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バルトロス帝国編
自称スライム少女
「……ありがとう、危うく出荷される所だった」
「いえいえ……それよりなんであんな場所に居たんですか?」
レナは木箱から少女を救い出し、急いで彼女を連れてその場から離れる。どうして少女が木箱に詰められていたのかは気になったが、明らかにあの場所に残るのは危険であり、レナは少女を連れて別の裏路地に移動する。既に少女の拘束の方は解いており、外見はレナの予想を超えた美少女だった。
彼女の背格好はレナよりも身長が高く、年齢は15、6才程だろうが肉体の方はグラビアアイドルにも劣らぬ豊満な肉体だった。青みがかった銀髪は腰元まで伸ばしており、宝石を想像させる美しい碧眼、普通の人間ではないのか耳元の方が細長く尖っている。恐らくは漫画やゲームでは定番の「エルフ」と呼ばれる種族だと思われるが、断定はできない。
「あの……どうして木箱の中に入ってたんですか?まさか人攫いにあったんじゃ……」
「……疲れて寝ている時に捕まったみたい。私、指名手配犯だから……」
「……えっ?」
普通にとんでもない発言を行う少女にレナは後退り、まさか犯罪者から救ったつもりが、実は少女の方が犯罪者だったのかと冷や汗を流すが、彼女は眠たそうに瞼を擦り、レナに頭を下げる。
「……助けてくれてありがとう。お腹が減っていたから擬態も出来なかった」
「ぎ、擬態?」
「……私はこう見えてもスライムだから」
「スライム!?」
レナの脳裏に超有名なRPGの玉ねぎ型の魔物が思い浮かぶが、こちらの世界のスライムは美少女の姿をしているのかと驚愕する。それとも単純に少女が嘘を吐いている可能性が高いが、少なくとも彼女の外見は人間その物であり、どう見ても魔物とは思えない。
「……むうっ、その目は信じていない」
「いや、スライムと言われても……マダ〇テは扱える?」
「言っている意味がよく分からないけど、証拠なら見せられる」
少女は掌を差し出し、指先から青色の液体を出現させる。その光景にレナは驚くが、彼女は人差し指をレナに差し出す。
「飲んでみて」
「えっ……むぐぅっ!?」
いきなり口内に指先を突っ込まれ、レナは動揺するが彼女の指先の液体が舌に触れた瞬間、何とも言えない味わいが広がる。無意識に指先を吸い上げ、液体を飲み干すと不思議と身体の中に熱い感覚が広がり、目を見開く。
「これは……」
「回復液と呼ばれる液体……スライムなら誰でも生み出せる」
「回復液……?」
初めて耳にする単語に戸惑うが、名前の響きと味わった時の感覚から体力や怪我を回復させる類の液体だと気づき、レナは先ほど王城で魔法を使用した時から疲労感がずっと身体に残っていたのだが、少女の指先から滴り落ちる液体を飲み込んだ瞬間に一気に身体が楽になる。
「……君は本当にスライムなの?」
「うん」
「この世界のスライムって……君みたいに人間みたいな姿をしているの?」
「……この世界?よく分からないけど、私はスライムの中でも特別な方だと思う」
少女はレナの発言に首を傾げながらも説明を行ってくれる。自分自身が特別だと語る彼女にレナは戸惑うが、少なくとも今の所は彼女の声に「敵意」は感じられず、色々と質問を行う。
「君は何処から来たの?」
「……分からない。ずっと森の中に住んでいたけど、急に盗賊が現れて捕まって木箱の中に閉じ込められた。お腹が空いていたから抵抗も出来なかった」
「盗賊……」
予想通りと言うべきか少女は誘拐されていたらしく、盗賊という単語が出てきた事からより一層に危機感が募る。気になる事があるとすればどうして人を閉じ込めた木箱を見張りも付けずに路地裏等に置いていた事だが、今はこの場から離れなければならない。
「えっと……警察って分かる?というより、この世界に警察組織なんてあるのかな……」
「警察……警備兵の事?」
「そうそう!!その人たちを呼び出して君を捕まえた盗賊の事を知らせないと……」
「……駄目」
「えっ?」
レナは急いで移動を行おうとした時、少女の方から彼の手首を掴んで引き留める。予想外の力強さに戸惑うが、彼女は首を振る。
「……人間なんか信用できない。それに私の正体を知ったらきっと捕まえようとする」
「そう言えばさっき指名手配されていたって……」
「私の名前は……コトミン。貴方の名前は?」
唐突な少女の自己紹介にレナは彼女が話題を反らそうとしている事に気付き、彼女が人間の力を借りたくない事が分かるが、一先ずは自分の名前も告げる。
「俺の名前は霧崎レ……」
「おいっ!!見つけたぞっ!!こっちに逃げてやがった!!」
レナが完全に名前を告げる前に背後から男の怒声が響き渡り、2人は視線を向けるとそこにはあからさまにヤクザのような刺青を腕に刻んだ大男が存在し、コトミンと名乗る少女を見つけた瞬間に顔を険しくさせ、腰に差している短剣を抜き取る。
「逃げられると思ったのか!!てめえを売り捌いて、俺は真っ当な人生を送るんだ!!」
「なっ……逃げろっ!!」
「っ……!?」
咄嗟に少女を庇う様にレナが前に飛び出すと、男は彼の顔を見て不審気な表情を抱くが、すぐに短剣を構えて怒鳴り散らす。
「おいガキィッ!!てめえが俺の獲物を盗んだのか!!そいつの正体を知ってんのか!?人間様に刃向う薄汚い魔人族なんだよ!!」
「魔人……族?」
「そいつは見た目は可愛らしいが、これまでに何人も人間を食い殺してんだよ!!」
「……そんな事していない」
「うるせえっ!!化物は黙ってろっ!!おい、こっちだ!!早く来いっ!!」
「見つけたかっ!!」
「逃がすなっ!!」
仲間を呼び出しているのか路地の向こう側から複数の男の声が響き、レナはこのままでは不味いと判断し、少女を逃がすために彼女の手を掴んで反対方向に走り出す。
「逃げるよっ!!」
「……うんっ」
「逃がすか馬鹿がっ!!」
彼の行動に盗賊の男は短剣を振り翳し、少女の頭部に向けて投擲する。普通ならば少女の頭部に刃が貫通するはずだったが、逃走している少女の髪の毛が突如として人間の「腕」のような形状に変化し、近付いてくる短剣を受け止める。
「なっ!?」
「…………」
「ひぃっ!?」
一瞬だけ少女が振り返り、彼女は髪の毛で捉えた短剣を投げ返し、男の足元の地面に突き刺さる。そんな彼女の異変に気付かぬままレナは路地裏を抜け出し、無我夢中で少女を連れ出して走り続けた――
「いえいえ……それよりなんであんな場所に居たんですか?」
レナは木箱から少女を救い出し、急いで彼女を連れてその場から離れる。どうして少女が木箱に詰められていたのかは気になったが、明らかにあの場所に残るのは危険であり、レナは少女を連れて別の裏路地に移動する。既に少女の拘束の方は解いており、外見はレナの予想を超えた美少女だった。
彼女の背格好はレナよりも身長が高く、年齢は15、6才程だろうが肉体の方はグラビアアイドルにも劣らぬ豊満な肉体だった。青みがかった銀髪は腰元まで伸ばしており、宝石を想像させる美しい碧眼、普通の人間ではないのか耳元の方が細長く尖っている。恐らくは漫画やゲームでは定番の「エルフ」と呼ばれる種族だと思われるが、断定はできない。
「あの……どうして木箱の中に入ってたんですか?まさか人攫いにあったんじゃ……」
「……疲れて寝ている時に捕まったみたい。私、指名手配犯だから……」
「……えっ?」
普通にとんでもない発言を行う少女にレナは後退り、まさか犯罪者から救ったつもりが、実は少女の方が犯罪者だったのかと冷や汗を流すが、彼女は眠たそうに瞼を擦り、レナに頭を下げる。
「……助けてくれてありがとう。お腹が減っていたから擬態も出来なかった」
「ぎ、擬態?」
「……私はこう見えてもスライムだから」
「スライム!?」
レナの脳裏に超有名なRPGの玉ねぎ型の魔物が思い浮かぶが、こちらの世界のスライムは美少女の姿をしているのかと驚愕する。それとも単純に少女が嘘を吐いている可能性が高いが、少なくとも彼女の外見は人間その物であり、どう見ても魔物とは思えない。
「……むうっ、その目は信じていない」
「いや、スライムと言われても……マダ〇テは扱える?」
「言っている意味がよく分からないけど、証拠なら見せられる」
少女は掌を差し出し、指先から青色の液体を出現させる。その光景にレナは驚くが、彼女は人差し指をレナに差し出す。
「飲んでみて」
「えっ……むぐぅっ!?」
いきなり口内に指先を突っ込まれ、レナは動揺するが彼女の指先の液体が舌に触れた瞬間、何とも言えない味わいが広がる。無意識に指先を吸い上げ、液体を飲み干すと不思議と身体の中に熱い感覚が広がり、目を見開く。
「これは……」
「回復液と呼ばれる液体……スライムなら誰でも生み出せる」
「回復液……?」
初めて耳にする単語に戸惑うが、名前の響きと味わった時の感覚から体力や怪我を回復させる類の液体だと気づき、レナは先ほど王城で魔法を使用した時から疲労感がずっと身体に残っていたのだが、少女の指先から滴り落ちる液体を飲み込んだ瞬間に一気に身体が楽になる。
「……君は本当にスライムなの?」
「うん」
「この世界のスライムって……君みたいに人間みたいな姿をしているの?」
「……この世界?よく分からないけど、私はスライムの中でも特別な方だと思う」
少女はレナの発言に首を傾げながらも説明を行ってくれる。自分自身が特別だと語る彼女にレナは戸惑うが、少なくとも今の所は彼女の声に「敵意」は感じられず、色々と質問を行う。
「君は何処から来たの?」
「……分からない。ずっと森の中に住んでいたけど、急に盗賊が現れて捕まって木箱の中に閉じ込められた。お腹が空いていたから抵抗も出来なかった」
「盗賊……」
予想通りと言うべきか少女は誘拐されていたらしく、盗賊という単語が出てきた事からより一層に危機感が募る。気になる事があるとすればどうして人を閉じ込めた木箱を見張りも付けずに路地裏等に置いていた事だが、今はこの場から離れなければならない。
「えっと……警察って分かる?というより、この世界に警察組織なんてあるのかな……」
「警察……警備兵の事?」
「そうそう!!その人たちを呼び出して君を捕まえた盗賊の事を知らせないと……」
「……駄目」
「えっ?」
レナは急いで移動を行おうとした時、少女の方から彼の手首を掴んで引き留める。予想外の力強さに戸惑うが、彼女は首を振る。
「……人間なんか信用できない。それに私の正体を知ったらきっと捕まえようとする」
「そう言えばさっき指名手配されていたって……」
「私の名前は……コトミン。貴方の名前は?」
唐突な少女の自己紹介にレナは彼女が話題を反らそうとしている事に気付き、彼女が人間の力を借りたくない事が分かるが、一先ずは自分の名前も告げる。
「俺の名前は霧崎レ……」
「おいっ!!見つけたぞっ!!こっちに逃げてやがった!!」
レナが完全に名前を告げる前に背後から男の怒声が響き渡り、2人は視線を向けるとそこにはあからさまにヤクザのような刺青を腕に刻んだ大男が存在し、コトミンと名乗る少女を見つけた瞬間に顔を険しくさせ、腰に差している短剣を抜き取る。
「逃げられると思ったのか!!てめえを売り捌いて、俺は真っ当な人生を送るんだ!!」
「なっ……逃げろっ!!」
「っ……!?」
咄嗟に少女を庇う様にレナが前に飛び出すと、男は彼の顔を見て不審気な表情を抱くが、すぐに短剣を構えて怒鳴り散らす。
「おいガキィッ!!てめえが俺の獲物を盗んだのか!!そいつの正体を知ってんのか!?人間様に刃向う薄汚い魔人族なんだよ!!」
「魔人……族?」
「そいつは見た目は可愛らしいが、これまでに何人も人間を食い殺してんだよ!!」
「……そんな事していない」
「うるせえっ!!化物は黙ってろっ!!おい、こっちだ!!早く来いっ!!」
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