種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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剣乱武闘編

魔銃VS魔鎧

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「さて、と……時間は掛けられないから、本気で行くよ?」
「……どうぞ」


ソフィアは掴み取った銃弾を確認し、予想に反して現実世界の銃弾と違い、ただの鉄塊にしか見えない。鉛とは違う特殊金属で出来ており、火薬の臭いも混じっている。

カノンはソフィアの変化に動揺もせず、両手の銃口を向けたまま動かない。木札の時間を確認する暇はないが、残りの猶予は「2分」ほどしかない事は分かる。時間が過ぎれば大会の予選に間に合わず、失格となってしまう。


「それじゃあ……行くぞ」


ボウッ……!!


「ほ、炎!?」
「れ、レノさん!?腕がも、燃えてますよ!?熱くないんですか!?」
「当たっていたのか!?」
「落ち着きなさいよ君たち」


右腕の「魔鎧(フラム)」の魔力を強めた瞬間、リノン達には唐突にソフィアの右腕が青く光り輝く「炎」に包まれたように見え、驚愕を隠せない。出来れば大会の本戦まで隠しておきたかったが、状況が状況のため仕方がない。


「ダブル・バレット」


ズドドドッ!!


「どこら辺がダブル!?」


カノンが両手の魔銃を構え、無数の魔弾を放つ。火属性の弾丸が次々と的確にソフィアの急所に向けて放たれ、彼女は回避すれば後方に立つゴンゾウたちに跳弾が当たる可能性があるため、避けられない。


ガキィンッ!!


「ふんっ!!」


ガァンッ!!


右腕の魔鎧と左腕の聖爪を使用して全ての弾丸を弾き落とす。幸い、ソフィアの姿ならば優れた動体視力で弾丸の軌道を察知し、鋼鉄以上の硬度を誇る魔鎧と銀の鎖で構築した左腕で十分に対応できる。

カノンは次々と弾丸を弾き落とすソフィアに眉を顰め、右手の魔銃を両手で構えると、最初に発砲した魔法を発動させる。


「シューター」
「っ!!」


ボウッ……!!


銃口に魔方陣が展開され、ソフィアは最初の熱線を放つのだと察知し、両腕を交差させて構える。



ズドォオオンッ!!



魔方陣から火球が誕生し、そのまま一筋の光と化して放たれる。ソフィアは向い来る熱線に対し、真正面から受け止める。



ズガァアアアアアッ!!



「くっ……!!」
「レノ……うわっ!?」
「わぅうっ!?」
「うおっ!?」


光線を魔鎧と鎖の腕で上手く防御するが、その勢いは凄まじく、徐々に彼女の身体が後ずさる。熱線はそのまま四散し、周囲に火が迸る。

右腕の魔鎧はあらゆる魔法を内側から打ち消す効能があるが、杖先から常に放出され続けている熱線では効果は無い。これが仮に先ほどの魔弾の類だったら一瞬で消散出来ただろうが、常時放たれる魔法を無効化する事は出来ない。

だが、右腕に熱線を浴び続けても火傷を負う感覚は無い。どうやらカノンの熱線よりも魔鎧の方が上のようであり、むしろ左腕の鎖の腕が高熱を帯びてしまう。


「くっ……のぉっ!!」


ゴォオオオオオオオッ!!


受け止めていた右腕で熱線を防ぎながら、ソフィアは掌を開き、そのまま片手で熱線を受け止める。そして、勢いよく左腕を振り被り、


「絡み取れ!!」


ジャララララッ!!


地面に向けて銀の鎖を射出し、まるで蛇のようにうねりながらカノンの足元に向かう。彼女はそれを確認し、右手で魔銃を構えながら左手を差し向け、


「連射」


チュドドドッ!!


左手に取り付けた魔銃から魔弾を連発させ、銀の鎖を撃ち抜こうとするが、不規則に動く鎖はそれらを全て回避し、カノンの右足首に絡みつく。


「とぉっ!!」
「っ……」


そのまま鎖を引き上げ、カノンのバランスが大きく崩れて魔銃から放たれていた熱線が途切れる。その隙にソフィアは動き出し、


ドォンッ!!


「おおおっ!!」
「……バレット!!」


向い来るソフィアに対し、カノンは倒れた状態で左手の魔銃を構え、無数の火属性の弾丸を連発する。


ズドォッ!!ズゥンッ!!


「ぐっ……!!」


幾つかの弾丸がソフィアの身体に衝突するが、大幅に強化された肉体を貫通するまでには至らず、そのまま突進する。


「らあっ!!」


魔鎧を纏わせた右腕を大きく振り上げ、そのままカノンの胸元に向けて放つ。死人ならば必ず心臓に何らかの仕掛けが施されており、仮に魔道具の類で操作されているならばこのまま拳を振り落せば破壊できる。

カノンは向い来る拳に対し、即座にソフィアの腹部に向けて左手を突き出し、そのまま直接彼女に魔銃を構え、



ドゴォォオオオオンッ!!


ズドォオオオンッ!!



「がはっ……!?」
「……ぐうっ……!!」
「レノッ!!」
「レノさん!!」
「レノォオオオッ!!」


ソフィア(レノ)の拳がカノンの打ち込まれるのと同時に、彼女の腹部にも魔銃の弾丸を撃ち込まれたが、


「……いつぅっ……!!」


ジャラララッ……


そのまま膝を着き、腹部に巻き付いた銀の鎖を確認して安堵の息を吐く。突進する前に念のために服の内側からプロテクター代わりに鎖を巻き付かせたのが功を奏し、上手く魔弾を防御出来たようだ。


「がはっ……!!」


バタッ……


地面を見下ろすと、カノンが吐血して倒れ込み、そのまま動かなくなる。それを確認するとソフィアは木札を確認すると、


「……ダッシュしても間に合うかな」


既に時間が迫っており、腹部の激痛を確認しながら走れるか不安を抱いた。
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