最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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帝国の危機

これからどうするべきか

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「ここまで来るのに大分時間が掛かった……もう王国はどうなっているかも分からない。俺は勇者なのに、どうしようも出来なかった……」
「……直央さんは勇者なんですよね?なら、何の能力を持っているんですか?」


直央の言葉にリーリスは彼が勇者(異世界人)であるならばルノと同じように何らかの能力を持っているのではないかと考えたが、直央によると彼が授かったのは特殊な能力らしい。


「俺の能力は「貧弱」だよ」
「貧……弱?どういう能力なんですか?」


予想外の言葉にリーリスは疑問を抱くが、直央によると名前とは裏腹にそれなりに優れた能力らしく、ルノが持つ「成長」とは少々異なる能力だった。


「俺の貧弱は敵を倒す事にレベルが必ず上がる。つまり、普通の人のように経験値の概念がない。鼠みたいに弱い魔物だろうと何度倒してもレベルが上がるし、逆に物凄く強い魔物を倒しても単体なら1しか上がらない。そしてレベルの制限が存在しないからレベルを99以上まで上昇できる」
「え?マジですか?それ、かなり凄くないですか?チートじゃないですかそんなの」


ルノの「成長」の異能は魔物から得られる経験値が増大し、ステータスの成長率も上昇する能力である。しかし、直央の場合は強弱に関係なく魔物を倒す事で確実にレベルが上昇するというのならば成長よりもレベルの上昇率が高い。レベル1のルノでさえも最初にレベルを上げるのにゴブリンを数体倒す必要があったが、直央の場合はゴブリンよりも弱く、鼠のように小型で力の弱い魔物でも倒せば確実にレベルが上がるという。


「そんなに凄い能力を持っているなら王国なんて簡単に救い出せるんじゃないですか?」
「いや、この能力のせいなのか、それとも俺の素質が悪いのか分からないけどステータスの能力値が物凄く低い」
「能力値?何ですかそれ?」
「あ、えっと……」


初めて聞く単語にリーリスは首を傾げ、直央はどのように説明するべきか悩む。しかし、リーリスはこれまでの話の流れから能力値という言葉の意味を推察する。


(能力値……要はゲームで例える所の「STR(力)」や「AGI(敏捷)」みたいな能力ですかね。そういえば噂で森人族はステータス画面では表示されない能力の詳細画面を調べる事が出来ると聞いた事があります)


このリーリスの予測は間違ってはおらず、直央の語る「能力値」とは文字通りに能力を数値上で現すステータス画面の事を指している。普通の人間はステータス画面を確認しても能力値は確認できないが、エルフ王国の勇者である直央の場合は能力値を確認出来る術を持っていた。


「まあ、その能力値というのはだいたい察しは付きますけど、それで直央さんの能力はどの程度低いんですか?そもそも直央さんのレベルが気になるんですけど」
「えっと……どう説明したらいいかな。俺のレベルは今は1000だけど、能力値の方も全て1000になっている」
「レベルが1000って……物凄く強そうなんですけど、実際の所はどれくらい強いんですか?」
「普通ならやっと一般の兵士よりも少し上で将軍よりも下かな……でも、能力を上昇させるスキルをいくつか覚えているから実際はもっとステータスは高いと思うけど……」
「あ、そっか。レベルがそんなに簡単に上昇するならSPなんて取り放題ですよね」


レベルの上限がなく、しかも魔物を倒すだけでレベルが上昇するのならばスキルを大量に習得する事が出来る。そう考えれば直央の能力は初期のステータスが低い代わりに何処までも強くなれる能力となる。そう考えれば時間は掛かるがルノを超える事も不可能ではない。


「でも、そんなに凄い能力なら昆虫種なんてどうにでも出来るんじゃないですか?」
「いや、無理だよ……俺一人がいくら頑張っても、全ての昆虫種を倒す事は出来ない。最初は数百の卵が今は増殖して何処まで増えたのかも分からなくなっている……だからルノ君を力を借りたい」
「そこまで不味い状況ですか……殺虫剤でも作りましょうかね」
「いや、そんな物で倒せる相手じゃ……」


リーリスの言葉に直央は呆れてしまうが、別に彼女としてもふざけていっているわけではなく、昆虫種のみに友好的な毒を作り出せる方法はないわけではない。


「昆虫種の死骸のサンプルがあれば不可能ではありませんよ。実際に帝国では「チュウ」という名前の鼠の魔物が大量発生した時、毒物を仕込んだ団子を作りました。この団子はチュウの死骸を調べて作り出した物です」
「チュウ?毒団子?」
「つまり昆虫種を確保する事が出来れば昆虫種のみに有効的な毒を作り出せます。人体に悪影響を与えず、昆虫種には絶大な効果を与える毒を生成する事も出来るかも知れません。実際に過去の記録の中に昆虫種に対して毒物を利用して撃退した国の資料も残っているはずですから」
「え、本当に!?」
「だからここで長々と話していないで王城に戻りますよ。本当ならルノさんが戻るまで残りたいところですけど、こうなったら貴方も覚悟を決めてください」
「わ、分かった……」


直央はリーリスの言葉に頷き、彼女と共にルノの屋敷を抜け出し、王城へと向かう――
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