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蛇足編
この時代の猛者
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「い、いや……レベル99など有り得ん。歴代の英雄の中でもレベル99にまで到達したのは勇者だけだと聞いている」
「このレナさんは勇者の子孫ですけどね」
「あれ、ホネミンは違ったっけ?」
「どうでしたかね……」
「……ともかく、迷惑を掛けてしまったな」
レベル99の話はギガンは冗談だと思い込んだようだが、彼は地竜を追い込んだせいで二人に迷惑を掛けた事を謝罪した。別にレナ達は怒っていないが、彼は倒した地竜を見て提案を行う。
「迷惑を掛けた詫びとしてこの地竜の核は君達に渡そう」
「えっ!?いいんですか?地竜の核を破壊したら凄い経験値が貰えるんじゃ……」
「俺の目的は地竜を倒す事だ。一応は目的を達した以上、地竜の核は必要ない」
「いいんじゃないですか?レナさん、ここは貰っておきましょうよ。売れば高く買い取って貰えますよ」
「いきなり金の話か……まあ、いいか。ありがとうございます」
地竜の核を渡すと告げたギガンにレナはお礼を告げ、彼は空間魔法を発動させて大剣を取り出す。いきなり黒色の渦を出現させて武器を取り出したレナにギガンは驚く。
「い、今のは……魔法か?」
「空間魔法ですよ。見た事はありませんか?」
「空間魔法?という事は君は魔術師なのか?」
「そうです。あ、下がって貰えますか?」
ギガンを地竜の傍から離れさせるとレナは大剣を構え、加速剣撃で戦技を発動させる。片手だけの状態でレナは凄まじい勢いで大剣を繰り出して地竜の死骸に一撃を加えた。
「兜割り!!」
「ぬおっ!?」
「兜というか身体割りですね」
上段から振り落とされた大剣は地竜の死骸を粉々に砕き、体内に隠されていた地竜の核まで到達する。外殻が破壊されて核が露出するとレナはそれを拾い上げ、ホネミンに投げ渡す。その様子を見ていたギガンは信じられない表情を浮かべた。
死骸とはいえ地竜を一撃で崩壊させたレナの攻撃力に動揺を隠せず、しかも彼は事前にレナが魔法を使っている場面を見ていた。それはつまり彼が魔術師でありながら地竜を打ち崩す程の破壊力のある剣技を繰り出した事を意味している。
「ば、馬鹿な……君は剣士と魔術師の職業を持っているのか?」
「え?いや、そういうわけじゃ……」
「しかもこれほどの威力の一撃……ま、まさか剣聖か!?」
「そんなようなもんです」
レナが答える前にアイリスが適当に相槌を打ち、彼女はレナから受け取った地竜の核を調べる。中々の大きさと価値を誇り、彼女は地竜の核を戻して布に包んでレナに手渡す。
「これは高く売れそうですね。レナさん、預かっててください」
「了解」
「ま、魔法使いがこれほどの剣技を……」
空間魔法で回収した地竜の核を異空間に収納するレナにギガンは焦りを抱き、彼は自分の身体が震えている事に気が付く。この震えはレナに対する恐怖ではなく、武者震いだった。
「待ってくれ!!君に頼みがある!!」
「え、なんですか?」
「どうか俺と戦ってくれ!!」
「ええっ……またこういうパターンですか」
勝負を申し込んできたギガンに大してレナとホネミンは困った表情を浮かべ、巨人族の戦士は強敵を前にすると戦わずにはいられない。しかし、ここでギガンと戦う事になるとレナとしては色々と問題がある。彼を下手に傷つければ未来の世界のギガンに影響を与えるかもしれず、それは彼の弟子のゴンゾウにも何らかの影響が生じるかもしれない。
もしもこの時代のギガンに取り返しのつかない傷を負わせたら未来のギガンがどうなるのか分からず、かといって下手に手加減して勝てる相手ではない。この時代からギガンは凄まじい強さを誇り、少なくとも地竜を単独で倒す巨人族の戦士など滅多にいない。レナとしても手加減して勝てる保証はない。
(どうするんですか、レナさん?この人諦めそうに無いですよ)
(う~ん、もしも戦って大怪我させたら大変な事になりそうだし……)
(ぷるるんっ)
レナ達はひそひそと話し合いを行い、そんな彼等を見てギガンは不思議に思う。やがてレナ達はある事を決意すると、ウルの元に全員が集まる。そして彼の背中に乗り込むとウルに命令した。
「よし、出発だ!!」
「ウォオオンッ!!」
「なっ!?待ってくれ、何処へ行く!?」
「すいませんね、私達は冒険都市にいく予定なので急いでるんです!!」
ギガンをその場に残してレナ達は出発し、慌てて彼は追いかけようとしたが白狼種であるウルに追いつけるはずもない。レナ達はギガンをその場に残して出発した。
「ま、待て!!待ってくれ!!せめて一度だけ立ち合いを……」
「だから急いでるんですって!!冒険都市で会えたら戦ってあげますよ!!」
「ほ、本当か!?約束だぞ!!」
ホネミンはギガンに自分達がさも冒険都市に向かおうとしているように言葉をかけ、実際のレナ達の目的地は巨塔の大迷宮である。冒険都市にギガンが向かったところでレナ達と出会うはずがなく、そのままレナ達はその場を立ち去った――
「このレナさんは勇者の子孫ですけどね」
「あれ、ホネミンは違ったっけ?」
「どうでしたかね……」
「……ともかく、迷惑を掛けてしまったな」
レベル99の話はギガンは冗談だと思い込んだようだが、彼は地竜を追い込んだせいで二人に迷惑を掛けた事を謝罪した。別にレナ達は怒っていないが、彼は倒した地竜を見て提案を行う。
「迷惑を掛けた詫びとしてこの地竜の核は君達に渡そう」
「えっ!?いいんですか?地竜の核を破壊したら凄い経験値が貰えるんじゃ……」
「俺の目的は地竜を倒す事だ。一応は目的を達した以上、地竜の核は必要ない」
「いいんじゃないですか?レナさん、ここは貰っておきましょうよ。売れば高く買い取って貰えますよ」
「いきなり金の話か……まあ、いいか。ありがとうございます」
地竜の核を渡すと告げたギガンにレナはお礼を告げ、彼は空間魔法を発動させて大剣を取り出す。いきなり黒色の渦を出現させて武器を取り出したレナにギガンは驚く。
「い、今のは……魔法か?」
「空間魔法ですよ。見た事はありませんか?」
「空間魔法?という事は君は魔術師なのか?」
「そうです。あ、下がって貰えますか?」
ギガンを地竜の傍から離れさせるとレナは大剣を構え、加速剣撃で戦技を発動させる。片手だけの状態でレナは凄まじい勢いで大剣を繰り出して地竜の死骸に一撃を加えた。
「兜割り!!」
「ぬおっ!?」
「兜というか身体割りですね」
上段から振り落とされた大剣は地竜の死骸を粉々に砕き、体内に隠されていた地竜の核まで到達する。外殻が破壊されて核が露出するとレナはそれを拾い上げ、ホネミンに投げ渡す。その様子を見ていたギガンは信じられない表情を浮かべた。
死骸とはいえ地竜を一撃で崩壊させたレナの攻撃力に動揺を隠せず、しかも彼は事前にレナが魔法を使っている場面を見ていた。それはつまり彼が魔術師でありながら地竜を打ち崩す程の破壊力のある剣技を繰り出した事を意味している。
「ば、馬鹿な……君は剣士と魔術師の職業を持っているのか?」
「え?いや、そういうわけじゃ……」
「しかもこれほどの威力の一撃……ま、まさか剣聖か!?」
「そんなようなもんです」
レナが答える前にアイリスが適当に相槌を打ち、彼女はレナから受け取った地竜の核を調べる。中々の大きさと価値を誇り、彼女は地竜の核を戻して布に包んでレナに手渡す。
「これは高く売れそうですね。レナさん、預かっててください」
「了解」
「ま、魔法使いがこれほどの剣技を……」
空間魔法で回収した地竜の核を異空間に収納するレナにギガンは焦りを抱き、彼は自分の身体が震えている事に気が付く。この震えはレナに対する恐怖ではなく、武者震いだった。
「待ってくれ!!君に頼みがある!!」
「え、なんですか?」
「どうか俺と戦ってくれ!!」
「ええっ……またこういうパターンですか」
勝負を申し込んできたギガンに大してレナとホネミンは困った表情を浮かべ、巨人族の戦士は強敵を前にすると戦わずにはいられない。しかし、ここでギガンと戦う事になるとレナとしては色々と問題がある。彼を下手に傷つければ未来の世界のギガンに影響を与えるかもしれず、それは彼の弟子のゴンゾウにも何らかの影響が生じるかもしれない。
もしもこの時代のギガンに取り返しのつかない傷を負わせたら未来のギガンがどうなるのか分からず、かといって下手に手加減して勝てる相手ではない。この時代からギガンは凄まじい強さを誇り、少なくとも地竜を単独で倒す巨人族の戦士など滅多にいない。レナとしても手加減して勝てる保証はない。
(どうするんですか、レナさん?この人諦めそうに無いですよ)
(う~ん、もしも戦って大怪我させたら大変な事になりそうだし……)
(ぷるるんっ)
レナ達はひそひそと話し合いを行い、そんな彼等を見てギガンは不思議に思う。やがてレナ達はある事を決意すると、ウルの元に全員が集まる。そして彼の背中に乗り込むとウルに命令した。
「よし、出発だ!!」
「ウォオオンッ!!」
「なっ!?待ってくれ、何処へ行く!?」
「すいませんね、私達は冒険都市にいく予定なので急いでるんです!!」
ギガンをその場に残してレナ達は出発し、慌てて彼は追いかけようとしたが白狼種であるウルに追いつけるはずもない。レナ達はギガンをその場に残して出発した。
「ま、待て!!待ってくれ!!せめて一度だけ立ち合いを……」
「だから急いでるんですって!!冒険都市で会えたら戦ってあげますよ!!」
「ほ、本当か!?約束だぞ!!」
ホネミンはギガンに自分達がさも冒険都市に向かおうとしているように言葉をかけ、実際のレナ達の目的地は巨塔の大迷宮である。冒険都市にギガンが向かったところでレナ達と出会うはずがなく、そのままレナ達はその場を立ち去った――
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