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闘人都市崩壊編
隕石群
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――ドガァアアアアンッ……!!
「派手にやってるな……奴等」
都市に目掛けて隕石群が落下するのを確認しながら、建物の屋根をレノは瞬脚で跳躍し続ける。
「きゃあぁああああっ!?」
「た、助けくれぇえええっ!!」
「うわぁあああああっ!!」
悲鳴が聞こえ、地面を見下ろすと、そこには家族らしき集団が建物の傍で立ち止まっており、彼等の頭上から倒壊した瓦礫が向かってくる。
「乱刃!!」
ドシュッ!!
レノは右手を向け、家族に向けて三日月状の嵐の刃を放つと、空中で瓦礫と衝突し、派手に砕け散る。
「ひぃいいいいっ!!」
「な、何だ!?」
「馬鹿!!何してんだ!!早く逃げろ!!」
家族が無事だったのを確認すると、レノは次々と天上から降りかかる小規模の隕石群に視線を向け、どうやら一つ一つは本物の隕石並の威力は無いようだが、それでも建物を崩壊させる程度の威力は誇る。
「何が起こっている……のかは、分かり切っているな」
――レノは遥か前方の「闘技場」を確認し、闘技場の上空に巨大な「魔方陣」が展開されている。今までに見たことが無い種類の紋様であり、あそこから無数の隕石群が天上から引き寄せられ、都市全体に降り注いでいる。
恐らく、あそこにアイリィの語る魔王が存在し、同時にセンチュリオンも行動を起こしている。一体どれほどの人数が集まっているのかは分からないが、1人や2人ではない。
ボウッ……!!
「……近い」
右手の紋様が今までにないほど光り輝き、複数の聖痕所持者この闘人都市に待ち構えている事が分かる。罠の可能性は高いが、闘技場に向かわなければ何時までも隕石群が止まらない。
先ほどからアイリィとの連絡も途絶え、隕石群は数を増している。このままでは闘人都市が完全に崩壊してしまい、またレノの帰る居場所が無くなってしまう。それだけは耐えられず、もう二度と自分の「居場所」を失いたくない。そんな焦燥に駆られながらも、レノは建物を跳躍し、闘技場に向かう。
「ひゃっは~!!」
「……?」
前方の建物へ跳躍中、下から不可解な声が聞こえ、視線を向けると、
「隙だらけだぜぇっ!!」
そこには猫型の獣人が飛び上がり、下方からレノの身体に目掛けてナイフを突きだしており、真っ直ぐに向かってくるが、
「邪魔っ!!」
ドォンッ!!
「んなっ……!?」
空中で瞬脚を行い、その場を回避すると、獣人の男は慌てふためいて防御の体勢に取ろうとするが、敵と判断したレノは容赦なく右腕に螺旋状の風雷を纏わせ、
「失せろ!!」
「ぐはぁああああっ!?」
ズドォオオオオンッ……!!
そのまま「撃雷」を男に叩き込み、遥か彼方まで吹き飛ばす。同時にレノは殴りつけた反動を利用して近くの建物の屋根に着地すると、一体何だったのかと先ほどの人物が吹き飛ばした方向に視線を向けたとき、
「あいつだ!!」
「殺せ!!」
「逃すな!!」
周囲から声が聞こえ、見渡すと冒険者らしき無数の種族が入り乱れ、レノに向かって移動してくる。一体彼等が何者なのかは分からないが、取りあえずは深淵の森の刺客ではない。
「何なんだ一体……」
「隙あ……ぐへぇっ!?」
後方から近付いてきた相手に右足を叩き込み、そのまま建物から落とすと、肉体強化(アクセル)を発動させ、
ビキィイッ……!!
「邪魔をするな!!」
ドォオオンッ!!
屋根の一部を崩壊させ、一気に跳躍しながら地面に下降し、今度は足元に嵐属性の車輪を形成させ、
「風輪」
ズガガガガッ……!!
ローラーブレードの要領で地面を滑走し、そのまま闘技場に向かう。下手に建物の上を跳躍しては空中で狙われるため、いっその事、地上から向かう方が良いと判断した。
「くそっ……何て速さだ!!」
「追いかけろ!!」
「俺が優勝するんだ!!」
後方から無数の冒険者が追跡するが、すぐに距離を突き放す。そんな彼らの言葉にレノは不審気に振り返り、何人かは見覚えがある。
――数日前に行われた第一次予選と第二次予選の剣乱武闘の参加者であり、既に敗退した彼らが何故、自分を襲い掛かりに来るのか。
「メダルを寄越せ!!」
「俺が勝つんだ!!」
まるで予選が行われているかのような反応であり、彼らは虚ろな瞳を浮かべて追いかけてくる。どう見ても普通の状態ではなく、恐らくは何らかの魔法で洗脳されているに違いない。
そうでなければこんな状況で襲い掛かる訳が無く、彼らもセンチュリオンの罠に嵌まり、操作されているのだ。
「早く闘技場に……!?」
ギギィイイイッ……!!
レノは急停止を行い、頭上に視線を向ける。上空から巨大な何かが降りかかり、隕石ではなく人の形をしている。
「うおぉおおおおおおおおっ!!」
ドガァアアアアンッ……!!
「くっ……!!」
よく見覚えのある「棍棒」が地面に叩き込まれ、周囲に亀裂が走る。咄嗟に回避したが、レノは攻撃を仕掛けた相手に冷汗を流し、
「……ゴンゾウ」
「レノ……流石だな」
――そこには一番の「親友」の姿があり、彼の眼はレノを映しておらず、襲い掛かってきた他の参加者同様、虚ろな瞳だった。
「派手にやってるな……奴等」
都市に目掛けて隕石群が落下するのを確認しながら、建物の屋根をレノは瞬脚で跳躍し続ける。
「きゃあぁああああっ!?」
「た、助けくれぇえええっ!!」
「うわぁあああああっ!!」
悲鳴が聞こえ、地面を見下ろすと、そこには家族らしき集団が建物の傍で立ち止まっており、彼等の頭上から倒壊した瓦礫が向かってくる。
「乱刃!!」
ドシュッ!!
レノは右手を向け、家族に向けて三日月状の嵐の刃を放つと、空中で瓦礫と衝突し、派手に砕け散る。
「ひぃいいいいっ!!」
「な、何だ!?」
「馬鹿!!何してんだ!!早く逃げろ!!」
家族が無事だったのを確認すると、レノは次々と天上から降りかかる小規模の隕石群に視線を向け、どうやら一つ一つは本物の隕石並の威力は無いようだが、それでも建物を崩壊させる程度の威力は誇る。
「何が起こっている……のかは、分かり切っているな」
――レノは遥か前方の「闘技場」を確認し、闘技場の上空に巨大な「魔方陣」が展開されている。今までに見たことが無い種類の紋様であり、あそこから無数の隕石群が天上から引き寄せられ、都市全体に降り注いでいる。
恐らく、あそこにアイリィの語る魔王が存在し、同時にセンチュリオンも行動を起こしている。一体どれほどの人数が集まっているのかは分からないが、1人や2人ではない。
ボウッ……!!
「……近い」
右手の紋様が今までにないほど光り輝き、複数の聖痕所持者この闘人都市に待ち構えている事が分かる。罠の可能性は高いが、闘技場に向かわなければ何時までも隕石群が止まらない。
先ほどからアイリィとの連絡も途絶え、隕石群は数を増している。このままでは闘人都市が完全に崩壊してしまい、またレノの帰る居場所が無くなってしまう。それだけは耐えられず、もう二度と自分の「居場所」を失いたくない。そんな焦燥に駆られながらも、レノは建物を跳躍し、闘技場に向かう。
「ひゃっは~!!」
「……?」
前方の建物へ跳躍中、下から不可解な声が聞こえ、視線を向けると、
「隙だらけだぜぇっ!!」
そこには猫型の獣人が飛び上がり、下方からレノの身体に目掛けてナイフを突きだしており、真っ直ぐに向かってくるが、
「邪魔っ!!」
ドォンッ!!
「んなっ……!?」
空中で瞬脚を行い、その場を回避すると、獣人の男は慌てふためいて防御の体勢に取ろうとするが、敵と判断したレノは容赦なく右腕に螺旋状の風雷を纏わせ、
「失せろ!!」
「ぐはぁああああっ!?」
ズドォオオオオンッ……!!
そのまま「撃雷」を男に叩き込み、遥か彼方まで吹き飛ばす。同時にレノは殴りつけた反動を利用して近くの建物の屋根に着地すると、一体何だったのかと先ほどの人物が吹き飛ばした方向に視線を向けたとき、
「あいつだ!!」
「殺せ!!」
「逃すな!!」
周囲から声が聞こえ、見渡すと冒険者らしき無数の種族が入り乱れ、レノに向かって移動してくる。一体彼等が何者なのかは分からないが、取りあえずは深淵の森の刺客ではない。
「何なんだ一体……」
「隙あ……ぐへぇっ!?」
後方から近付いてきた相手に右足を叩き込み、そのまま建物から落とすと、肉体強化(アクセル)を発動させ、
ビキィイッ……!!
「邪魔をするな!!」
ドォオオンッ!!
屋根の一部を崩壊させ、一気に跳躍しながら地面に下降し、今度は足元に嵐属性の車輪を形成させ、
「風輪」
ズガガガガッ……!!
ローラーブレードの要領で地面を滑走し、そのまま闘技場に向かう。下手に建物の上を跳躍しては空中で狙われるため、いっその事、地上から向かう方が良いと判断した。
「くそっ……何て速さだ!!」
「追いかけろ!!」
「俺が優勝するんだ!!」
後方から無数の冒険者が追跡するが、すぐに距離を突き放す。そんな彼らの言葉にレノは不審気に振り返り、何人かは見覚えがある。
――数日前に行われた第一次予選と第二次予選の剣乱武闘の参加者であり、既に敗退した彼らが何故、自分を襲い掛かりに来るのか。
「メダルを寄越せ!!」
「俺が勝つんだ!!」
まるで予選が行われているかのような反応であり、彼らは虚ろな瞳を浮かべて追いかけてくる。どう見ても普通の状態ではなく、恐らくは何らかの魔法で洗脳されているに違いない。
そうでなければこんな状況で襲い掛かる訳が無く、彼らもセンチュリオンの罠に嵌まり、操作されているのだ。
「早く闘技場に……!?」
ギギィイイイッ……!!
レノは急停止を行い、頭上に視線を向ける。上空から巨大な何かが降りかかり、隕石ではなく人の形をしている。
「うおぉおおおおおおおおっ!!」
ドガァアアアアンッ……!!
「くっ……!!」
よく見覚えのある「棍棒」が地面に叩き込まれ、周囲に亀裂が走る。咄嗟に回避したが、レノは攻撃を仕掛けた相手に冷汗を流し、
「……ゴンゾウ」
「レノ……流石だな」
――そこには一番の「親友」の姿があり、彼の眼はレノを映しておらず、襲い掛かってきた他の参加者同様、虚ろな瞳だった。
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