不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

岩砕剣

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「その剣……もしかして岩ですか?」
「そうさ!!世界で最も硬い岩を削りとって作り上げられた大剣!!名前は岩砕剣さ!!」
「岩砕剣……」


岩砕剣と言う名前に聞き覚えはないが、見ただけでレナはテンの持っている大剣が厄介だと見抜く。今までに数多くの剣士と戦い、彼等の扱う剣を見てきたせいか一目見ただけでどれほどの業物なのか分かる(見た目が岩みたいな大剣というだけで普通の剣ではない事は素人でも分かるが)。

テンの岩砕剣はこの世界で最も硬い岩から作り上げられており、厳密に言えば剣の形をした岩という事になる。重量もかなりあると思われ、彼女はバルと同様に全身の筋肉を上手く活用して振り下ろす。


「撃剣!!」
「くっ!?」


バルと同様の戦技を得意とするらしく、テンは全力で大剣を振り下ろすと砂煙が舞い上がる。レナは砂煙に隠れたテンを探すが、どういわけか彼女の気配が消えた。


「おらぁっ!?」
「うわっ!?」


直感で背後が危険だと悟ったレナは振り返ると、砂煙に紛れてテンが彼に目掛けて大剣を振り下ろす。気配を完璧に消して自分の背後から現れたテンに驚きながらもレナは回避に成功する。


「今のは……隠密?」
「はっ、よく気づいたじゃないかい。大抵の馬鹿はこの手に引っかかるんだけどね」


砂煙で相手の視界から隠れた瞬間、テンは隠密の技能を発動させた。隠密の技能を発動させると気配が消えるため、達人であれば相手の気配が消えた事に戸惑う。危うくレナも引っかかりそうになったが、これまで培った経験を生かして相手の次の行動を先読みして対処する事に成功した。


(この人、隠密の技能まで使えるのか……器用な人だな)


戦闘の際中に隠密の技能を巧みに使いこなして不意打ちを仕掛けたテンにレナは感心し、戦い方は娘と似ていると思ったが、バルと違って小細工も仕掛けるらしい。だが、先ほどの攻撃は一度限りしか通じず、相手が気配を消して襲い掛かってくるというのであれば対処法はいくらでもある。

例えば心眼の技能を使えば気配に頼らずとも視覚以外の五感を研ぎ澄ませて相手の位置を見抜ける。他には魔力感知の技能ならば隠密を使用しても反応するため、魔力を探れば場所の特定は容易い。後は防御法としては魔鎧術を発動させて全身を包み込めば何処から攻撃されても対処できるはずだった。それに最も有効的な対処法は他にもある。


「それなら俺も真似しようかな」
「はっ?」
「撃剣!!」


レナは先ほどのテンと同じく砂漠の地面に大剣を振り下ろすと、あまりの威力に砂煙が舞い上がった。レナの姿が砂煙に覆い隠され、テンは驚いたように辺りを振り返る。先ほどの彼女と同じく、完璧にレナも気配を消していた。


「なっ!?あんたも隠密を使えるのかい!?だけどね、猿真似であたしに勝てると思ってるのかい!!」


自分の得意とする戦法を披露してきたレナにテンは笑みを浮かべ、確かに完璧に気配を消したと言っても砂煙に紛れて攻撃すると事前に分かっていれば対処は容易く、彼女は岩砕剣を一回転させて風圧で吹き飛ばす。


「回転!!」


戦技を発動させてテンは大剣を振り回すと、その風圧で砂煙を吹き飛ばす。要は砂煙を吹き飛ばせば相手は身を隠す事ができず、隠密を発動させていたとしても姿を捉えれば反撃はできる。テンは砂煙を吹き飛ばして周囲を見渡し、何処かに隠れているはずのレナを探す。


「さあ、見つけ……てない!?」


何故か砂煙を吹き飛ばしたにも関わらず、いつの間にか砂漠からレナの姿が消えていた。慌ててテンは周囲を見渡して気配を探るが何も見えず何も感じない。まるでレナがこの場からいなくなってしまったようにしか思えない。

一瞬の間にテンの視界では見えない範囲にまで逃げたとしか思えず、彼女はあちこちを走り回って姿を探すが一向に見つからない。まるで透明人間のように消えてしまったレナにテンは戸惑う。


「ふ、ふん……あたしに怖気づいて逃げたのかい?まあいい、それなら先に進むだけ……」
「ばあっ!!」
「うわぁっ!?」


舌の方から声が聞こえて驚いたテンは悲鳴を上げると、地面の中からレナが飛び出す。彼は一瞬の間に地面の中に潜り込み、地中からテンに近付いて彼女の両足を掴む。

どうやってレナが砂漠の地面に潜ったのかと言うと、魔鎧術を発動させて全身に魔力の鎧を覆い込み、その状態から地面を掘り進む。魔鎧術で身体を防護すれば砂の中に潜っても平気であり、感知系の技能を生かしてテンのいる場所まで移動を行う。海中を泳ぐ時よりも砂中の方が肉体に掛かる疲労は大きいが、そのお陰でテンの足元にまで迫った。


「あ、あんた!?何処から現れたんだい!!」
「見ての通りです」
「こ、このっ!!」


両足を掴まれたテンは混乱しながら岩砕剣を振りかざすが、触れた時点でレナは勝利を確信し、久々の魔法を発動させる。


「電撃!!」
「あばばばばっ!?」


雷属性の初級魔法を発動させたレナは両足からテンに高圧電流を流し込み、感電したテンは地面に倒れ込む。
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