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スラム編
尾行者
「レナさんは何処で働いているんですか?それほど聖属性の付与魔法を扱えるなら治療院に勤めてるんですか?」
「治療院……病院じゃないの?」
「その病院というのはよく分かりませんけど、主に怪我の治療を行う教会の通称ですよ」
アイリィの説明によるとこの世界では「陽光教会」と呼ばれる宗教団体が存在し、教会といっても実際はこちらの世界の病院のような存在であり、怪我や病気の治療を良心的な値段で請け負う施設である。金銭的に高価な回復薬を購入できない人間、あるいは普通の回復薬や回復魔法では治療が不可能な人間が訪れる場所であり、腕利きの治癒魔導士が揃えられている。
「そんな場所があったのか……だけど身分証が持っていない俺は何処も働かせてくれないんだよな」
「なるほど……その身分証という物を何とかしないと働く事も出来ないんですね。どうやって発行するんですか?」
「身元を保証してくれる人がいないと無理だよ。それに再発行の時は馬鹿みたいに金を取られるらしい」
この世界では成人を迎えると必ず身分証を与えられるらしく、この帝国に成人になっても所持していない人間はいない。レナ達の場合は元から所有していないが、発行を行う時は間違いなく再発行として扱われるのは間違いなく、そもそも現在の彼等には身元を保証してくれそうな人間に心当たりがない。
レナはホノカに頼む事も考えたが彼女は不在であり、彼女が帝都に戻ってくるまで身分証の発行は出来ない。冒険者ギルドで冒険者として登録すれば身分証の役割を持つ「ギルドカード」を受け取れるのだが、こちらもギルド関係者の紹介や保証人がいなければ登録は出来ない。この世界で生きていくには身分証という存在が必要不可欠であり、どうにか入手したい所だが今現在のレナ達には当てがない。
「面倒な世の中ですね……身分証を偽造できませんかね」
「犯罪に手を染めるのはちょっと……それに身分証を見せて貰ったけど、意外と科学的だったから偽造するのは難しそうだよ」
以前に一度だけレナはホノカに身分証を見せて貰った事があったが、外見は水晶製の長方形の板であり、大きさはスマートフォン程度の大きさだったが、表面に指を触れると名前と職業が表示されるらしく、非常に頑丈な素材で作り出されているらしい。
「コトミンさんの分裂能力で身分証を偽造できませんかね?」
「小さい物に化けるのは苦手……それに分裂した私の身体は操る事が出来ないから」
「それなら強行突破しますか?出入口さえ抜けきればどうにかなるかもしれませんよ。コトミンさんがいれば外見を変える事は出来ますし……」
「それはさっきも考えたけど、戻る時に警備が絶対強化されてるだろうな……」
「面倒臭いですねぇっ」
3人は色々な脱出手段を考えたが、結局はどの案も実行するには危険が大きすぎる為、やはり身分証を手に入れるのが先決だった。その身分証も入手するのが非常に困難なのだが、ホノカが戻ってくれば問題は解決すると思われる。
「早くホノカさんが戻ってくればな」
「さっき話していた商人の知り合いの方ですね?それにしても1人で店を経営しているなんてどんな人なんでしょうかね」
「俺以外にお客さんが着たの見た事ないな……言われてみればどうやって生活してるんだろ」
「……謎」
ホノカも色々と謎が多い人物であり、帰還した時にレナは彼女に色々と尋ねるべきかと考えていると、不意に先ほど習得した「気配感知」が反応する。このスキルは自分に「殺気」を抱く人間が近づいた時に発動するスキルであり、レナは後方を振り返る。
「…………」
少し離れた建物の影にこちらを観察する男性が存在し、レナが顔を向けた瞬間に身を隠す。そんな彼の反応にレナは疑問を抱き、少なくとも自分に殺意を抱く人間にしか反応しないスキルが発動した事から相手の狙いが彼である事に間違いない。
「あ、レナさんも気付きました?あの人、さっきから私達の後を付けてますよ」
「……スラム街から出た時から尾行してる」
「えっ、本当に?……2人とも気付いていたの?」
そんなに早く気付いていたのならもっと早く教えて欲しかったが、それほど前から尾行していた男にレナは「気配感知」のスキルを修得したにも関わらずに今まで気付かなかった事が気にかかる。
「あの人も相当な手練れだと思いますよ。恐らくは暗殺者の職業でしょうね……職業病なのか同業者にも知られないように慎重に行動していますね」
「あ、だから気付くのが遅れたのか……」
相手も暗殺者の職業の人間ならば気配感知のスキルも把握しており、用心深く距離を保ってレナの気配感知が届かない距離で尾行を続けていたとしたら気付くのが遅れても可笑しくはない。それならばどうして今になってレナが気付けたのかが気にかかるが、単純にレナが2人と話し込んで立ち止まった事で距離が縮まり、彼のスキルの感知範囲に偶然入ったとしか考えられない。
「あっちが私達に気付かれたと判断する前に移動しましょうか。それにしても何者ですかね……お二人に心当たりは?」
「ない」
「俺はも特に人に恨まれる事をした覚えはないけど……」
レアに心当たりがあるとすれば帝国が今更になって自分の存在を邪魔と判断し、暗殺者を送り込んだのかと考えたが、それにしては王城を追放して一週間も放置して置きながら暗殺者を送り込む理由が分からない。邪魔者と判断したのなら早々に始末すればいい話であり、それにスラム街を抜け出た時から尾行しているというのが気にかかった。
「治療院……病院じゃないの?」
「その病院というのはよく分かりませんけど、主に怪我の治療を行う教会の通称ですよ」
アイリィの説明によるとこの世界では「陽光教会」と呼ばれる宗教団体が存在し、教会といっても実際はこちらの世界の病院のような存在であり、怪我や病気の治療を良心的な値段で請け負う施設である。金銭的に高価な回復薬を購入できない人間、あるいは普通の回復薬や回復魔法では治療が不可能な人間が訪れる場所であり、腕利きの治癒魔導士が揃えられている。
「そんな場所があったのか……だけど身分証が持っていない俺は何処も働かせてくれないんだよな」
「なるほど……その身分証という物を何とかしないと働く事も出来ないんですね。どうやって発行するんですか?」
「身元を保証してくれる人がいないと無理だよ。それに再発行の時は馬鹿みたいに金を取られるらしい」
この世界では成人を迎えると必ず身分証を与えられるらしく、この帝国に成人になっても所持していない人間はいない。レナ達の場合は元から所有していないが、発行を行う時は間違いなく再発行として扱われるのは間違いなく、そもそも現在の彼等には身元を保証してくれそうな人間に心当たりがない。
レナはホノカに頼む事も考えたが彼女は不在であり、彼女が帝都に戻ってくるまで身分証の発行は出来ない。冒険者ギルドで冒険者として登録すれば身分証の役割を持つ「ギルドカード」を受け取れるのだが、こちらもギルド関係者の紹介や保証人がいなければ登録は出来ない。この世界で生きていくには身分証という存在が必要不可欠であり、どうにか入手したい所だが今現在のレナ達には当てがない。
「面倒な世の中ですね……身分証を偽造できませんかね」
「犯罪に手を染めるのはちょっと……それに身分証を見せて貰ったけど、意外と科学的だったから偽造するのは難しそうだよ」
以前に一度だけレナはホノカに身分証を見せて貰った事があったが、外見は水晶製の長方形の板であり、大きさはスマートフォン程度の大きさだったが、表面に指を触れると名前と職業が表示されるらしく、非常に頑丈な素材で作り出されているらしい。
「コトミンさんの分裂能力で身分証を偽造できませんかね?」
「小さい物に化けるのは苦手……それに分裂した私の身体は操る事が出来ないから」
「それなら強行突破しますか?出入口さえ抜けきればどうにかなるかもしれませんよ。コトミンさんがいれば外見を変える事は出来ますし……」
「それはさっきも考えたけど、戻る時に警備が絶対強化されてるだろうな……」
「面倒臭いですねぇっ」
3人は色々な脱出手段を考えたが、結局はどの案も実行するには危険が大きすぎる為、やはり身分証を手に入れるのが先決だった。その身分証も入手するのが非常に困難なのだが、ホノカが戻ってくれば問題は解決すると思われる。
「早くホノカさんが戻ってくればな」
「さっき話していた商人の知り合いの方ですね?それにしても1人で店を経営しているなんてどんな人なんでしょうかね」
「俺以外にお客さんが着たの見た事ないな……言われてみればどうやって生活してるんだろ」
「……謎」
ホノカも色々と謎が多い人物であり、帰還した時にレナは彼女に色々と尋ねるべきかと考えていると、不意に先ほど習得した「気配感知」が反応する。このスキルは自分に「殺気」を抱く人間が近づいた時に発動するスキルであり、レナは後方を振り返る。
「…………」
少し離れた建物の影にこちらを観察する男性が存在し、レナが顔を向けた瞬間に身を隠す。そんな彼の反応にレナは疑問を抱き、少なくとも自分に殺意を抱く人間にしか反応しないスキルが発動した事から相手の狙いが彼である事に間違いない。
「あ、レナさんも気付きました?あの人、さっきから私達の後を付けてますよ」
「……スラム街から出た時から尾行してる」
「えっ、本当に?……2人とも気付いていたの?」
そんなに早く気付いていたのならもっと早く教えて欲しかったが、それほど前から尾行していた男にレナは「気配感知」のスキルを修得したにも関わらずに今まで気付かなかった事が気にかかる。
「あの人も相当な手練れだと思いますよ。恐らくは暗殺者の職業でしょうね……職業病なのか同業者にも知られないように慎重に行動していますね」
「あ、だから気付くのが遅れたのか……」
相手も暗殺者の職業の人間ならば気配感知のスキルも把握しており、用心深く距離を保ってレナの気配感知が届かない距離で尾行を続けていたとしたら気付くのが遅れても可笑しくはない。それならばどうして今になってレナが気付けたのかが気にかかるが、単純にレナが2人と話し込んで立ち止まった事で距離が縮まり、彼のスキルの感知範囲に偶然入ったとしか考えられない。
「あっちが私達に気付かれたと判断する前に移動しましょうか。それにしても何者ですかね……お二人に心当たりは?」
「ない」
「俺はも特に人に恨まれる事をした覚えはないけど……」
レアに心当たりがあるとすれば帝国が今更になって自分の存在を邪魔と判断し、暗殺者を送り込んだのかと考えたが、それにしては王城を追放して一週間も放置して置きながら暗殺者を送り込む理由が分からない。邪魔者と判断したのなら早々に始末すればいい話であり、それにスラム街を抜け出た時から尾行しているというのが気にかかった。
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