種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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剣乱武闘編

聖重剣

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「くっ……ヒール」


ボウッ……!


アルトは傷ついた腕に魔石を掲げ、回復魔法を使用して腕を癒す。どうやら治癒魔法も扱えるらしく、よくよく思い返せばアルトが聖属性の力を習得している事を思い出す。

レノが所持している銀の鎖と聖爪ではデュランダルには遠く及ばず、紋様に秘めているカラドボルグだけがデュランダルと対抗できるが、発動する好機を逃せば後は無い。


「ふうっ……流石に強いな」
「まあね」
「だが、ここまでだ」


ジャキィッ!!


アルトはデュランダルを振るいあげ、今までとは違い、大剣を上段に構える。そして徐々に刃が振動を行い、周囲に異変が起きる。最初に影響が訪れたのはアルトの足元の地面であり、徐々に砂や石が浮き上がり、だんだんと周囲に影響が広がる。刃が振動をより強めていき、すぐにアルトの意図に気が付く。


(周囲全体に衝撃波を送るつもりか!!)


確かにそれならばどこへ逃げようと避ける事は不可能であり、今から移動を試みたところで逃げ切れるはずがない。だからといってアルトに攻撃を仕掛けるために迂闊に接近したら、彼はきっと至近距離から衝撃波を浴びせるだろう。

レノの弱点は魔術師が得意とする遠距離系の魔法が扱えず、至近距離に特化した戦法しか出来ない。唯一の遠距離からでも攻撃できる「撃嵐」でさえも威力が制御できず、暴風を生み出す事しか出来ない。


(衝撃波を避けることは不可能……なら、この手しかない)


すぐに右手を地面に構え、距離があるため威力は期待できないが地雷を放つ。


バチィイイイッ!!


電流が真っ直ぐに足元を伝り、アルトに向かう。だが、同時に彼も準備を終えており、大剣を回転させるように振り上げる。



「振動剣!!」



ドゴォオオオオオンッ!!



周囲の空気に振動を送り込み、一瞬で衝撃波と変わり果て、アルトの周囲全体に凄まじい亀裂が発生する。レノはすぐに瞬脚で後方に移動しながら魔鎧を発動させ、迫りくる衝撃波に右腕を構えるが、



ズゥウウウンッ……!!



「ぐはっ……!?」


身体全体に空気の「波」が走り、レノは堪らずに倒れこむ。そんな彼の姿にアルトは笑みを浮かべたが、すぐに足元の異変に気が付き、



ズドォオオオオンッ!!



「ぐはぁああああっ!?」



足元から雷が放たれ、アルトの身体に電流が流し込まれる。彼はその場で膝を着き、レノに視線を向ける。


「くっ……」
「……やっぱり、そう簡単に勝たせてくれないか」
「まだっ……悪あがきをっ」


全身に痛みが走りながらもレノは立ち上がろうとするが、足が上手く動かない。今までに様々な魔物と相対してきたが、身体全体がここまで上手く動かなくなるような事態は無かった。先ほどのデュランダルの「振動波」はレノの肉体を痙攣させ、これでは動けるまでに回復するのに時間が掛かる。だが、アルトは追撃のために立ち上がり、大剣を構える。


「これで……終わりだ……!?」


ズシンッ!!


大剣を持ち上げようとした瞬間、まるで剣の重量に耐え切れずに地面に零れ落としてしまう。どうやら先ほどの振動波の反動と地雷の損傷により、彼もまともに動けない様子だ。


「くそっ……あと一撃で……!!」
「……ふうっ……」


歯ぎしりを行うアルトに対し、レノは冷静に身体が動くのを待つ。先にこの膠着状態を抜け出した瞬間が勝敗を決める。このままアルトも終わる気は無いのか、彼は全身の力を振り絞り、何とか立ち上がると、残りの魔力を両手の大剣に注ぎ込む。



――彼の最大の必殺技「ディバインスラッシュ」を放つため、さらにデュランダルの「衝撃波」を上乗せして攻撃を行うつもりなのだろう。



「……仕方ない」


ここまでの戦闘でレノ自身も魔力を消費しており、次の一撃で終わらせるしかない。右手の紋様を確認し、残された魔力を送り込む。



「……カラドボルグ」



ゴォオオオオオオッ……!!



右手から金色の雷を放出させる大聖剣を発現させ、アルトは目を見開く。だが、正面からカラドボルグを打ち倒さない限り、彼にとって決してレノに勝利したとは言えない。


「……これが最後だ……!!」


カッ!!


デュランダルの刀身が白く光り輝き、大剣を大きく振り上げると、レノもカラドボルグの柄を握りしめ、2人は同時に振り落す。



「ディバインスラッシュ!!」
「薙ぎ払え!!」



――ズガァアアアアアアアンッ!!



衝撃波と聖属性の力が交わった「衝撃波」に対し、反対方向から金色の「雷撃」が放たれ、2つの大聖剣の砲撃は広場で交わり、



――ドガァアアアアアアアアンッ!!



「うああっ!!」
「ぐぅっ……!!」



衝撃波と雷撃が押し合う形となり、アルトは刀身から放たれる光の奔流を強め、レノも雷の放出を続ける。



ゴゴゴゴゴッ……!!



「うおぉおおおおおおおっ!!」
「くっ……!?」


最初の内は拮抗していたが、徐々にカラドボルグの出力が縮まり、逆にデュランダルの砲撃がより一層に強まっていく。少しずつ、電撃を跳ねのけてレノの元に向い、アルトは雄叫びを上げる。

段々とだが、レノの髪の毛が白色に染まっていき、魔力の終わりが近い事を示す。その一方で、アルトは全身の魔力を注ぎ込み、



「これで……終わりだぁああああああっ!!」



ズドォオオオオオオンッ!!



デュランダルの刀身から放たれる光の奔流が膨れ上がり、一気に「カラドボルグ」の雷光を押しのけていく。



――だが、



「……こう、か」
「何!?」



ズガァアアアアアッ……!!



あと少しという所で、カラドボルグに異変が生じ、雷光を放つ刀身の部分に紋様らしき文字が浮かび上がり、


「これは……こうやって使うのか」


合点が言ったようなレノの言葉が耳に入り、アルトは視線を向けると彼の黒衣の左腕も剣の柄を握りしめており、



ダァンッ!!



「ぁあああああああああっ……!!」



あろう事か、そのまま雷光を放出し続けながらアルトの放った「ディバインスラッシュ」の砲撃に刃を放ち、そのまま光の奔流を正面から弾き返して突進してくる。

最早、その動きは人間の物ではなく、狼などの獣を想像させる速度であり、レノの髪の毛が完全に白色となる寸前、



「……っ……レノォオオオオオオッ!!」
「らぁああああああああっ!!」



ガキィイイイイイイイイインッ!!



遂にはデュランダルの放出するディバインスラッシュを打ち払い、アルトの眼前にまで迫ると、そのまま彼が反撃の行動を移す前にカラドボルグを振り上げ、デュランダルに叩き付ける。


ドォオオオオンッ……!!


大聖剣同士が衝突し、金属音が周囲一帯に鳴り響くと同時に、2つの刃から凄まじい衝撃波が発生し、両者が吹き飛ばされた――
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