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剣乱武闘編
二丁魔銃
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「おっと……そろそろ時間だな、あとは任せたぞ」
「はっ……」
「待て……!?」
「バレット」
チュドンッ!!
自分の木札を確かめ、そのままカノンに戦闘を任せて立ち去ろうとするシャドウにリノンが静止の言葉を掛けるが、即座にカノンが前に出ると今度は先ほどは違う火属性の魔弾を放つ。
ドォンッ!!
「ぐあっ……!?」
「リノンさん!!」
「リノン!!」
その速度は先ほどの光線の比ではなく、本物の弾丸に匹敵する速度であり、肉体強化をしたリノンでも避けきれず、右足の膝元を掠る。運よく、致命傷は避けたようだが威力は現実世界の銃弾とは比べ物にならない。
「ちっ……」
バチィイイイッ!!
レノは即座に動き出し、右腕に撃雷を纏わせ、カノンが拳銃を構え直す前に仕留めようとするが、
「だめだ……その人は!!」
「っ!?」
後方からリノンの叫び声が聞こえ、前方のカノンが拳銃を握っていない左手を向け、その「手袋」には「戦車」の砲台を想像させる形の銃器が設置されていた。
レノは反射的に「瞬脚」を発動させて回避行動を取るが、既にこちらに向けられた左手の「銃口」には赤い光を射しており、
「バレット」
チュドンッ!!
予想通りというべきか、銃口から先ほどと同様の魔弾が放たれ、真っ直ぐにレノに向かうが、先ほどリノンに放った弾丸よりは遅い。
「なんのっ!!」
ガキィンッ!!
左腕の聖爪を振り上げ、上手く魔弾を弾き飛ばす。威力はそれほどではないのか、簡単に弾き返せたことに安堵する。
「今度は……こっちだ!!」
ズドドドドッ!!
レノは聖爪の5つのリングをカノンに向けて射出し、1つでも身体に突き刺されば電流を流しこめるのだが、
「連射」
チュドドドッ!!
カノンは左手に取り付けた魔獣から火属性の弾丸を連発し、全てのリングを弾き返す。レノはそれを確認すると、すぐにリングに接合させている鎖を引き寄せ、再び自分の左腕に装着する。
「……強い」
「ああ……あの人は紛れも無く大将軍だからな。右手の「レイザー」に左手の「キャノン」……遠距離も接近戦も得意とする強者だ」
「カノンさん……」
「くっ……」
左手の聖爪を確認し、幸いにも損傷が無い事を確認すると、レノは前方で両手の魔銃を構えるカノンに冷や汗を流す。この世界に来てから一度も銃器を取り扱う相手と相対したことは無く、ましてや相手は正真正銘の大将軍であり、更にこの狭い通路では分が悪い。
「魔鎧(フラム)」を使用すればあの銃弾にも対応できるのだろうが、右腕に魔力を集中する分、肉体強化以外の魔法は扱えない。だが、このまま丸腰ではいずれは銃で撃ち抜かれて負けてしまう。
「……そろそろ時間か」
「くっ……」
「ど、どうします……!?」
「…………」
レノは木札を確認し、ほとんど余裕が無い事に気付く。第二次予選の開始まで数分と残っておらず、地上まで移動する時間を考えると少なくともあと「3分」が限界だ。
予選開始までに闘技場の外に出なければ強制敗退であり、レノ達は参加資格を失う。だが、一番近い螺旋階段の通路はカノンが立ち塞いでおり、彼女を何とかしなければ先に進む事は出来ない。
「皆……退いてくれ」
「だめだ」
ゴンゾウがリノン達を押しのけ、カノンと相対しようとしたが、それをレノが止める。彼は何か言いたげに見つめてくるが、ここでゴンゾウに「鬼人化」を発動させて暴れさせたら通路の方が崩壊する。
「レノ……」
「ゴンちゃんに任せたら、ここが崩壊する」
「だが……」
「いいから下がってろって……仕方ない」
ゴキゴキィッ……!!
右手を鳴らし、ゆっくりと歩みだす。カノンはレノに銃口を向けたまま動かず、先ほどの聖爪の攻撃を警戒しているのか、彼の銀の鎖で形成した左腕に注意を払っている。
やはり、目の前のカノンには僅かながらに「意識」が残っているように見え、地下迷宮にいたグールと似た状態だ。但し、グールは元々は生前が死霊使いだったからこそ死人に変わり果てようが最低限の意識は残っていたが、彼女はリノン達の話しぶりから考えても魔銃を取り扱う魔法使いのはずであり、どうして今でも意識が残っているのか気にかかる。最も、今は考察よりも一刻も早く終わらせなければならない。
「仕方ない……」
ブチィッ……
「レノさん……?」
「何を……」
「まさか……」
自分の長髪を結んでいる髪結いの紐を爪で切り裂き、大会では使用できない奥の手を披露する。
「ソフィア」
ボウッ……!
――髪の毛が白雪のように光り輝き、瞳がまるで宝石を想像させる碧眼に変化し、肉体も大きく変化する。そんな彼女の変化に対し、カノンは眉を顰めるが、すぐに銃口を構え、
「バレット」
ズドンッ!!
ソフィアの顔面に目掛けて右手の魔銃で弾丸を放ち、火属性の魔力の塊が向かってくるが、
(……なるほど、銃弾に火炎を纏わせていたのか)
レノの時よりも優れた動体視力で向い来る魔弾を観察し、冷静にソフィアは右手を構える。この状態ならば男の姿よりも身体能力が大幅に上昇しており、肉体強化を発動させずとも、
ガシィッ!!
「わぅんっ!?」
「嘘……!?」
「おおっ……!!」
「ふぃ~……」
右の掌で銃弾を受け止め、そのまま「魔鎧(フラム)」を掌の部分にだけ展開させ、力ずくで銃弾を握り潰した。
「はっ……」
「待て……!?」
「バレット」
チュドンッ!!
自分の木札を確かめ、そのままカノンに戦闘を任せて立ち去ろうとするシャドウにリノンが静止の言葉を掛けるが、即座にカノンが前に出ると今度は先ほどは違う火属性の魔弾を放つ。
ドォンッ!!
「ぐあっ……!?」
「リノンさん!!」
「リノン!!」
その速度は先ほどの光線の比ではなく、本物の弾丸に匹敵する速度であり、肉体強化をしたリノンでも避けきれず、右足の膝元を掠る。運よく、致命傷は避けたようだが威力は現実世界の銃弾とは比べ物にならない。
「ちっ……」
バチィイイイッ!!
レノは即座に動き出し、右腕に撃雷を纏わせ、カノンが拳銃を構え直す前に仕留めようとするが、
「だめだ……その人は!!」
「っ!?」
後方からリノンの叫び声が聞こえ、前方のカノンが拳銃を握っていない左手を向け、その「手袋」には「戦車」の砲台を想像させる形の銃器が設置されていた。
レノは反射的に「瞬脚」を発動させて回避行動を取るが、既にこちらに向けられた左手の「銃口」には赤い光を射しており、
「バレット」
チュドンッ!!
予想通りというべきか、銃口から先ほどと同様の魔弾が放たれ、真っ直ぐにレノに向かうが、先ほどリノンに放った弾丸よりは遅い。
「なんのっ!!」
ガキィンッ!!
左腕の聖爪を振り上げ、上手く魔弾を弾き飛ばす。威力はそれほどではないのか、簡単に弾き返せたことに安堵する。
「今度は……こっちだ!!」
ズドドドドッ!!
レノは聖爪の5つのリングをカノンに向けて射出し、1つでも身体に突き刺されば電流を流しこめるのだが、
「連射」
チュドドドッ!!
カノンは左手に取り付けた魔獣から火属性の弾丸を連発し、全てのリングを弾き返す。レノはそれを確認すると、すぐにリングに接合させている鎖を引き寄せ、再び自分の左腕に装着する。
「……強い」
「ああ……あの人は紛れも無く大将軍だからな。右手の「レイザー」に左手の「キャノン」……遠距離も接近戦も得意とする強者だ」
「カノンさん……」
「くっ……」
左手の聖爪を確認し、幸いにも損傷が無い事を確認すると、レノは前方で両手の魔銃を構えるカノンに冷や汗を流す。この世界に来てから一度も銃器を取り扱う相手と相対したことは無く、ましてや相手は正真正銘の大将軍であり、更にこの狭い通路では分が悪い。
「魔鎧(フラム)」を使用すればあの銃弾にも対応できるのだろうが、右腕に魔力を集中する分、肉体強化以外の魔法は扱えない。だが、このまま丸腰ではいずれは銃で撃ち抜かれて負けてしまう。
「……そろそろ時間か」
「くっ……」
「ど、どうします……!?」
「…………」
レノは木札を確認し、ほとんど余裕が無い事に気付く。第二次予選の開始まで数分と残っておらず、地上まで移動する時間を考えると少なくともあと「3分」が限界だ。
予選開始までに闘技場の外に出なければ強制敗退であり、レノ達は参加資格を失う。だが、一番近い螺旋階段の通路はカノンが立ち塞いでおり、彼女を何とかしなければ先に進む事は出来ない。
「皆……退いてくれ」
「だめだ」
ゴンゾウがリノン達を押しのけ、カノンと相対しようとしたが、それをレノが止める。彼は何か言いたげに見つめてくるが、ここでゴンゾウに「鬼人化」を発動させて暴れさせたら通路の方が崩壊する。
「レノ……」
「ゴンちゃんに任せたら、ここが崩壊する」
「だが……」
「いいから下がってろって……仕方ない」
ゴキゴキィッ……!!
右手を鳴らし、ゆっくりと歩みだす。カノンはレノに銃口を向けたまま動かず、先ほどの聖爪の攻撃を警戒しているのか、彼の銀の鎖で形成した左腕に注意を払っている。
やはり、目の前のカノンには僅かながらに「意識」が残っているように見え、地下迷宮にいたグールと似た状態だ。但し、グールは元々は生前が死霊使いだったからこそ死人に変わり果てようが最低限の意識は残っていたが、彼女はリノン達の話しぶりから考えても魔銃を取り扱う魔法使いのはずであり、どうして今でも意識が残っているのか気にかかる。最も、今は考察よりも一刻も早く終わらせなければならない。
「仕方ない……」
ブチィッ……
「レノさん……?」
「何を……」
「まさか……」
自分の長髪を結んでいる髪結いの紐を爪で切り裂き、大会では使用できない奥の手を披露する。
「ソフィア」
ボウッ……!
――髪の毛が白雪のように光り輝き、瞳がまるで宝石を想像させる碧眼に変化し、肉体も大きく変化する。そんな彼女の変化に対し、カノンは眉を顰めるが、すぐに銃口を構え、
「バレット」
ズドンッ!!
ソフィアの顔面に目掛けて右手の魔銃で弾丸を放ち、火属性の魔力の塊が向かってくるが、
(……なるほど、銃弾に火炎を纏わせていたのか)
レノの時よりも優れた動体視力で向い来る魔弾を観察し、冷静にソフィアは右手を構える。この状態ならば男の姿よりも身体能力が大幅に上昇しており、肉体強化を発動させずとも、
ガシィッ!!
「わぅんっ!?」
「嘘……!?」
「おおっ……!!」
「ふぃ~……」
右の掌で銃弾を受け止め、そのまま「魔鎧(フラム)」を掌の部分にだけ展開させ、力ずくで銃弾を握り潰した。
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