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バルトロス帝国編
魔道具店
「はあっ……はあっ……諦めてくれたかな」
「……大丈夫?」
レナはコトミンと名乗る少女と共に人通りの多い街道に移動し、無事に追跡者を撒くことに成功する。先ほどの彼女の言う通り、街道には兵士の恰好をした人間が巡回を行っており、もしも盗賊が現れたとしても騒ぎを起こせば彼等も気付いて駆け付けるだろう。
今のうちに体力を回復させるため、レナは食事と水分の補給を行う為に先ほど通りかかった屋台に戻る。今度は美少女を連れてきた事で驚かれたが、店主は愛想良い笑顔を浮かべて新しい串焼きを売ってくれた。
「何だい兄ちゃん、宿を見つける前に女の子を先に引っ掛けたのかい?」
「案外間違ってはいないと思う……君も食べる?」
「いらない」
「ありゃっ……それは残念だな」
コトミンにレナは串焼きを食べるか問い掛けるが、彼女は首を振る。自称「スライム」と名乗る彼女だが、もしも本当に人間ではなく、魔物だとしたら人間の食事が合わないのかと疑問を抱きながらも、レナは串焼きを頬張る。何故だか無償に空腹感に襲われており、少し前に食事したばかりだというのに何本も串焼きを食べてしまう。
「ふうっ……可笑しいな、こんなに体力なかったっけ?」
元の世界のレナは特に運動系の部活動には所属していなかったとはいえ、運動自体は別にそれ程苦手ではなかったはずだが、身体の疲労が抜けきれない事に違和感を覚える。もしかしたら自分の現在のステータスが「レベル1」という事が関係しているかも知れず、元の世界に居た時よりも体力や運動神経が落ちているように感じられた。
この調子では次にレナ達が盗賊に発見された時に逃げ延びられるとは限らず、見つかる前にレナは彼女だけでも安全な場所に保護しなければならないと考える。彼女からは警備兵に頼るのは嫌だといわれたが、万が一の場合は頭を下げてでも王城の人間に救援を求める必要がある。出来れば城の中にいるはずの王女に再会出来ればいいが、今更戻った所で王城の中に入れてくれる可能性は低い事はレナ自身も自覚していた。
デキンは完全にレナを厄介者扱いしており、金銭だけ与えて放逐した以上、レナの事を気にかけてくれた王女以外に彼の助けを応えてくれる人間はいないだろうが、それでも現在のレナに頼れる相手は他にはいなかった。覚悟を決めてコトミンを説得してでも王城に引き返そうかと彼が考えた時、彼女が自分の両手を見つめたまま動かない事に気付く。
「コトミン?」
「……お腹すいた」
「え?あ、ならさっきの串焼き屋に……」
「違う。私は人間の食べ物は食べない……出来れば綺麗な水や回復薬が欲しい」
「回復薬……?」
ゲームでは定番の回復アイテムではあるが、こちらの世界には実在するらしく、俺は身体をよろめかせるコトミンを支えながら回復薬を販売している店を探す。幸いにも通行人に尋ねるとすぐ近くに「魔道具店」と呼ばれる特別な道具を売却している店を教えてもらい、彼女を引き連れて移動する。
「ここが魔道具店……ていうか、コンビニ……?」
「……こんびに?」
レナとコトミンの目の前には元の世界の「コンビニ」を意識したかのような外見の店が建っており、硝子のように透明な扉の出入口を開くと、中の方もレナが知っているコンビニのような構造の店内であり、ご丁寧にも本棚にはこの世界の雑誌と思われる書物まで揃えられていた。
「いらっしゃいませ~お客様は何名ですか?」
「ファミレス?」
「……2人」
店の中に入るとすぐに店長らしき人物が姿を現し、年齢は20代前半ぐらいの随分と綺麗な女性であり、彼女は本棚の整理を行いながら2人に視線を向けてくる。店内には他に客は見当たらず、レナは周囲を見渡してコトミンが欲している回復薬がないのか調べると、壁の端に存在する棚の上に硝子瓶が並んでいる事に気付き、中身は青色や緑色に光り輝く液体のため、すぐにレナは「鑑定」のスキルを発動する。
『回復薬――怪我の治療や体力の回復を促す回復液が詰められた小瓶。毒や病気の類には効果はない』
『魔力回復薬――魔力と体力を回復させる回復薬。傷の治療は行えない』
『解毒薬――ある程度の毒や病気を治す回復薬。体力は回復しない』
次々と視界に映し出される説明文の画面にレナは小瓶の色も確認しながら種類を確かめる。回復薬の硝子瓶の液体の色は「緑」解毒薬は「赤」そして魔力回復薬と呼ばれる特別そうな回復薬は「青」であり、どうやら色によって種類を判別できるらしい。
「すいません。この棚にある回復薬って……」
「おっ?もしかして君達は冒険者かい?それにしては見た事もない格好をしているけど……異国から訪れたのかい?」
「異国……まあ、そんな感じです」
別の国どころか別の世界から訪れた事を説明するのも面倒のため、レナは適当に返すと店員の女性は棚の上に並べられている複数の回復薬を取り出し、彼に差し出す。よくよく観察しないと色合いに違いがあり、女性が説明してくれる。
「回復薬を買うのは初めてかい?」
「あ、はい……幾らぐらいしますかね?」
「品質によっては値段が大きく変動するね。この低品質の下級回復薬なら銀貨1枚だけど、こっちの方の最高品質の上級回復薬なら銀貨8枚はするね」
「銀貨……!?」
「これでも他の店と比べると安い方だけどね。それに効果の方は保証するよ」
一番安い回復薬でも日本円で換算すると「1万円」の価値があり、女性の話だとこれでも安価で売買を行っているらしく、他の店だと更に高額な値段で販売されているらしい。レナは彼女が嘘を言っていないのか疑ったが、彼女の声には「悪意」は感じられず、もう一度鑑定眼を発動させると説明文に新しい文章が追記されており、店主の言葉通りにこの世界では回復薬の類が高価で取り扱われている事を知る。
「どうする?買う?」
「う~んっ……」
「……レノ、私の事は気にしないでいい……綺麗な水さえ飲めれば大丈夫だから」
「いや、そういう訳には……レノ?」
顔色が悪いコトミンがレナを気遣うように腕を引くが、彼女は何故か彼の事を「レノ」と呼び、先ほどの自己紹介の時に途中で盗賊に邪魔された事で下の名前を聞き間違えたようだった。
「……大丈夫?」
レナはコトミンと名乗る少女と共に人通りの多い街道に移動し、無事に追跡者を撒くことに成功する。先ほどの彼女の言う通り、街道には兵士の恰好をした人間が巡回を行っており、もしも盗賊が現れたとしても騒ぎを起こせば彼等も気付いて駆け付けるだろう。
今のうちに体力を回復させるため、レナは食事と水分の補給を行う為に先ほど通りかかった屋台に戻る。今度は美少女を連れてきた事で驚かれたが、店主は愛想良い笑顔を浮かべて新しい串焼きを売ってくれた。
「何だい兄ちゃん、宿を見つける前に女の子を先に引っ掛けたのかい?」
「案外間違ってはいないと思う……君も食べる?」
「いらない」
「ありゃっ……それは残念だな」
コトミンにレナは串焼きを食べるか問い掛けるが、彼女は首を振る。自称「スライム」と名乗る彼女だが、もしも本当に人間ではなく、魔物だとしたら人間の食事が合わないのかと疑問を抱きながらも、レナは串焼きを頬張る。何故だか無償に空腹感に襲われており、少し前に食事したばかりだというのに何本も串焼きを食べてしまう。
「ふうっ……可笑しいな、こんなに体力なかったっけ?」
元の世界のレナは特に運動系の部活動には所属していなかったとはいえ、運動自体は別にそれ程苦手ではなかったはずだが、身体の疲労が抜けきれない事に違和感を覚える。もしかしたら自分の現在のステータスが「レベル1」という事が関係しているかも知れず、元の世界に居た時よりも体力や運動神経が落ちているように感じられた。
この調子では次にレナ達が盗賊に発見された時に逃げ延びられるとは限らず、見つかる前にレナは彼女だけでも安全な場所に保護しなければならないと考える。彼女からは警備兵に頼るのは嫌だといわれたが、万が一の場合は頭を下げてでも王城の人間に救援を求める必要がある。出来れば城の中にいるはずの王女に再会出来ればいいが、今更戻った所で王城の中に入れてくれる可能性は低い事はレナ自身も自覚していた。
デキンは完全にレナを厄介者扱いしており、金銭だけ与えて放逐した以上、レナの事を気にかけてくれた王女以外に彼の助けを応えてくれる人間はいないだろうが、それでも現在のレナに頼れる相手は他にはいなかった。覚悟を決めてコトミンを説得してでも王城に引き返そうかと彼が考えた時、彼女が自分の両手を見つめたまま動かない事に気付く。
「コトミン?」
「……お腹すいた」
「え?あ、ならさっきの串焼き屋に……」
「違う。私は人間の食べ物は食べない……出来れば綺麗な水や回復薬が欲しい」
「回復薬……?」
ゲームでは定番の回復アイテムではあるが、こちらの世界には実在するらしく、俺は身体をよろめかせるコトミンを支えながら回復薬を販売している店を探す。幸いにも通行人に尋ねるとすぐ近くに「魔道具店」と呼ばれる特別な道具を売却している店を教えてもらい、彼女を引き連れて移動する。
「ここが魔道具店……ていうか、コンビニ……?」
「……こんびに?」
レナとコトミンの目の前には元の世界の「コンビニ」を意識したかのような外見の店が建っており、硝子のように透明な扉の出入口を開くと、中の方もレナが知っているコンビニのような構造の店内であり、ご丁寧にも本棚にはこの世界の雑誌と思われる書物まで揃えられていた。
「いらっしゃいませ~お客様は何名ですか?」
「ファミレス?」
「……2人」
店の中に入るとすぐに店長らしき人物が姿を現し、年齢は20代前半ぐらいの随分と綺麗な女性であり、彼女は本棚の整理を行いながら2人に視線を向けてくる。店内には他に客は見当たらず、レナは周囲を見渡してコトミンが欲している回復薬がないのか調べると、壁の端に存在する棚の上に硝子瓶が並んでいる事に気付き、中身は青色や緑色に光り輝く液体のため、すぐにレナは「鑑定」のスキルを発動する。
『回復薬――怪我の治療や体力の回復を促す回復液が詰められた小瓶。毒や病気の類には効果はない』
『魔力回復薬――魔力と体力を回復させる回復薬。傷の治療は行えない』
『解毒薬――ある程度の毒や病気を治す回復薬。体力は回復しない』
次々と視界に映し出される説明文の画面にレナは小瓶の色も確認しながら種類を確かめる。回復薬の硝子瓶の液体の色は「緑」解毒薬は「赤」そして魔力回復薬と呼ばれる特別そうな回復薬は「青」であり、どうやら色によって種類を判別できるらしい。
「すいません。この棚にある回復薬って……」
「おっ?もしかして君達は冒険者かい?それにしては見た事もない格好をしているけど……異国から訪れたのかい?」
「異国……まあ、そんな感じです」
別の国どころか別の世界から訪れた事を説明するのも面倒のため、レナは適当に返すと店員の女性は棚の上に並べられている複数の回復薬を取り出し、彼に差し出す。よくよく観察しないと色合いに違いがあり、女性が説明してくれる。
「回復薬を買うのは初めてかい?」
「あ、はい……幾らぐらいしますかね?」
「品質によっては値段が大きく変動するね。この低品質の下級回復薬なら銀貨1枚だけど、こっちの方の最高品質の上級回復薬なら銀貨8枚はするね」
「銀貨……!?」
「これでも他の店と比べると安い方だけどね。それに効果の方は保証するよ」
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「どうする?買う?」
「う~んっ……」
「……レノ、私の事は気にしないでいい……綺麗な水さえ飲めれば大丈夫だから」
「いや、そういう訳には……レノ?」
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