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蛇足編
各階層の人気
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「ホネミンにとっては古城は自分の家みたいなもん?それとも二度と戻りたくない場所だったりしない?」
「どうですかね、戻る予定がなければ戻りはしませんけど、でもあそこも居心地は悪くなかったですよ」
100年以上の時を古城の中で過ごしてきたホネミンにとっては古城は尤も人生の中で一番長く過ごした場所ともいえる。しかし、古城で彼女は一人で暮らしてきた事を考えれば辛い思いでの場所ではないかとレナは心配したが、当の本人はあまり意識はしていなかった。
「さあ、懐かしの我が家へ行きましょう」
「あ、そういえばホネミンはヨツバ王国で生まれたんだよね。なら、元の家とかは……」
「確認してきましたがありませんでした。まあ、当然ですよね。いくらエルフと言っても私ほど長く生きたのはいないでしょうし……」
「そっか……」
エルフはこの世界で最も長寿の種族であり、現在の国王であるデブリは400年近くも生きているという。しかし、彼よりも遥か昔からホネミンは生きており、残念ながら彼女が知っている人たちはもう全員亡くなっていた。
ホネミンが生きながらえたのは伝説の秘薬を口にし、そのお陰で生身の肉体を失った。だが、逆にそれが功を奏して彼女は魔力を定期的に摂取すれば生きながらえる事ができた。生身の肉体が戻った後も同じであり、彼女は魔力を吸い続ければ死ぬ事はない。
「ホネミンの今の肉体はエルフの頃の肉体と同じなの?実はターミ〇ーターみたいに金属の身体に皮膚を纏っているんじゃ……」
「確かにこの世界の人間からしたら私は未来人ですけど、ターミ〇ーターじゃありませんから!!まあ、再生してもらう時にレナさん達と同世代ぐらいの肉体で再生するようにお願いしてましたけど……あ、そうだ。レナさんも年老いたらリーリスさんの所に行けば若返らせて貰えますよ。何だったら右腕をサイコ〇ンに改造します?」
「やだよ」
現在のホネミンは生きていた頃よりも少しだけ若い年代の肉体を再生してもらったらしく、地球の科学技術よりも高度に発展した科学力を誇るリーリスならば肉体の再生や若返りなど簡単にできた。だが、レナは人間として生まれた以上は普通の人間として生きていく事を決めている。
「レナさんがエルフとして生まれていたらどんな人生送っていたんでしょうかね」
「いや、母さんも親父も人間だったから俺は人間としてしか生まれなかったよ」
「そうでしたね」
レナの祖母であるハヅキはエルフだが、彼女の娘のアイラは父親と同じく人間である。この世界では他種族同士が結婚した場合、生まれてくる子供は必ず両親のどちらかの種族として生まれる。但し、エルフの血を継いでいるレナは普通の人間よりも魔力が高まりやすく、獣人族の血を継いでいる人間は運動能力も高く生まれる事があるため、全く血の影響がないわけではない。
仮にレナがバルトロス王国ではなくてヨツバ王国に生まれていた場合、ハヅキ家の跡取りとして育てられていたかもしれない。その場合はハヅキから厳しい指導を受けて生きていたかもしれないが、もしもの未来を考えても仕方がないと思ったレナは先に進む事に集中する。
「おっ、この時代にも結構人はいるんだな」
「ここは昔から大勢の人間が挑戦してきますよ。まあ、第三階層は最も人気は低かったですけどね」
「砂漠の階層だから資源も乏しいしね……」
基本的に冒険者が危険を冒してまで大迷宮に挑むのは大迷宮内で取れる資源が目的である。大迷宮に出没する魔物は外部の魔物よりも危険度は高いが、その分に良質な素材を得られる可能性が高い。魔物以外にも大迷宮でしか手に入らない鉱石なども存在し、特に魔石などが人気が高い。
だが、ホネミンがねぐらにしていた第三階層に挑む冒険者は滅多にいない。周囲を広大な砂漠に囲まれており、しかも定期的に砂嵐が発生して地形が変わる。運が悪い場合は転移台を見つけきれずに砂漠の熱気で倒れる人間も多い。しかも出現する魔物は水が弱点のサンドゴーレムやサンドフィッシュのため、自分達の飲み水を含めて大量の水を確保した状態で挑まなければ自殺行為となる。
「ホネミンが第四階層よりも第三階層を根城にしていたのは冒険者が滅多に来ないからだっけ?」
「正確にはあそこ以外の場所だと私も魔物に狙われて危険だからです。古城の中は基本的には安全ですし、滅多に冒険者に見つかる事もありません。まあ、それでも奇跡のような確率で私が住む古城に辿り着く人たちもいますけど……」
「カイさんや俺達の事か……」
カイはレナの剣の師匠であり、彼が若い頃に古城に辿り着いてホネミンと会った事がある。レナはシズネの提案で闘技祭の前に腕を磨くために巨塔の大迷宮へ挑んだ。だが、第三階層の想像以上の環境の厳しさに危機に陥ったが、偶然にも古城を発見して生き延びる事ができた。今更ながらにレナは初めて第三階層に挑んだ時、自分達が古城を見つけなければ死んでいた可能性もあると気付いて背筋が凍り付く。
「どうですかね、戻る予定がなければ戻りはしませんけど、でもあそこも居心地は悪くなかったですよ」
100年以上の時を古城の中で過ごしてきたホネミンにとっては古城は尤も人生の中で一番長く過ごした場所ともいえる。しかし、古城で彼女は一人で暮らしてきた事を考えれば辛い思いでの場所ではないかとレナは心配したが、当の本人はあまり意識はしていなかった。
「さあ、懐かしの我が家へ行きましょう」
「あ、そういえばホネミンはヨツバ王国で生まれたんだよね。なら、元の家とかは……」
「確認してきましたがありませんでした。まあ、当然ですよね。いくらエルフと言っても私ほど長く生きたのはいないでしょうし……」
「そっか……」
エルフはこの世界で最も長寿の種族であり、現在の国王であるデブリは400年近くも生きているという。しかし、彼よりも遥か昔からホネミンは生きており、残念ながら彼女が知っている人たちはもう全員亡くなっていた。
ホネミンが生きながらえたのは伝説の秘薬を口にし、そのお陰で生身の肉体を失った。だが、逆にそれが功を奏して彼女は魔力を定期的に摂取すれば生きながらえる事ができた。生身の肉体が戻った後も同じであり、彼女は魔力を吸い続ければ死ぬ事はない。
「ホネミンの今の肉体はエルフの頃の肉体と同じなの?実はターミ〇ーターみたいに金属の身体に皮膚を纏っているんじゃ……」
「確かにこの世界の人間からしたら私は未来人ですけど、ターミ〇ーターじゃありませんから!!まあ、再生してもらう時にレナさん達と同世代ぐらいの肉体で再生するようにお願いしてましたけど……あ、そうだ。レナさんも年老いたらリーリスさんの所に行けば若返らせて貰えますよ。何だったら右腕をサイコ〇ンに改造します?」
「やだよ」
現在のホネミンは生きていた頃よりも少しだけ若い年代の肉体を再生してもらったらしく、地球の科学技術よりも高度に発展した科学力を誇るリーリスならば肉体の再生や若返りなど簡単にできた。だが、レナは人間として生まれた以上は普通の人間として生きていく事を決めている。
「レナさんがエルフとして生まれていたらどんな人生送っていたんでしょうかね」
「いや、母さんも親父も人間だったから俺は人間としてしか生まれなかったよ」
「そうでしたね」
レナの祖母であるハヅキはエルフだが、彼女の娘のアイラは父親と同じく人間である。この世界では他種族同士が結婚した場合、生まれてくる子供は必ず両親のどちらかの種族として生まれる。但し、エルフの血を継いでいるレナは普通の人間よりも魔力が高まりやすく、獣人族の血を継いでいる人間は運動能力も高く生まれる事があるため、全く血の影響がないわけではない。
仮にレナがバルトロス王国ではなくてヨツバ王国に生まれていた場合、ハヅキ家の跡取りとして育てられていたかもしれない。その場合はハヅキから厳しい指導を受けて生きていたかもしれないが、もしもの未来を考えても仕方がないと思ったレナは先に進む事に集中する。
「おっ、この時代にも結構人はいるんだな」
「ここは昔から大勢の人間が挑戦してきますよ。まあ、第三階層は最も人気は低かったですけどね」
「砂漠の階層だから資源も乏しいしね……」
基本的に冒険者が危険を冒してまで大迷宮に挑むのは大迷宮内で取れる資源が目的である。大迷宮に出没する魔物は外部の魔物よりも危険度は高いが、その分に良質な素材を得られる可能性が高い。魔物以外にも大迷宮でしか手に入らない鉱石なども存在し、特に魔石などが人気が高い。
だが、ホネミンがねぐらにしていた第三階層に挑む冒険者は滅多にいない。周囲を広大な砂漠に囲まれており、しかも定期的に砂嵐が発生して地形が変わる。運が悪い場合は転移台を見つけきれずに砂漠の熱気で倒れる人間も多い。しかも出現する魔物は水が弱点のサンドゴーレムやサンドフィッシュのため、自分達の飲み水を含めて大量の水を確保した状態で挑まなければ自殺行為となる。
「ホネミンが第四階層よりも第三階層を根城にしていたのは冒険者が滅多に来ないからだっけ?」
「正確にはあそこ以外の場所だと私も魔物に狙われて危険だからです。古城の中は基本的には安全ですし、滅多に冒険者に見つかる事もありません。まあ、それでも奇跡のような確率で私が住む古城に辿り着く人たちもいますけど……」
「カイさんや俺達の事か……」
カイはレナの剣の師匠であり、彼が若い頃に古城に辿り着いてホネミンと会った事がある。レナはシズネの提案で闘技祭の前に腕を磨くために巨塔の大迷宮へ挑んだ。だが、第三階層の想像以上の環境の厳しさに危機に陥ったが、偶然にも古城を発見して生き延びる事ができた。今更ながらにレナは初めて第三階層に挑んだ時、自分達が古城を見つけなければ死んでいた可能性もあると気付いて背筋が凍り付く。
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