不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

神器の使い手

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「危ない!!」
「はわっ!?」


レナはホネミンを抱き寄せた事で彼女に向けられて発射された矢は外れ、迷宮の壁に矢が突き刺さった。それを見たレナは驚き、大迷宮を構成する煉瓦の壁は非常に頑強で簡単に壊れる代物ではない。そんな壁に矢を突き刺すなどとんでもない威力を誇る。


(なんだあいつのボーガン……ただの武器じゃないな)


矢が大迷宮の壁に突き刺さったのを見ただけでレナは不審者が放ったボーガンが普通の武器ではなく、もしかしたら魔道具かあるいは「神器」の類ではないかと考えた。神器は聖剣と同様に過去に勇者が作り出した聖遺物であり、もしも相手が神器を所有しているのならば厄介だった。

ホネミンとテンを下ろすとレナは空間魔法を発動させて大剣を取り出す。それを見た相手はボーガンを構えて二射目を放つ。正確にレナの眉間に向けて矢が放たれ、それを見たレナはかなりの使い手だと見抜く。


(エリナみたいな奴だな!!)


ティナの護衛役で六聖将ハシラの弟子であるエリナは腕の筋肉が弱く、そのためにボーガンなどの武器を用いて戦う。その代わりに彼女の攻撃は正確無比だが、今回の相手はエリナのように正確に急所へ向けて矢を撃ち込む。


「このっ……!?」


大剣を構えたレナは放たれた矢を弾き飛ばしたが、二つ目の矢の後ろに三つ目の矢が既に放たれていた。まさか矢を弾いた後に次の矢が撃ち込まれているとは思わず、彼の首に目掛けて迫る。


(やばいっ!!)


咄嗟に大剣を掴んでいた左手を離すと、魔力を集中させて氷装剣を作り出す。氷の剣を手にしたレナは三本目の矢を弾くと、それを見ていた襲撃者は驚いた声を上げる。


「馬鹿なっ!?」
「舐めんなっ!!」


両手に大剣と氷装剣を手にしたレナは襲撃者に向かって直進し、慌てて相手はボーガンを構えようとした。しかし、移動中にレナは縮地を発動させて高速移動を行う。襲撃者の目から見れば唐突にレナの姿が消え去り、目標を見失って戸惑う。

瞬間移動の如く敵に接近したレナは相手の持っているボーガンに狙いを定め、左手の氷装剣を振り払う。襲撃者が所有していたボーガンは空中に弾かれ、武器を失った襲撃者はいきなり現れたレナに驚いたが、そんな相手にレナは大剣を叩き込む。


「ふんっ!!」
「ぐへぇっ!?」


大剣の腹の部分で頭を小突かれた襲撃者は地面に倒れ込み、氷装剣を解除したレナは左手を伸ばして空中に弾いたボーガンを掴んだ。確認してみると氷装剣で弾いたにも関わらずに傷一つ付いておらず、これほどの頑丈な武器は神器としか考えられない。


「ボーガン型の神器……かな?」
「レナさ~ん!!大丈夫ですか!?」


襲撃者を倒すとホネミンも遅れて駆けつけ、彼女は倒れている襲撃者の様子を伺う。改めて確認すると襲撃を仕掛けてきたのは森人族の男であり、年齢は20代後半ぐらいに見えるが森人族は人間よりも寿命が長いので恐らくは100才は超えている。

どうして森人族が襲ってきたのか理由は分からないが、神器を所有している事を考えても普通ではない。とりあえずはレナは男を起こす前に鑑定眼の能力を発動させて相手の正体を確かめた。


「こいつを鑑定してみる」
「鑑定?そんな能力まで持ってたんですか?」
「前にちょっとね……」


鑑定眼の能力はSPを消費して覚えており、ちなみにマリアも同様の能力を生まれ持っている。ちなみにSPを消費すればどんな能力を覚えられるというわけではなく、あくまでも相性が良い能力しか覚えられない。レナの場合は生まれ持ってはいなかったが、マリアと同じように鑑定眼の能力と相性が良かったのでSPを消費して覚えらたらしい。


「……よし、こいつの正体が分かった」
「おお、それで何者なんですか?」


一目見ただけでレナは男の素性を見抜き、視界に表示されたステータス画面を確認して男の名前は「ゾク」職業は戦士であり、厄介な称号を持っていた。


「こいつの名前はゾク、称号に殺人鬼がある」
「殺人鬼ですか……悪意を持って人を殺し続けた人間に与えられる称号ですね」
「ろくでもない奴という事は確定か……」


鑑定眼では相手の名前と職業と称号を読み取る事しかできず、それ以上の情報は掴められない。だが、この男がろくでもない奴なのは確定しているため、レナはとりあえずは縛り上げて捕まえようとした。


「とりあえず、こいつは放置できないから連れて行こう」
「ほっといてもいいんじゃないですか?」
「流石に死なれたら後味が悪い」


既に死んでいるならばともかく、ゾクはまだ生きているのでここで放置すると魔物に殺される可能性もある。仕方がなく、テンと共にゾクを持ち上げて安全地点まで連れていく事にした。

神器と思われるボーガンに関しては異空間に預ける事はせず、ホネミンが代わりに預かる事にした。彼女は歩きながらもボーガンを調べ、どのような仕組みで動いているのかを確かめる。その結果、このボーガンには面白い機能が搭載されている事が発覚した。
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