最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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外伝〈転移石を求めて〉

転移石?

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「よし、取れたよ……うわ、眩しいっ!?」
「な、なんですかっ!?」


ナオが取り上げた瞬間、暗闇から光のある場所へ出現した瞬間に物体は光り輝き、虹色の光を放つ。それを目撃したリーリスは驚きの声を上げながらもナオから鉱石を取り上げる。


「こ、これは……間違いありません!!前に私が見た物と同じです!!転移石で間違いありません!!」
「え、これが転移石!?」
「に、虹色に光り輝く魔石だと……そういえば確かに世界樹から脱出する時、似たような物を見かけたような……」


リーリスが調べた結果、ナオが取り出した物体は本物の転移石らしく、デブリにも見覚えがあった。だが、どうしてこのような場所に転移石が隠す様に保管されていたのかは分からず、一体だれが何の目的で転移石を大迷宮の通路内に隠していたのか謎だった。


「一体誰がこんな場所に転移石を隠したんだろう……」
「それは分かりません。ですが、この馬鹿みたい頑丈な煉瓦の壁を削り取って内側に空洞を作り、その中に転移石を隠した後に別の煉瓦で覆い隠している辺り、恐らくは手先が器用な小髭族の仕業の可能性が高いですね」
「じゃあ、本当の持ち主は居るという事?それなら勝手に持ち出すのは不味いんじゃ……」
「まだ誰かが隠したとは言い切れませんよ。もしかしたら何十年か何百年も前に隠した物で本当の持ち主は死亡している可能性も十分にありますし、それにこれを持って帰ればルノさん達も元の世界に戻れるんですよ?」
「これを使えば本当に俺達は帰れるの?」
「そうですね、まだ確実に地球へ行ける方法は見つかってはいませんが、この転移石が大きな手掛かりである事は確かです。すぐに持ち帰って実験してみましょう」


元の世界に戻れるかもしれない事にルノとナオも期待感を強め、やはり元の世界の家族や友人にも会いたいという気持ちもあった。だが、リーリスが転移石を磨き上げた後に袋に入れて収納石を発動して異空間に収めようとした時、異変が生じる。


「じゃあ、この転移石は私が管理を……わあっ!?」
「リーリス!?」
「おっと……落とすところだった」


リーリスが転移石を収めた小袋を黒渦に近づけようとした瞬間、袋の中に収納された転移石が発光し、黒渦を強制的に掻き消す。その際にリーリスは謝って小袋を落としそうになるが寸前でコトネが受け止めた。


「び、びっくりした……今のは何だったんですかね?」
「強い光で異空間へ通じる黒色の渦巻を掻き消したように見えたけど……」
「なら、僕の空間魔法で預かっておくよ」


小袋をコトネから受け取ったナオが試しに自分の空間魔法を使用して異空間に預けようとしたが、やはりリーリスの時のように黒渦に近付けた瞬間に転移石は異空間に収まる事を拒むように光り輝いて黒渦を消す。収納石も空間魔法もどちらも「闇属性」の性質を持つため、強烈な光を浴びると掻き消されてしまう。


「駄目だ、僕の空間魔法でも異空間に送り込む事が出来ないなんて……」
「……不思議な石、まるで意思を持っているみたい」
「そんな馬鹿な……といいたいところですが、つい先日に人間の魂が乗り移った金属の塊と戦ったばかりですしね。安易に否定は出来ませんね」
「何!?この転移石もあんな化物のように変化するのか!?」
「例えだよデブリ……でも、困ったな。これだと小袋に入れたまま持って帰らないといけないのか」


異空間に預ければ必要な時に取り出せるため、壊れる心配性はないのだが転移石が異空間に収まらない以上は袋に入れたまま持ち歩かなければならない。壊れないように慎重に持ち運ぶ必要があり、移動時や魔物との戦闘にも気を配らなければならなかった。

仕方なく転移石に関しては最初に小袋に入れたリーリスが持ち運ぶことが決まり、ルノ達は大迷宮を脱出するための出口を探す。出口と言っても正確には大迷宮内に外界へ通じる出入口は存在せず、第三階層の時のように他の階層や外界へ転移する事が出来る「転移水晶」の台座を探さなければならない。


「まさか転移石が収納魔法や空間魔法を受け付けないとは……」
「でも、後は持ち帰るだけでしょ?良かったね、第三階層以外の場所で見つかって……」
「そうだな、あの熱い場所で転移石を探さなくて済むというだけで幸運だったな!!」


転移石を見つかった事で全員の気分も晴れ、あの砂漠地帯の第三階層に戻らずに済んだ事は素直に喜ばしい。後は大迷宮を脱出するだけなので楽に思えてきたが、先頭を歩いていたコトネが立ち止まる。


「……待って、この道さっきも通った」
「え、本当に?」
「そういえば見覚えがあるような……」
「こっちの通路はまだ行っていない。皆、付いてくる」
「コトネは頼りになるな……よしよし」
「ふにゃっ……唐突なスキンシップにドキっ」


案内役のコトネは過去に塔の大迷宮へ赴いた経験を持つが、第四階層に関しては広大で複雑な迷宮が広がっているため、彼女も全て把握しているわけではない。だが、これまでの歩いた道順は全てコトネの頭の中に刻み込んでいるため、同じ道を通ったとしてもすぐに気付いた。
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