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スラム編
スケルトンのアイリィ
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『それで今度はこちらから質問したいんですけど……お二人は何者ですか?』
「えっと……通りすがりの旅人です」
『……です』
『いや、絶対嘘ですよね?通りすがりの人がこんな場所に入り込むわけないでしょっ!?』
レナとコトミンの発言にスケルトンの少女は突っ込むが、別に2人もふざけている訳ではなく、本当に偶然見かけた人物の後を追跡してこの場所に辿り着いただけであり、最初から彼女の事を探していたわけではなく、あくまでも成り行きで彼女と遭遇しただけである。
『まあ、別に正体を喋りたくないのなら無理には聞きませんけどね……それでこれからどうするんですか?』
『どうするって?』
『いや、だから私をどうしたいんですか?警備兵に突き付けるのか、あるいは街の外に放り出すのか、それとも助けてくれますか?』
『……レナに任せる』
「え、俺?」
少女の言葉にコトミンはレナに丸投げし、元を正せば彼女が話をしたいと願い出たからレナは少女の前に現れたのだが、仕方ないのでレナは彼女にどう説明するのか考える。流石にこのまま酒場に放置する事は出来ず、先ほど逃げた男性が今度こそ警備兵を連れ出して戻ってくる可能性も高い。
「とりあえずは移動しようか……えっと、骨身さん」
『どんな呼び方ですかっ!!まあ、間違ってはいませんけど……』
『名前が無いのは不便……ホネミンと呼んでいい?』
『駄目です……もう少し真面な名前を付けてくれませんか?』
「なら……アイリとかでどうかな?俺の好きな小説のキャラクターの名前なんだけど」
『あ、いいですねそれ。もうちょっと愛情を込めてアイリィと呼んで下さいよ』
『ホネミン……』
『だからそれは嫌ですって!!』
レナの提案にスケルトンの少女はあっさりと承諾し、今後は彼女の事を「アイリィ」と呼ぶことに決める。ちなみにレナが元の世界で呼んでいた小説の「アイリ」はヒロインではなく黒幕の魔王の名前であり、その事実を彼女には敢えて伝えず、レナ達はその場を移動する。
『何処に向かうんですか?』
「俺達の宿屋だと変な誤解を受けそうだから……何処か適当な建物の屋上に移動しよう」
『了解』
――スケルトンの少女のアイリィを引き連れ、レナ達は寂れた酒場を抜け出し、先ほどまで隠れていた建物の屋上に移動する。ちなみに移動手段は聖属性の付与魔法を利用してアイリィを担いで跳躍し、誰にも見つからずに屋上に辿り着く事には成功する。移動先の屋上には人の気配はなく、誰かに見つかる心配もない事を確認した後、もう一度レナはアイリィと向かい合う形で話を聞く。
「アイリィはこれからどうしたい?流石にずっとコトミンを身に纏ったままというわけにもいかないだろうし……」
『そうですね。出来れば本当の人間の肉体を取り戻したいんですけど、今の状態だと難しそうですね……』
「どうして今の身体になったのかは覚えていないんだっけ?」
『はい。さっきも言ったように一週間以上前の記憶は存在しないんですよ。自分が人間だった事は覚えてるんですけど、何処で生まれて、どのような環境で育ったのかは分かりません。だけどそれいがいの事は結構覚えてるんですけどね……自分で言うのもなんですけど魔物の知識は豊富ですよ』
『冒険者だったの?』
『それは分かりませんけど、少なくとも戦える術は身に着けてますよ。まあ、こんな状態だと魔法もスキルも上手く発動できませんけど……』
「魔法を使えるの?」
この世界で魔法を扱えるのは魔術師の職業の人間だけであり、必然的にアイリィは魔術師の職業を修得している事になる。それ以前にスケルトンのような肉体に変化していても魔法を使えるという点から彼女は魔物ではなく、元は人間である可能性が高い。
『使えるには使えますけど、今の私は定期的に魔力を補給しないと動けなくなるんです。もしも魔法を使用したら折角吸収した魔力を大量に消費する事になるので出来れば避けたいんですけど……一応は回復魔法が扱えます』
『……という事は治癒魔導士?』
『ですね。ちなみにこの状態でもステータス画面は開けますから、私が魔物ではない証明です』
「そうなのか……」
ステータスの画面を開くのはレナが最初に召喚された日に行われた「ステータスの儀式」を受けた人間だけであり、この儀式は魔物に施すことは出来ない。そのため、アイリィは自分が魔物のような外見に変化してもステータス画面を開く事が出来る時点で彼女が人間、あるいは他の人種(獣人族等)である事は間違いない。
ちなみにレナが先日遭遇した魔人族は正確には魔物ではなく、人種のため魔法もスキルも扱える。それでもアイリィのような外見は完全なスケルトンのような魔人族は存在しないため、彼女が魔人族である可能性は低い。
「回復魔法はどれくらい扱えるの?」
『そうですね……傷を治療する「治癒」に異常状態を回復させる「状態回復」瀕死状態の人間の意識を目覚めさせる「蘇生」や広範囲に回復魔法を施せる「広域回復」が扱えますね』
「へえっ……なんか凄そうだな」
『まあ、今の状態だとどれも使えないんですけどね……効率よく外部から魔法を回復する手段があればいいんですけど』
『それならいい手段がある』
「『えっ?』」
アイリィの呟きにコトミンが反応し、レナはすぐに彼女の言葉の意味を理解した。
「えっと……通りすがりの旅人です」
『……です』
『いや、絶対嘘ですよね?通りすがりの人がこんな場所に入り込むわけないでしょっ!?』
レナとコトミンの発言にスケルトンの少女は突っ込むが、別に2人もふざけている訳ではなく、本当に偶然見かけた人物の後を追跡してこの場所に辿り着いただけであり、最初から彼女の事を探していたわけではなく、あくまでも成り行きで彼女と遭遇しただけである。
『まあ、別に正体を喋りたくないのなら無理には聞きませんけどね……それでこれからどうするんですか?』
『どうするって?』
『いや、だから私をどうしたいんですか?警備兵に突き付けるのか、あるいは街の外に放り出すのか、それとも助けてくれますか?』
『……レナに任せる』
「え、俺?」
少女の言葉にコトミンはレナに丸投げし、元を正せば彼女が話をしたいと願い出たからレナは少女の前に現れたのだが、仕方ないのでレナは彼女にどう説明するのか考える。流石にこのまま酒場に放置する事は出来ず、先ほど逃げた男性が今度こそ警備兵を連れ出して戻ってくる可能性も高い。
「とりあえずは移動しようか……えっと、骨身さん」
『どんな呼び方ですかっ!!まあ、間違ってはいませんけど……』
『名前が無いのは不便……ホネミンと呼んでいい?』
『駄目です……もう少し真面な名前を付けてくれませんか?』
「なら……アイリとかでどうかな?俺の好きな小説のキャラクターの名前なんだけど」
『あ、いいですねそれ。もうちょっと愛情を込めてアイリィと呼んで下さいよ』
『ホネミン……』
『だからそれは嫌ですって!!』
レナの提案にスケルトンの少女はあっさりと承諾し、今後は彼女の事を「アイリィ」と呼ぶことに決める。ちなみにレナが元の世界で呼んでいた小説の「アイリ」はヒロインではなく黒幕の魔王の名前であり、その事実を彼女には敢えて伝えず、レナ達はその場を移動する。
『何処に向かうんですか?』
「俺達の宿屋だと変な誤解を受けそうだから……何処か適当な建物の屋上に移動しよう」
『了解』
――スケルトンの少女のアイリィを引き連れ、レナ達は寂れた酒場を抜け出し、先ほどまで隠れていた建物の屋上に移動する。ちなみに移動手段は聖属性の付与魔法を利用してアイリィを担いで跳躍し、誰にも見つからずに屋上に辿り着く事には成功する。移動先の屋上には人の気配はなく、誰かに見つかる心配もない事を確認した後、もう一度レナはアイリィと向かい合う形で話を聞く。
「アイリィはこれからどうしたい?流石にずっとコトミンを身に纏ったままというわけにもいかないだろうし……」
『そうですね。出来れば本当の人間の肉体を取り戻したいんですけど、今の状態だと難しそうですね……』
「どうして今の身体になったのかは覚えていないんだっけ?」
『はい。さっきも言ったように一週間以上前の記憶は存在しないんですよ。自分が人間だった事は覚えてるんですけど、何処で生まれて、どのような環境で育ったのかは分かりません。だけどそれいがいの事は結構覚えてるんですけどね……自分で言うのもなんですけど魔物の知識は豊富ですよ』
『冒険者だったの?』
『それは分かりませんけど、少なくとも戦える術は身に着けてますよ。まあ、こんな状態だと魔法もスキルも上手く発動できませんけど……』
「魔法を使えるの?」
この世界で魔法を扱えるのは魔術師の職業の人間だけであり、必然的にアイリィは魔術師の職業を修得している事になる。それ以前にスケルトンのような肉体に変化していても魔法を使えるという点から彼女は魔物ではなく、元は人間である可能性が高い。
『使えるには使えますけど、今の私は定期的に魔力を補給しないと動けなくなるんです。もしも魔法を使用したら折角吸収した魔力を大量に消費する事になるので出来れば避けたいんですけど……一応は回復魔法が扱えます』
『……という事は治癒魔導士?』
『ですね。ちなみにこの状態でもステータス画面は開けますから、私が魔物ではない証明です』
「そうなのか……」
ステータスの画面を開くのはレナが最初に召喚された日に行われた「ステータスの儀式」を受けた人間だけであり、この儀式は魔物に施すことは出来ない。そのため、アイリィは自分が魔物のような外見に変化してもステータス画面を開く事が出来る時点で彼女が人間、あるいは他の人種(獣人族等)である事は間違いない。
ちなみにレナが先日遭遇した魔人族は正確には魔物ではなく、人種のため魔法もスキルも扱える。それでもアイリィのような外見は完全なスケルトンのような魔人族は存在しないため、彼女が魔人族である可能性は低い。
「回復魔法はどれくらい扱えるの?」
『そうですね……傷を治療する「治癒」に異常状態を回復させる「状態回復」瀕死状態の人間の意識を目覚めさせる「蘇生」や広範囲に回復魔法を施せる「広域回復」が扱えますね』
「へえっ……なんか凄そうだな」
『まあ、今の状態だとどれも使えないんですけどね……効率よく外部から魔法を回復する手段があればいいんですけど』
『それならいい手段がある』
「『えっ?』」
アイリィの呟きにコトミンが反応し、レナはすぐに彼女の言葉の意味を理解した。
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