不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

リボンちゃん大活躍

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「何者だお前達は!?」
「は、犯罪者か!?」
「くそっ!!いい加減に離れろっ!!」
「チュチュッ!?」


ボーガンを構えていた暗殺者の一人が鼠を捕まえ、もう片方はゴンゾウに毒矢を撃ちこもうとした。しかし、ゴンゾウは撃ちこまれる前に右腕を構える。


「くたばれっ!!」
「ぬうっ!?」
「ゴンゾウ!?大丈夫か!?」


至近距離からゴンゾウの右腕に毒矢が撃ちこまれ、それを見たダインは心配するが毒矢はゴンゾウの腕には突き刺さっていなかった。まるで鋼鉄のような皮膚の硬さに毒矢は弾かれて地面に突き刺さる。それを見た暗殺者は驚愕した。


「ば、馬鹿な!?」
「残念だったな。その手の類の武器は慣れている」
「うわぁっ!?」


事前にゴンゾウは「硬化」の技能を発動させて防御を行い、矢が突き刺さらない程の硬度にまで皮膚を硬くさせていた。巨人族だけが扱える硬化は一流の戦士ならば鋼鉄以上の硬度を引き出せる。ゴンゾウは暗殺者の片方を捕まえると片手で持ち上げた。


「ふぅんっ!!」
「うわっ!?」
「ぐへぇっ!?」
「ひいっ!?」


ゴンゾウに捕まった暗殺者は地面に叩きつけられて白目を剥き、意識を失ったのか動かなくなった。それを見たもう一人の暗殺者はボーガンを落として逃げ出そうとした。


「ひいいっ!?」
「ダイン!!奴を逃がすな!!」
「あ、待てこらっ!!シャドウ・ウィップ!!」
「ぎゃああっ!?」


逃げ出した暗殺者の足元にダインは自分の影を鞭状に変化させて放ち、足元をすくわれた暗殺者は派手に転がる。顔面から地面に落ちた暗殺者は痛そうに顔を抑えるが、そんな彼の元に人影が差す。


「どうも間抜けな暗殺者さん。僕達に何か用ですか?」
「お、お前は!?」
「ミイネ!?」


暗殺者の前に現れたのはミイネであり、彼女が戻ってきたことにダインは驚く。ミイネは暗殺者を見下ろしながら笑みを浮かべ、彼女の肩には先ほど暗殺者の攻撃を邪魔した鼠が立っていた――





――時は前日にまで遡り、ミイネは自分達が何者かに見張られていることに気が付く。正体は不明だがずっと自分達を観察してくる人間に気付いた彼女はそのことをゴンゾウにだけ報告した。


「尾行されている?俺達がか?」
「ええ、正確に言えばダインさんを狙っているようです。僕の使い魔が見つけたんです」
「チュチュッ」


宿屋の一室にてミイネはダインが眠った後にゴンゾウだけを起こし、彼にだけ自分達を尾行する何者かがいることを伝えた。話を聞いたゴンゾウはミイネの使い魔を見て首をかしげる。


「この鼠は魔獣か?」
「そうです。僕の一番の友達で名前はリボンです」
「チュチュッ♪」


ミイネにリボンと名付けられた鼠型の魔獣は彼女に頬ずりし、このリボンだけは監獄都市から連れ帰ってきた。尤も鼠型の魔獣を連れまわる姿を見られると色々とまずいので普段は荷物の中に隠していた。

監獄都市生まれのミイネは常に自分の身を守るために使い魔を従え、その中でもリボンは情報収集に長けていた。鼠型の魔獣なのでどんな場所にも忍び込み、時には自分達を尾行する輩も気づかれずに確かめることができる。ミイネは夕方から何者かが自分達を尾行していることをリボンに教えてもらう。


「リボンによると尾行している人間の狙いはダインさんのようです」
「俺達は狙われていないのか?」
「はい、あくまでも敵の狙いはダインさんのようです。ダインさんが悪党に狙われる心当たりはありますか?」
「……ないな」


面倒事に巻き込まれやすいダインだが人に恨まれるような性格ではない。しかし、敵の狙いがダインであるのは事実なのでミイネはダインのために敵を捕縛する方法を考える。


「相手の目的は分かりませんがうちの隊長リーダーを狙うというのなら放っておけません」
「捕まえるのか?」
「はい、ですが捕まえるのは明日にしましょう。敵も急に動き出す様子はありませんから明日に備えて休んでください」
「だが、もしも奴等が夜に襲ってきたらどうする?」
「大丈夫ですよ。この街にはリボン以外にも僕の使い魔がいるので敵が不審な行動を取ればすぐに分かります」
「そうか、頼りになるな」


ミイネも魔物使いとして成長しており、緊急時に備えて彼女はリボン以外にも複数の魔物を使い魔にしていた。監獄都市に居た頃は数百匹の鼠を従えていたので彼女の魔物使いの腕前は一流だった。ゴンゾウはミイネと共に作戦を考えて明日実行することにした――





――ミイネの作戦通りに暗殺者を二人捕まえることに成功し、彼等を縛り付けるとダイン達は警備兵の駐屯所ではなく冒険者ギルドへ向かう。この二人はダインの命を狙っており、その理由を聞き出すためにバルがいる黒虎へと向かう。彼女ならば事情を知れば協力してくれると考えて三人は向かった。


「……あんた何やらかしたんだい?命を狙われるほどやばいことしたのかい?」
「知らないよ!!急にこいつらが襲ってきたんだよ!!」
「まあまあ、落ち着いて下さい」
「お前達、ダインを襲った理由を教えろ」
「「…………」」


バルは急にやってきたダイン達に呆れてしまうが、拘束した二人を警備兵に突き出す前に尋問を行う。
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