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聖導教会総本部編
バーサーカー
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「シャラクセェッ!!」
向い来る無数の光の刃に対し、加藤はデュランダルを振り上げようとした時、ゴンゾウが先に長椅子を持ち上げて追撃を加える。
「ふんっ!!」
ガシャンッ!!
「ウオッ!?」
長椅子をデュランダルの刃に目掛けて投擲し、見事に刀身に直撃する。同時に加藤のバランスが大きく崩れ、そのままセンリが放った光の刃が彼の身体に降り注ぐ。
ズババババッ!!
「グゥアアッ!?」
真面に受けたことで身体に無数の切傷が生まれ、いくらベルセルクで肉体を異常強化していたとしても彼自身の防御力には限界があり、血飛沫が舞う。
「今です!!畳みかけなさい!!」
「はっ!!」
「行くぞでかいの!!」
「押忍!!」
「……俺も!!」
テンとゴンゾウが同時に動き出し、2人の後方からダンゾウも向かう。彼もゴンゾウに倣ってすぐ傍の長椅子を持ち上げ、センリが「せ、聖堂が……」と少しだけ衝撃を受けているが、今この状況では仕方がない。
「金剛撃!!」
ゴンゾウが右腕を振り抜き、自分の出せる最大の腕力を振り絞って叩き込む。先ほどの「光の刃」で損傷した加藤は隙が生まれ、彼は咄嗟にデュランダルの刃で防ごうとするが、強化されたゴンゾウの拳の方が遥かに速い。
ドゴォオオオオンッ!!
「グァアアアアアアッ!?」
まるで大型トラックに衝突したかのように加藤は吹き飛ばされ、ベルセルクで強化した肉体よりも、ゴンゾウの「鬼人化」の状態の方が優っていたらしい。
ドガァアアアアンッ!!
派手に壁際に衝突し、加藤の身体がめり込む。同時に彼の手元から離れたデュランダルが床に転がり、すぐにテンが回収に向かう。
「グ、ウウ……!!」
「ぬんっ!!」
「ゴハァッ!?」
ドォオオオンッ!!
追撃とばかりにゴンゾウが壁にめり込んだ加藤に拳を放ち、彼の身体がより壁の中に埋まり込む。その後方からダンゾウが接近し、
「下がれ!!」
「ぬっ!?」
ゴンゾウが振り返ると、そこにはダンゾウが右足を振りかぶり、まるでサッカーのシュートのように蹴り付ける。
ドゴォオオオンッ!!
「ガハァッ……!?」
横薙ぎにダンゾウの蹴りが壁にめり込み、その勢いで加藤の身体が壁の中から姿を現す。仮にゴンゾウがさらに追撃を掛けていた場合、相手を殺しかねなかった。
「よし、回収……って、うおおっ!?」
その間にもデュランダルを持ち上げようとしたテンが剣の柄を握りしめた瞬間、苦悶の表情を浮かべる。この大剣の性質はあらゆる魔力を吸収し、単純な肉体能力でなければ持ち上げる事は不可能。
さらにいくら彼女が肉体を鍛えていると言っても、通常状態の重量が「200kg」を誇るデュランダルを持ち上げる事は不可能であり、彼女の近くにいたリノンたちが手伝いを行おうとしたが、
「お、重い……!!」
「わぅうっ……!!」
「し、忍に不可能の文字は無いでござるが……これは流石に……!!」
「ちょっ……あんたら本当に力んでいるのかい!?」
4人がかりでデュランダルを持ち上げようとしたが、床に落ちた大剣はぴくりとも動かず、明らかに通常時よりも重量が増している。本来ならば巨人族しか扱えない代物だと聞いているが、幾ら何でも重すぎる。
「ご、ゴンゾウ!!来て……」
「ダンゾウ殿!!手伝って……」
すぐにこの聖堂内に居る2人の巨人族に視線が集まるが、
「「ぐはぁあああああああっ!?」」
ドゴォォオオオオンッ!!
「「っ!?」」
2人の巨体が空中に舞い、ダンゾウは聖堂の出入口に身体を突っ込み、ゴンゾウは「天井」にめり込む。あまりの異常事態に全員が目を見開くと、
「……ァアアアアアアッ……!!」
ビキィィイイイッ……!!
すぐに言いようのない奇声が広がり、ダンゾウに吹き飛ばされたはずの加藤が再び立ち上がっており、その身体には更なる異変が起きていた。
「あれは……まさか!?」
「……鬼!?」
――彼の肉体がより赤く変色し、まるで「鬼」を思わせる角が頭頂部に生えていた。また、より一層に肉体が大きく変化し、筋肉が膨張している。
この姿は勇者達が現実世界で利用していた「M・S・W2」というオンラインゲームでは、一定時間「ベルセルク」を発動していると自動的に変化する「バーサーカー」と呼ばれる状態であり、この姿だとプレイヤーの操作が不可能となり、外部の者に倒されるまで延々と暴れ続ける。
ベルセルクが全ステータスを「3倍」に引き上げるのに対し、この「バーサーカー」は「腕力」のみを特化した状態であり、その能力向上の数値は「10倍」反面にこの状態では一切の魔法が扱えず、さらに言えば理性を失うため、敵味方の分別が効かない。
「グォオオオオオオッ!!」
「「ひっ!?」」
「くっ……」
センリが前に出ると、訪問者達を守るために光球を生み出し、
「ハンドレッド!!」
ボウッ……!!
文字通り、彼女の周囲に「百」の光球が生み出され、その形状を「鏃」からまるで「弾丸」へと変化させ、高速回転を行う。
「シューター!!」
ズドォオオオオンッ!!
そして、百の「光の弾丸」が加藤に向けて放たれた――
向い来る無数の光の刃に対し、加藤はデュランダルを振り上げようとした時、ゴンゾウが先に長椅子を持ち上げて追撃を加える。
「ふんっ!!」
ガシャンッ!!
「ウオッ!?」
長椅子をデュランダルの刃に目掛けて投擲し、見事に刀身に直撃する。同時に加藤のバランスが大きく崩れ、そのままセンリが放った光の刃が彼の身体に降り注ぐ。
ズババババッ!!
「グゥアアッ!?」
真面に受けたことで身体に無数の切傷が生まれ、いくらベルセルクで肉体を異常強化していたとしても彼自身の防御力には限界があり、血飛沫が舞う。
「今です!!畳みかけなさい!!」
「はっ!!」
「行くぞでかいの!!」
「押忍!!」
「……俺も!!」
テンとゴンゾウが同時に動き出し、2人の後方からダンゾウも向かう。彼もゴンゾウに倣ってすぐ傍の長椅子を持ち上げ、センリが「せ、聖堂が……」と少しだけ衝撃を受けているが、今この状況では仕方がない。
「金剛撃!!」
ゴンゾウが右腕を振り抜き、自分の出せる最大の腕力を振り絞って叩き込む。先ほどの「光の刃」で損傷した加藤は隙が生まれ、彼は咄嗟にデュランダルの刃で防ごうとするが、強化されたゴンゾウの拳の方が遥かに速い。
ドゴォオオオオンッ!!
「グァアアアアアアッ!?」
まるで大型トラックに衝突したかのように加藤は吹き飛ばされ、ベルセルクで強化した肉体よりも、ゴンゾウの「鬼人化」の状態の方が優っていたらしい。
ドガァアアアアンッ!!
派手に壁際に衝突し、加藤の身体がめり込む。同時に彼の手元から離れたデュランダルが床に転がり、すぐにテンが回収に向かう。
「グ、ウウ……!!」
「ぬんっ!!」
「ゴハァッ!?」
ドォオオオンッ!!
追撃とばかりにゴンゾウが壁にめり込んだ加藤に拳を放ち、彼の身体がより壁の中に埋まり込む。その後方からダンゾウが接近し、
「下がれ!!」
「ぬっ!?」
ゴンゾウが振り返ると、そこにはダンゾウが右足を振りかぶり、まるでサッカーのシュートのように蹴り付ける。
ドゴォオオオンッ!!
「ガハァッ……!?」
横薙ぎにダンゾウの蹴りが壁にめり込み、その勢いで加藤の身体が壁の中から姿を現す。仮にゴンゾウがさらに追撃を掛けていた場合、相手を殺しかねなかった。
「よし、回収……って、うおおっ!?」
その間にもデュランダルを持ち上げようとしたテンが剣の柄を握りしめた瞬間、苦悶の表情を浮かべる。この大剣の性質はあらゆる魔力を吸収し、単純な肉体能力でなければ持ち上げる事は不可能。
さらにいくら彼女が肉体を鍛えていると言っても、通常状態の重量が「200kg」を誇るデュランダルを持ち上げる事は不可能であり、彼女の近くにいたリノンたちが手伝いを行おうとしたが、
「お、重い……!!」
「わぅうっ……!!」
「し、忍に不可能の文字は無いでござるが……これは流石に……!!」
「ちょっ……あんたら本当に力んでいるのかい!?」
4人がかりでデュランダルを持ち上げようとしたが、床に落ちた大剣はぴくりとも動かず、明らかに通常時よりも重量が増している。本来ならば巨人族しか扱えない代物だと聞いているが、幾ら何でも重すぎる。
「ご、ゴンゾウ!!来て……」
「ダンゾウ殿!!手伝って……」
すぐにこの聖堂内に居る2人の巨人族に視線が集まるが、
「「ぐはぁあああああああっ!?」」
ドゴォォオオオオンッ!!
「「っ!?」」
2人の巨体が空中に舞い、ダンゾウは聖堂の出入口に身体を突っ込み、ゴンゾウは「天井」にめり込む。あまりの異常事態に全員が目を見開くと、
「……ァアアアアアアッ……!!」
ビキィィイイイッ……!!
すぐに言いようのない奇声が広がり、ダンゾウに吹き飛ばされたはずの加藤が再び立ち上がっており、その身体には更なる異変が起きていた。
「あれは……まさか!?」
「……鬼!?」
――彼の肉体がより赤く変色し、まるで「鬼」を思わせる角が頭頂部に生えていた。また、より一層に肉体が大きく変化し、筋肉が膨張している。
この姿は勇者達が現実世界で利用していた「M・S・W2」というオンラインゲームでは、一定時間「ベルセルク」を発動していると自動的に変化する「バーサーカー」と呼ばれる状態であり、この姿だとプレイヤーの操作が不可能となり、外部の者に倒されるまで延々と暴れ続ける。
ベルセルクが全ステータスを「3倍」に引き上げるのに対し、この「バーサーカー」は「腕力」のみを特化した状態であり、その能力向上の数値は「10倍」反面にこの状態では一切の魔法が扱えず、さらに言えば理性を失うため、敵味方の分別が効かない。
「グォオオオオオオッ!!」
「「ひっ!?」」
「くっ……」
センリが前に出ると、訪問者達を守るために光球を生み出し、
「ハンドレッド!!」
ボウッ……!!
文字通り、彼女の周囲に「百」の光球が生み出され、その形状を「鏃」からまるで「弾丸」へと変化させ、高速回転を行う。
「シューター!!」
ズドォオオオオンッ!!
そして、百の「光の弾丸」が加藤に向けて放たれた――
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