ!?何故、私の名前を……」
自分の母親の名前を口にすると、レナと向かい合った少女は驚愕の表情を浮かべた。レナ達の前に現れたのはまだ10代半ばぐらいの少女であり、その外見はレナの母親のアイラと非情によく似ていた。まるでアイラが若返ったとしか思えず、ここでレナはある事を思い出す。
(まさか、遺跡の中にあった装置……タイムマシンなのか!?)
転移台だと思われた台座には時の聖痕を想像させる魔法陣が刻まれており、そして目の前に現れた若返ったアイラを見てレナは嫌な予感を抱く。これまでの状況から察するにレナ達は何時の間にか過去の時代にタイムスリップしてしまったとしか考えられない。
もしもここが過去の世界だとしたら色々と辻褄は合い、最初に訪れた時に存在しなかったはずの戦人形が現れたり、訪れた時はなかったはずの門が存在したり、極めつけに若い頃のアイラが目の前に現れた。
「貴方達は何者なの!?ここはハヅキ家の管理する土地、しかも貴方は人間ね!?どうして人間がここにいるの!?」
「ちょ、レナさん……これはまずいですよ」
「しっ!!」
ホネミンが自分の名前を口にしたので慌ててレナは口元に指を押し当て、この時代で自分の名前を知られるのは色々とまずい。もしもアイラに自分の名前を知られた場合、後の未来で何らかの影響が生まれるかもしれない。そこでレナは風の精霊を呼び寄せ、ホネミンと会話を行う。
『ホネミン、聞こえる』
『聞こえますよ……何だかこうして連絡するとアイリス様との交信を思い出しますね』
『俺も似たような気分だよ。口調が似てるからややこしい』
『それでこれからどうしますか?彼女、間違いなくレナさんのお母さんですよ』
『……やっぱりそう思う?』
今の状況はホネミンも理解しており、目の前のアイラを見る限り現在の時代はレナが生まれるよりも前の時代である事は間違いなく、つまりはアイラはレナ達の存在を知らない。彼女からすれば自分の家系が代々管理を任されている大切な場所に侵入者が入り込んだと勘違いしていてもおかしくはない。
『これはまずいですよ。もしもレナさんの正体を知られたら未来に何らかの影響が生まれるかもしれません。ここは早々に退散した方がいいですね』
『そうみたいだな。なら、さっきの場所に戻るか?』
『とりあえずはそうしてみましょう。ですけど、アイラさんはそれを見逃すかどうか……』
『……だよね』
風の精霊を通して連絡を取り合いながらもレナはアイラから目を離さず、彼女は年齢は若いながらに既に剣士としては一流の領域に立っていた。この時代のアイラはまだ剣聖ではないはずだが、一部の隙もなく構えを取り、レナの様子を伺っていた。
「黙っていないで答えなさい!!貴方達は何者ですか!?答えないのであればここで拘束します!!」
「……とほほっ」
まさかこのような形で母親と対峙するとは思わなかったレナは冷や汗を流し、これまでに母親から指導を受けた事はあるが、本気で敵意を向けられた事は一度もなかった。しかも相手は自分と同年代の頃の母親であるためにやりづらい相手だった。
「わっ!?」
「ウォンッ!?」
「ぷるんっ!?」
接近してくる気配を察知したレナはホネミンをウルの方へ突き飛ばすと、彼は空間魔法を発動させて先ほど回収したオリハルコンの大剣と剣を取り出す。そして上空に剣を構えると、金属音が遺跡内に鳴り響く。
気配の主は上空からレナに切りかかり、この時に相手が所持している武器が剣の類ではなくて「木刀」だと知る。しかも相手の顔を見てレナは驚きを隠せない。
「まさか……」
「っ……!!」
レナは相手の顔を見て驚くと、相手はレナの大剣の腹の部分を蹴りつけて跳躍を行う。上空に跳んだ相手を見てレナは咄嗟に下がると、改めて確認を行う。
(似ている……というか、そっくりにも程がある)
襲い掛かってきた相手はレナの良く知っている人物と瓜二つであり、しかし有り得ない事だった。彼女がここにいるはずがなく、そもそも年齢が若すぎる。第一にレナの知る人物だとしたらいきなり襲い掛かってくるはずがない。
「……何者ですか!!どうしてここに人間がいるのです!?」
「えっ!?この声……まさか!?」
「ウォンッ!?」
「……下がってろ」
声を聞いた途端にホネミンもウルの相手の正体に気付くが、レナは二人を下がらせて襲撃者と向き合う。襲撃者は森人族が好みそうな緑色の衣服にマントを纏っており、その手には若干赤みがかった木刀を所持していた。
襲撃者の所持する木刀はヨツバ王国で自生している「硬樹」と呼ばれる金属のように硬い樹木から作り出されており、その硬さは魔法金属のミスリルにも劣らない。しかし、そんな木刀よりも気になったのは彼女の顔だった。
(……やっぱり、間違いない。この人は)
レナは顔を確認して相手が自分の知っている人物と同一人物だと確信を抱く。だが、それは有り得ない事であり、もしも彼の知る人物だとしたらいきなり襲い掛かってくるはずがない。第一に年齢が合致せず、今の彼女は若すぎる。
「……アイラ?」
「なっ!?何故、私の名前を……」
自分の母親の名前を口にすると、レナと向かい合った少女は驚愕の表情を浮かべた。レナ達の前に現れたのはまだ10代半ばぐらいの少女であり、その外見はレナの母親のアイラと非情によく似ていた。まるでアイラが若返ったとしか思えず、ここでレナはある事を思い出す。
(まさか、遺跡の中にあった装置……タイムマシンなのか!?)
転移台だと思われた台座には時の聖痕を想像させる魔法陣が刻まれており、そして目の前に現れた若返ったアイラを見てレナは嫌な予感を抱く。これまでの状況から察するにレナ達は何時の間にか過去の時代にタイムスリップしてしまったとしか考えられない。
もしもここが過去の世界だとしたら色々と辻褄は合い、最初に訪れた時に存在しなかったはずの戦人形が現れたり、訪れた時はなかったはずの門が存在したり、極めつけに若い頃のアイラが目の前に現れた。
「貴方達は何者なの!?ここはハヅキ家の管理する土地、しかも貴方は人間ね!?どうして人間がここにいるの!?」
「ちょ、レナさん……これはまずいですよ」
「しっ!!」
ホネミンが自分の名前を口にしたので慌ててレナは口元に指を押し当て、この時代で自分の名前を知られるのは色々とまずい。もしもアイラに自分の名前を知られた場合、後の未来で何らかの影響が生まれるかもしれない。そこでレナは風の精霊を呼び寄せ、ホネミンと会話を行う。
『ホネミン、聞こえる』
『聞こえますよ……何だかこうして連絡するとアイリス様との交信を思い出しますね』
『俺も似たような気分だよ。口調が似てるからややこしい』
『それでこれからどうしますか?彼女、間違いなくレナさんのお母さんですよ』
『……やっぱりそう思う?』
今の状況はホネミンも理解しており、目の前のアイラを見る限り現在の時代はレナが生まれるよりも前の時代である事は間違いなく、つまりはアイラはレナ達の存在を知らない。彼女からすれば自分の家系が代々管理を任されている大切な場所に侵入者が入り込んだと勘違いしていてもおかしくはない。
『これはまずいですよ。もしもレナさんの正体を知られたら未来に何らかの影響が生まれるかもしれません。ここは早々に退散した方がいいですね』
『そうみたいだな。なら、さっきの場所に戻るか?』
『とりあえずはそうしてみましょう。ですけど、アイラさんはそれを見逃すかどうか……』
『……だよね』
風の精霊を通して連絡を取り合いながらもレナはアイラから目を離さず、彼女は年齢は若いながらに既に剣士としては一流の領域に立っていた。この時代のアイラはまだ剣聖ではないはずだが、一部の隙もなく構えを取り、レナの様子を伺っていた。
「黙っていないで答えなさい!!貴方達は何者ですか!?答えないのであればここで拘束します!!」
「……とほほっ」
まさかこのような形で母親と対峙するとは思わなかったレナは冷や汗を流し、これまでに母親から指導を受けた事はあるが、本気で敵意を向けられた事は一度もなかった。しかも相手は自分と同年代の頃の母親であるためにやりづらい相手だった。
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