種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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剣乱武闘 覇者編

集合

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皆が分断してから一時間が経過し、ソフィア達が湖に帰還した時には既に他の者達が集合しており、それなりの成果があったらしい。


「おや、遅かったですね。これは余程の大物を仕留めて帰ってきたと期待してもよろしいでしょうか?」
「他の参加者を潰してきたよ」
「それは大物ですね」
『間違ってはいないが……もう少し言い方があるだろ』


岸辺にて全員が集合すると、それぞれが別れた後の成果を告げる。ソフィアとデュラハンは他の選手の邪魔が入って魔物とは遭遇できなかったが、ゴンゾウとシュン達はそれなりの成果があったらしい。


「俺達は移動中、パオー種と遭遇した。最初に出会ったやつとは色違いだったが、大したことは無かった」
「ゴンゾウ大将軍は凄すぎますわ……まさか正面から衝突してきたパオーを受け止めるなんてあり得ませんわ。ポチ子さんも犬牙流の最終奥義で仕留めた時は格好良かったですわよ」
「わふ~(照)」
「倒すまでの過程が気になる」


ゴンゾウのグループは偶然にも遭遇したパオーを一頭討伐したようであり、続いてシュン達の方に視線を向けると彼は微笑を浮かべながら従者の2人が所有している何かの魔物の骨のような物を差し出させる。


「僕たちの方は移動中、偶然にも不思議な遺跡を発見しましてね。恐らく、この島に存在する特別な場所なのでしょうが、そこでスケルトンと交戦しました」
「スケルトン?」
『骸骨の形をした魔物だ。基本的には人間の死骸に憑りついた悪霊(ゴースト)が操作しているが、時には魔物の死骸に憑りつく事もある』
「僕たちが討伐したのはイノブタ種のスケルトンでしたね。何かに使えるかと思って持ってきましたが、要りませんでしたか?」
「豚骨スープでも作れと?」


ソフィアは差し出されたスケルトンの骨を確認し、どうやら大分死亡してから時間が経過しているのが随分と痛んでおり、少なくとも食用には使えない。供養も込めて焚火の材料にするぐらいしかないが、念のために袋の中に仕舞い込む。


「それでPの方は……67Pか」
「私達が倒したスケルトンは小型種として認識されたようです」
「正確に7体倒した分のPが入っていますね」
『どういう原理なのか気になるメダルだな』


金色のメダルを確認し、予選開始から3時間が経過して「67P」であり、やはりこの地方では効率が悪い。ソフィアが知っている東部監獄や北部山岳ならもっと早くPが集まりそうだが、今更泣き言を言っている場合ではない。


「もうちょっとペースを上げないとダメかな……けど、ここいら辺は詳しくないし……」
「転移魔法を使える方はいないのですか?」
「それならソフィア将軍が……むぐっ⁉」


余計な事を口走りしそうになったリオの口を封じ、ソフィアは残りの33Pをどのように集めるのか悩む。


「ん? そう言えばさっき遺跡でスケルトンを見つけたと言ってたけど……他に魔物はいなかったの?」
「隈なく捜索して見ましたが、生憎と見つかりませんでしたね。ただ……」
「ただ……?」
「他の冒険者を見かけましたね。様子がおかしいので近づきませんでしたが、虚ろな瞳で遺跡の中を徘徊する姿は不気味でしたね」
「徘徊?」


シュンの話によると、スケルトンを討伐した際に遺跡の中で冒険者の集団を発見し、彼等は何が目的なのか不明だが虚ろな表情で遺跡の中を徘徊し、まるで何かに操られているように同じ行動を繰り返していたという。


「悪霊種に操られているのかと思いましたが、生憎と僕たちの中に聖属性の魔法を扱える人間はいなかったので見逃しましたが、問題がありましたかね?」
「大ありですわ⁉悪霊に憑りつかれているなんて危険過ぎます⁉」
「ですが迂闊に近づけば僕たちも憑りつかれる可能性がありますし、それにわざわざ命を掛けてまで彼等を救う価値があるとは思えないので退散しましたが」
『……正論ではあるが、言い方が気に喰わんな』


確かにシュンの言い分も間違ってはいないが、悪霊に憑りつかれた可能性がある人間を見逃すのは危険であり、放っておくわけにもいかない。だが、このメンバーの中で聖属性を習得している人間は居らず、ソフィアも聖剣を所持していないため悪霊に対して対抗策は無いように思われたが、



――お~い……‼



「ん? 今何か聞こえた?」
「……? 僕の耳には何も聞こえませんでしたが」
「俺もだ」
「いえ‼ 私も聞こえました‼」


何処からか声が聞こえたのでソフィアが尋ねると、シュンとゴンゾウは首を振るが獣人族であるポチ子には聞こえていたようであり、優れた聴覚を持つ2人は耳を澄ませる。



――ソフィ……ポチ……ゾウ‼



「あ、名前を呼ばれた気がする」
「何だか犬さんみたいな名前を叫んでます」
「……聞こえるか?」
「言われてみれば確かに……」


他の者達にも聞こえたのか自分たちが声を掛けられている事に気が付き、特にソフィアとポチ子は声の主に心当たりがあり、どうしてこの場所で彼女の声が聞こえるのか気にかかる。


「この声は……」
「リノンさんです‼」
「リノンが近くにいるのか?」


声が聞こえる方角に耳を澄まし、どうやら湖の反対側の方角から聞こえるらしく、全員が視線を向けると湖の周囲に存在する丘に異変が起きていた。


「何だあれは……?」
「土煙?」
「丘の向こう側で何か起きているのでしょうか?」
「何処かで見覚えのあるような光景な気が……」


丘の向こう側から派手な土煙が舞い上がり、ソフィア達は首を傾げていると、どんどんと土煙がこちらの方角に向かっている事に気が付く。


「一体何が起きて……」
「確認しましょう‼」
「わふっ⁉ ま、待ってくださいリオさん‼」


真っ先にリオが正体を見極めるために丘の上に移動を始め、他の者達も後に続く。そして、湖を囲むように存在する丘に登り上がると、そこには驚愕の光景が広がっていた。


「こ、コトミさん‼ 本当にこちらであっているのですか⁉」
「……間違いない。あっちからソフィアの魔力が感じる」
「今はコトミを信じるしかない‼ソフィア~‼聞こえているなら助太刀してくれ~‼」
「ま、待ってくれ……もう限界……⁉」
「止まんな⁉ひき殺されるぞ‼」
「ひぃっ……ひぃっ……⁉」


そこにはいつもの彼女らしからぬ素早い動きで駆け抜けるコトミの姿と、彼女の後ろで魔術師らしき人間を背負ったリノンとジャンヌが続き、その後方には汗だくで軽装な冒険者の集団と、さらに後方には目を疑う生物が追跡していた。


「なにあれ……ダンゴムシ?」
「……ですね。流石は放浪島……遥か昔に絶滅したはずの魔甲虫以外の昆虫種まで存在するとは」
「わぅうっ……⁉お、おっきなダンゴムシさんです‼」
「このままだと、リノン達が潰されるな」



――リノン達の後方には巨大なダンゴムシとしか表現できない生物が追走しており、ダンゴムシは身体を丸めて回転しながら追いかけ、まるで車のタイヤのように彼女達を踏みつぶそうとしてくる。



状況は不明だが、リノン達が危機的状況に陥っており、それでいながらある意味では笑える光景ソフィアたちは苦笑するが、問題なのは彼女達がこちらに向かって真っすぐに向かっている事だった。
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