不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

先祖の恨み

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――闇組織の潜入員はレナ達を襲った闇魔導士の男だけではなく、巨人族の兵士の中にも含まれていた。逃げ出した兵士の正体は遥か昔、バルトロス帝国に領地を奪われた貴族の末裔だった。


「くそっ!!どうしてこんなことに……」
「ヒヒンッ!!」


巨人族の兵士が乗り込んでいる馬はただの馬ではなく、ギガントホースという名前の魔獣だった。外見は馬と瓜二つだが大きな違いは身体の大きさであり、普通の馬の倍以上の大きさを誇る。このギガントホースは巨人族が飼いならしており、巨人族以外では乗りこなすことができないと言われている。

兵士の名前は「アラン」彼の先祖は公爵家で巨人国の貴族の中でも一番の領地の広さを誇った。王族からの信頼も厚く、巨人国の全盛期では王族の次に繫栄していた一族だった。だが、バルトロス帝国が巨人国に侵攻を開始してから立場は一変した。

バルトロス帝国が攻め入ると巨人国は撃退しようとしたがいくら巨人族が体躯と筋力に恵まれていようと、魔法という圧倒的な力を持つ相手には無意味だった。どれだけ身体を鍛えた所で遠距離から強力な攻撃魔法を繰り出されれば抵抗することもできず、バルトロス帝国と戦争を起こす度に巨人国は領土を奪われた。当然ながら巨人国で一番大きな領地を保有していたアランの先祖は真っ先に領地を割譲を伝えられる。

幾度かの戦争の際にアランの先祖は領地の殆どを失い、何度も敗北したせいで巨人国の財政は圧迫された。アランの先祖はこれ以上の敗北を重ねると巨人国は滅びの道を辿ると判断し、帝国に全面降伏して巨人国が属国となればこれ以上に領地を奪われることはないと進言した。だが、そんな提案を王族が受け入れるはずがなく、この一件でアランの先祖は爵位を没収されてしまう。

アランの先祖が貴族でなくなってからしばらくすると、帝国の一族の中から離反者が現れてバルトロス王国を建国した。王国は帝国を打ち破ったことで事態は一変し、帝国の暴政に苦しんでいた国々は解放された。巨人国も滅びの道から回避されたが、アランの先祖は結局は全てを失う。


『おのれ!!あと少しでこの国を滅ぼせたというのに……』


アランは先祖を追放した巨人国の王族を恨んでおり、先祖の恨みを果たすために彼は屈辱を耐え忍んで兵士となって潜入した。数年の時を費やして遂にアランは大将軍の側近にまでなったが、彼の目的は大将軍のゴウカを利用して巨人国を乗っ取る計画を立てていた。

ゴウカは王族からの信頼も厚く、彼の側近としてアランは王族に近付くこともできた。後は闇組織の力を借りて密かに王族を拉致し、その後に巨人国を裏から支配する計画だったのだが、あと一歩という所で闇組織の幹部の一人が捕まってしまう。


『あと少しだったのに……あの人間さえいなければ!!』


バルトロス帝国を滅ぼしたバルトロス王族の末裔にして闇組織にとっては一番に警戒している「レナ」が巨人国に訪れるという情報を闇組織から聞き出し、アランと闇魔導士は彼を始末する絶好の機会だと判断した。もしも巨人国内でレナが死ねば必ず巨人国と王国は戦争を引き起こす。そうなれば闇組織にとっては都合がいい展開だった。

闇組織の目的は旧帝国の復活であり、巨人国とバルトロス王国が争って国力を消耗したところを攻め込むつもりだった。旧帝国の残党は殆ど残っていないが、闇組織には数々の神器を回収し、それらを分析して新しい兵器の開発に取り組んでいる。ゴウカが所有していた日輪も新兵器の試作品の一つに過ぎない。


『くそくそくそっ!!何故、俺だけがこんな目に……』


だが、闇組織の作戦は失敗に終わった。ゴウカを利用してレナと戦わせ、戦闘の途中で闇魔導士がレナを始末する予定だったが想像以上にレナの力は強大過ぎた。レナを倒すために闇魔導士は残ったが、アランはいち早く危険を察して逃げ出す。長年兵士として働いてきたのでアランはレナの戦いぶりを見ただけで自分達の手に負える相手ではないと判断した。


「走れ!!もっと早く走れっ!!」
「ヒヒンッ……」


鞭で尻を叩いてギガントホースの移動速度を上げさせようとするが、ずっと走り続けたせいでギガントホースも限界を迎えていた。アランは後方を確認するが今の所は追手の姿は見えず、無事に逃げ延びたのかと考える。


「こ、ここまでくれば……ん?何だあれは?」


何となくにアランは空を見上げると、青色と赤色の物体が浮かんでいることに気が付く。最初は何か分からなかったが徐々にこちらに向けて落下していることに気が付き、慌ててアランはギガントホースの足を止めた。


「と、止まれ!?」
「ヒヒィンッ!?」


ギガントホースが急停止するとアランの頭上を青色と赤色の巨大な球体型の物体が通過し、派手に地面に衝突した。赤と青の物体は何度か飛び跳ねた後、地面に転がり込む。
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