最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

文字の大きさ
26 / 207
スラム編

スケルトンの正体

しおりを挟む
「見つけた……あの子」
「……何してるのかな」


レナは自分の肉体からコトミンを分離した状態で階段を移動する。暗殺者のスキルを手に入れたので足音を鳴らさずに移動する事は可能であり、小声でコトミンと会話をしながら様子を伺う。二階に存在するスケルトンは人間のように椅子に座り込んで居り、何処から持ち出したのか赤色の魔石を机の上に並べて眺めていた。彼(彼女?)が何をしているのかは2人には理解出来ないが、遂にコトミンが彼女の方に歩み寄る。


「……ねえっ」
「……!?」


彼女が声を掛けるとスケルトンは驚いたように顔を上げ、机から立ち上がる。スケルトンは自分の姿を見ても怯える様子が無いコトミンに戸惑っており、何かを伝えたようと口を開くが発声は出来ない。その様子を見たコトミンはレナに頷き、彼女はスケルトンに向って飛びつく。


「いただきますっ」
「……っ!?」


コトミンは勢いよくスケルトンに飛びかかり、力ずくで押し倒す。スケルトンは抵抗するようにもがこうとするが、既にコトミンは身体を文字通りにスライム状に変化させており、スケルトンの肉体に張り付く。先ほどレナにしたようにスケルトンの身体に張り付き、やがて人間状態のコトミンとは違う容姿の「人間」が姿を現した。


『わああっ!?襲われますぅっ!!私の純潔がスライムに散らされますぅっ!!』
「元気そうだな……」
『あ、あれ……?あの、もしかして私の声が聞こえてます?』


青色の髪の毛の少女と化したスケルトンに対し、レナは頷く。彼女は非常に驚いた表情を浮かべ、同時に自分の身体を確認していつのまにか変化している事に気付き、両手で身体中を確かめる。少女は何が起きたのか理解できない様子だが、レナは先ほどの少女の声に「敵意」は感じられない事を確認して近づく。


「君の身体にはコトミン……さっき俺の友達のスライムが身体に張り付いてるんだよ」
『す、スライム……?あ、なるほど擬態ですか……この肉体も本当に私の身体が戻った訳じゃないんですね』
「分かるの?」


あっさりとスケルトンだった少女は自分の肉体の変化の正体に気付き、現在の彼女はコトミンの擬態能力によって骨の肉体にスライムに変化した彼女が纏わり付き、人間の姿に擬態した状態である。それでも現在の状態ならば普通の人間のように喋れるようであり、嬉しそうに自分の肉体を撫で回す。


『ああっ……偽物でも嬉しい物ですね。それに人間の方と真面に話すのも久しぶりな気がします』
「君は……魔物なの?」
『違います……と言いたい所ですけど、今は人間とは言い難いですけどね』


少女は椅子に座り込み、向い側の席に座るように促す。妙に冷静な彼女にレナは疑問を抱くが、声を聴く限りでは悪意は感じられない。彼女と向かい合う形で座り込むと、少女は机の上に置いてあった火属性の魔石に気付き、彼に手渡す。


『とりあえずは受け取ってください。私が貴方達に抵抗する気はない事の証明です』
「なんか……本当に冷静だね」
『そうですかね?これでも結構自分でも驚いてるんですけど……それより私に聞きたい事があるんじゃないですか?』
『いっぱいある』
『わあっ!?この状態でも話せるんですか貴女?』


レナの視界には少女が自分で喋ったようにしか見えないが、コトミンが彼女の口を通して話しかけているようであり、先ほどの自分もこのようにコトミンと会話をしていた時は独り言のように話していたのかと彼が考えていると、不意にコトミンが少女に質問を行う。


『私はコトミン。可愛いスライムだよ……貴女は何者?』
『何処かで聞いたようなセリフですね……私の名前は……忘れました。ていうか、何も覚えてません』
「えっ?」


少女の返答にレナは呆気に取られ、彼女は申し訳なさそうに頭を掻きながら説明を始める。


『別にふざけているわけじゃないんですけど……私、記憶が無いんですよね。気付いたらこんな姿になっていたとしか……自分が人間だった事は覚えてるんですけど、どうしてこんな風な身体に変化したのか覚えてないんですよね』
「そうなの?」
『ううんっ……最初に目覚めた時に誰かが傍に居たとは思います。だけどそれ以外は何にも覚えてませんね。誰かに助けを求めようにも話す事も出来ませんし、そもそもこの恰好だと魔物に間違われて襲われるし……何とかこの建物に逃げ込んだんですけど、ここもさっきの人に見つかっちゃいましたね』
「この魔石は?」
『それはこの酒場で見つけました。誰かが保管していたようですけど、今の私のご飯ですね』
「ご飯って……食べるの?」
『流石にこのままの状態で食べませんよ……食べるというよりは直に触れて魔力を吸収しているんですよ。どうやらこの身体を保つには魔力を補給する必要があるようです』
『……私と同じ』


どうやらスケルトンの少女も定期的にコトミンのように外部から魔力を補給しなければ動けないようであり、コトミンの場合は水分を吸収する事でも回復出来るが、スケルトンの彼女は魔石を通して魔力を回復させる以外に補給方法はないらしい。


「何時からその姿になったのか覚えてる?」
『一週間……ぐらい前ですかね?それ以前の記憶はないんですよ』
「一週間……勇者が召喚された日?」


レナと彼のクラスメイトの4人がこちらの世界に召喚された日にスケルトンの少女は目覚めたらしく、それ以前の記憶が存在しないという。偶然なのか、それとも何らかの関係性があるのかは分からないが、少なくともスケルトンの少女が嘘を言っていないのは確かだった。
しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...