最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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獣人国

牙竜の嗅覚

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「……ふうっ、生き返った」


川の水で水分を補給するとルノは立ち上がり、飛翔術を発動させて場所を移動しようとした。だが、飛び立つ直前に地面に振動が走り、最初は地震かと思ったが徐々に振動が強まっている事に気づく。


「何だ?」
『パオオオオッ!!』


不思議に思ったルノは振り返ると、遥か後方から土煙を巻き上げて移動するマ魔物の集団を発見する。外見はマンモスに近いが牙の部分が槍のように鋭利に尖っており、鼻が二つに分かれていた。しかも1体1体が異様なまでに大きく、一番大きい個体の体長に至っては10メートル近くは存在した。


「うわ、凄いな。こんな魔物まで存在するのか……でも、様子がおかしいな?」


マンモス型の魔物の群れを見てルノは早速捕獲を試みようとしたが、荒野を疾走する魔物の集団の姿を見て違和感を覚え、まるで移動するというよりは逃げ回っているように見えた。しかし、体長が10メートル近くの大型の魔物の集団が逃走する程の相手など存在するのか疑問を抱き、ルノは魔物達が何から逃げているのかを確かめるために飛翔術で移動を行う。


「様子がおかしいな……ちょっと見てみるか」


空の上に移動したルノは魔物達の最後尾に視線を向け、一体何から逃走しているのかを確認すると、そこには異様な光景が広がっていた。魔物達を追いかけ回していたのはレナも見覚えがある魔物だった。


『ガァアアアッ!!』
「あれは……牙竜だっけ?」


魔物の群れを追いかけていたのはかつてリディアが従えていた事もある「牙竜」で間違いなく、獰猛な鳴き声を上げて魔物の群れを追跡していた。体長は7、8メートルは存在し、竜種の中では下位に当たる存在だがその戦闘力は軍隊にも匹敵する危険種である。


『アガァッ!!』
「パギャアッ!?」
「うわっ……凄い光景だな」


牙竜は最後尾を移動していた魔物に飛びつくと背中の上に降り立ち、そのまま鋭利な爪を肉体に食い込ませて牙で相手の頭に食らいつく。最初は必死に抵抗を試みたマンモス型の魔物もやがて力尽き、地面に倒れこむ。完全に絶命したと確認すると牙竜は爪と牙を肉体から引き抜き、こびり付いた血液を嘗めとる。


『ウガァッ……!!』
「……夢中で食ってる。俺には気づいてないようだな」


倒した魔物の死骸に牙竜は食らいつき、死肉を存分に味わう。その様子を見ていたレナは口元を抑えながら吐き気を抑え、しばらくは様子を伺う。


(獣人国には牙竜も生息していたのか……それにしても自分よりも体長が大きい相手に躊躇なく襲い掛かるなんてすごい生き物だな……)


体格が劣っても単純な戦闘力は牙竜が秀でていたらしく、敗れた魔物は無残にも食い散らされる。弱肉強食という言葉がこれほど当てはまる光景は存在せず、やがて喰い飽きたのかそれとも満足出来なかったのか牙竜は死肉を貪るのをやめた。


『ッ……!!』
「……?」


食事を止めた途端、牙竜は鼻を引くつかせる動作を行い、周囲を見渡す動作を行う。その姿に疑問を抱いたルノは空の上から様子を伺うと、牙竜はある方向に視線を向ける。


『ガアアアッ!!』
「えっ?何をする気だ?」


唐突に牙竜は川の方向へ向けて駆け出し、勢いよく水中に向けて飛び込む。牙竜の行動にルノは呆気に取られるが、川の中に入り込んだ牙竜は水中で暴れているのか水飛沫が派手に舞い上がり、やがて巨大な魚を咥えながら姿を現した。


『フガァッ……!!』
「うわ、魚を取っていたのか……それにしてもあんな大きな魚もいるのか」


水中から抜け出した牙竜は口元に200キロは存在しそうなマグロ型の大きな魚を咥えて地上に這い上がり、一気に丸呑みする。しかし、それでもまだ不満なのか再び牙竜は鼻を引くつかせ、今度は地面に向けて両手を振り下ろす。


『ウガァッ!!』
「ッ……!?」


今度は地中に隠れていたモグラ型の魔物を見つけ出し、頭部を噛み砕いて飲み込む。一口齧るだけで飽きてしまったのか胴体の部分は放り投げると、牙竜はやっと落ち着いたのかその場で寝転がる。


『グゴォオオッ……』
「え、寝ちゃった?」


食事を終えて満足したのか堂々と昼寝を始めた牙竜にルノは呆気に取られるが、同時に興味を抱く。牙竜の行動を確認する限り、どうやら獲物の臭いを嗅ぎつけて行動する習性があるらしく、水中や地中に隠れている生物でさえも感じ取る嗅覚にルノは興味を抱く。


「なるほど……臭いで獲物を嗅ぎ取っているのか。便利な能力を持っているな……ん?という事は……」


ルノは昼寝をする牙竜を見てある考えが思いつき、獲物を見つかりにくい荒野でも簡単に獲物の居場所を得てする方法を思いつく。しかし、この方法を実行するのはルノだけの力では不可能であり、ある人物の協力が必要不可欠だった。


「まあ、この方法は明日実践すればいいか……今は逃げた魔物を捕まえないと」


だが、今回は牙竜が見逃した大型の魔物の群れの捕獲に向かう事を決め、ルノは飛翔術を利用して遠目で砂煙を巻き上げながら逃げ惑う魔物の群れの追跡を開始する――




※ルノ「見逃すと思ったの?」(´ω`)
 魔物「ひいいいっ!?」(;´・ω・)
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