文字の大きさ
大
中
小
19 / 207
バルトロス帝国編
取引成立
「普通は魔法書というのはどのくらいの値段なんですか?」
「魔法の階級によって大きく変動するね。下位の砲撃魔法でも最低でも銀貨10枚は必要だけど、付与魔法の場合は高くても銀貨1枚ぐらいだろうね……」
「10分の1!?」
「僕の店にも一応は付与魔法の魔法書はあるけど、正直に言えば誰も買ってくれなくて在庫が有り余ってるんだ……サービスするからどうか全部引き取ってくれないかな?」
申し訳なさそうな表情を抱くホノカにレナは考え込み、実際に魔法書とはどんな物なのかを確かめない限りは返答しようがない。
「ちなみに魔法書はどれくらい余ってるんですか?」
「そうだな……50冊ぐらいかな」
「えっ」
「正直に言うと本棚のスペースを独占されるからこちらとしては早く何とかしたいんだが、購入する人間がいない以上はどうしようもなく……処分するにしても流石に魔法書の類には違いないから勿体なくてね」
ホノカは店の本棚の半分近くを占める付与魔法の魔法書に深いため息を吐き出し、この際に付与魔術師であるレナに引き取って欲しいようだが、流石に無償で渡すわけにはいかないので教科書の代金から多少は差し引かなかえればならない事を伝える。
「どうかな?銀貨40枚に魔法書を50冊……希望があるなら他にも付けるけど……」
「はあっ……あの、そんなに頂いていいんですか?」
「構わないよ。むしろこちらの方がこの程度の物しか出せないのが申し訳ない……そうだ、君の鞄をついでに収納袋化してあげようか?」
「収納袋?」
机の上に置かれているレノが学校に持ち込んでいた鞄を手に取り、ホノカは鞄をの中身を覗き込みながら説明を行う。
「収納袋とは冒険者が愛用する魔道具さ。鞄のような収納物に異空間に繋がる魔石を取り付けて本来の収納できる容量を超えた量を収納できるようになるよ」
「なるほど……」
ゲームで例えるなら「アイテムボックス」のような魔法であり、通常では有り得ない規模の荷物を収納できるようになる魔道具だとホノカは説明する。正確に言えば鞄の中に仕込んだ「収納石」と呼ばれる特別な魔石に荷物を異空間に送り込み、こちらの好きな時に荷物の取り出しが可能になるが、普通ならば金貨単位で販売される代物を彼女は提供してくれるという。
「いいんですか?」
「構わないよ。だけど大量の荷物を収納できる物は用意できないね……収納容量は50キロの収納石なら用意できるけど」
「お願いします!!あ、それなら魔法書も全部持ち帰れますね」
「そうしてくれると助かるよ。それじゃあ、僕はこの鞄を改造しておくからその間は自由にしてくれ」
鞄を受け取るとホノカは店の奥に移動し、その間にレナは受け取った魔法書の中身を開く。既に自分が購入した物なので遠慮なく彼女が戻ってくるまで魔法書を読む。
「へえ……結構面白いな」
元の世界に居た頃から小説等はよく読んでいたが、レナが読み進めている「水属性」の魔法書にはある付与魔術師の人生が描かれており、帝国では不遇職と蔑まれている付与魔術師の職業だが、本の中の時代では特に冷遇されている様子はなく、仲間達と共に一匹の竜と戦うまでの物語が描かれていた。
「そういえばこの世界には本物の竜もいるのか……」
物語の内容は面白いのだが、最後の結末に関しては大勢の仲間を失い、更には主人公まで竜と相打ちで死んでしまうという悲惨な結末だった。この魔法書は実話を元に描かれているので恐らくは主人公もその仲間達も本当に死んでしまったのだろう。これが普通の創作物だとしたらハッピーエンドで終わったのかもしれないが、現実はそれほど甘くはない。
「ふうっ……あれ?まだ終わっていないのかな……」
魔法書を一冊読み終えるとレナはまだホノカが戻って来ない事に疑問を抱き、壁際の時計を確認する。ちなみにこの世界にも普通に時計を製造する科学は存在するらしく、レナは時刻を確認すると驚くべき事実が発覚した。
「えっ……まだ5分しか経っていない!?」
最初は時計が壊れたのかと思ったが、秒針は正常に動いており、レナは自分が短編小説並のページ数はある魔法書を数分で読み終えた事になる。体感的には30分ほど経過したと思い込んでいたが、何時の間にか速読法でも覚えていたのかと自分でも戸惑う。
「まさか新しいスキルが……いや、それよりも熟練度の方は!?」
レナはすぐにステータス画面を確かめるために開くと、ホノカの言葉通りに「水属性」の熟練度が2に上昇しており、普通に考えれば最初の魔法は一度発動するだけで熟練度が上昇するため、無駄に魔法書を消費してしまった可能性も高い。少し残念に感じながらもレナは本棚に並べられている付与魔法の魔法書に視線を向け、既に自分が購入したので遠慮なく抜き取る。
「あっ……一度読み終えると効力を失うのか」
先ほど呼んでいた氷属性の魔法書に視線を向けると、表紙に描かれていた文字が消失しており、スキルの鑑定を発動させて確かめると魔法書は一度使用すると効力を失い、表題の文字も消えてしまう。本の内容は残っているので普通の小説として変化しただけであり、物語をもう一度楽しむ事も出来る。
「えっと……良かった。聖属性も結構余ってるな」
本棚に並べられている付与魔法の魔法書は確認した所、全ての種類の付与魔法の魔法書が存在した。数に関しては10冊近くが「聖属性」であり、この際に何処まで熟練度が上昇するのか確かめる為、レナは聖属性の魔法書を読み耽る。
「魔法の階級によって大きく変動するね。下位の砲撃魔法でも最低でも銀貨10枚は必要だけど、付与魔法の場合は高くても銀貨1枚ぐらいだろうね……」
「10分の1!?」
「僕の店にも一応は付与魔法の魔法書はあるけど、正直に言えば誰も買ってくれなくて在庫が有り余ってるんだ……サービスするからどうか全部引き取ってくれないかな?」
申し訳なさそうな表情を抱くホノカにレナは考え込み、実際に魔法書とはどんな物なのかを確かめない限りは返答しようがない。
「ちなみに魔法書はどれくらい余ってるんですか?」
「そうだな……50冊ぐらいかな」
「えっ」
「正直に言うと本棚のスペースを独占されるからこちらとしては早く何とかしたいんだが、購入する人間がいない以上はどうしようもなく……処分するにしても流石に魔法書の類には違いないから勿体なくてね」
ホノカは店の本棚の半分近くを占める付与魔法の魔法書に深いため息を吐き出し、この際に付与魔術師であるレナに引き取って欲しいようだが、流石に無償で渡すわけにはいかないので教科書の代金から多少は差し引かなかえればならない事を伝える。
「どうかな?銀貨40枚に魔法書を50冊……希望があるなら他にも付けるけど……」
「はあっ……あの、そんなに頂いていいんですか?」
「構わないよ。むしろこちらの方がこの程度の物しか出せないのが申し訳ない……そうだ、君の鞄をついでに収納袋化してあげようか?」
「収納袋?」
机の上に置かれているレノが学校に持ち込んでいた鞄を手に取り、ホノカは鞄をの中身を覗き込みながら説明を行う。
「収納袋とは冒険者が愛用する魔道具さ。鞄のような収納物に異空間に繋がる魔石を取り付けて本来の収納できる容量を超えた量を収納できるようになるよ」
「なるほど……」
ゲームで例えるなら「アイテムボックス」のような魔法であり、通常では有り得ない規模の荷物を収納できるようになる魔道具だとホノカは説明する。正確に言えば鞄の中に仕込んだ「収納石」と呼ばれる特別な魔石に荷物を異空間に送り込み、こちらの好きな時に荷物の取り出しが可能になるが、普通ならば金貨単位で販売される代物を彼女は提供してくれるという。
「いいんですか?」
「構わないよ。だけど大量の荷物を収納できる物は用意できないね……収納容量は50キロの収納石なら用意できるけど」
「お願いします!!あ、それなら魔法書も全部持ち帰れますね」
「そうしてくれると助かるよ。それじゃあ、僕はこの鞄を改造しておくからその間は自由にしてくれ」
鞄を受け取るとホノカは店の奥に移動し、その間にレナは受け取った魔法書の中身を開く。既に自分が購入した物なので遠慮なく彼女が戻ってくるまで魔法書を読む。
「へえ……結構面白いな」
元の世界に居た頃から小説等はよく読んでいたが、レナが読み進めている「水属性」の魔法書にはある付与魔術師の人生が描かれており、帝国では不遇職と蔑まれている付与魔術師の職業だが、本の中の時代では特に冷遇されている様子はなく、仲間達と共に一匹の竜と戦うまでの物語が描かれていた。
「そういえばこの世界には本物の竜もいるのか……」
物語の内容は面白いのだが、最後の結末に関しては大勢の仲間を失い、更には主人公まで竜と相打ちで死んでしまうという悲惨な結末だった。この魔法書は実話を元に描かれているので恐らくは主人公もその仲間達も本当に死んでしまったのだろう。これが普通の創作物だとしたらハッピーエンドで終わったのかもしれないが、現実はそれほど甘くはない。
「ふうっ……あれ?まだ終わっていないのかな……」
魔法書を一冊読み終えるとレナはまだホノカが戻って来ない事に疑問を抱き、壁際の時計を確認する。ちなみにこの世界にも普通に時計を製造する科学は存在するらしく、レナは時刻を確認すると驚くべき事実が発覚した。
「えっ……まだ5分しか経っていない!?」
最初は時計が壊れたのかと思ったが、秒針は正常に動いており、レナは自分が短編小説並のページ数はある魔法書を数分で読み終えた事になる。体感的には30分ほど経過したと思い込んでいたが、何時の間にか速読法でも覚えていたのかと自分でも戸惑う。
「まさか新しいスキルが……いや、それよりも熟練度の方は!?」
レナはすぐにステータス画面を確かめるために開くと、ホノカの言葉通りに「水属性」の熟練度が2に上昇しており、普通に考えれば最初の魔法は一度発動するだけで熟練度が上昇するため、無駄に魔法書を消費してしまった可能性も高い。少し残念に感じながらもレナは本棚に並べられている付与魔法の魔法書に視線を向け、既に自分が購入したので遠慮なく抜き取る。
「あっ……一度読み終えると効力を失うのか」
先ほど呼んでいた氷属性の魔法書に視線を向けると、表紙に描かれていた文字が消失しており、スキルの鑑定を発動させて確かめると魔法書は一度使用すると効力を失い、表題の文字も消えてしまう。本の内容は残っているので普通の小説として変化しただけであり、物語をもう一度楽しむ事も出来る。
「えっと……良かった。聖属性も結構余ってるな」
本棚に並べられている付与魔法の魔法書は確認した所、全ての種類の付与魔法の魔法書が存在した。数に関しては10冊近くが「聖属性」であり、この際に何処まで熟練度が上昇するのか確かめる為、レナは聖属性の魔法書を読み耽る。
感想 263
あなたにおすすめの小説
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
S級冒険者の子どもが進む道
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。