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スラム編
尾行者の撃退
「……ホネミンの方こそ心当たりはないの?」
「いや、その名前まだ諦めてないんですか……まあ、ありますね」
「え、あるの?」
「さっきレナさんに渡した魔石を覚えてますか?あれは酒場で見つけたと説明しましたよね。それで考えたんですけど、もしかしたら魔石の本当の所有者かも知れません」
「……なるほど」
アイリィの予想によると彼女が食料代わりに補給していた魔石の所有者の可能性があり、考えられるとしたら彼女が住処にしていた酒場に存在した魔石は現在レナ達を尾行している男性が何らかの理由で隠していた物であり、その酒場から抜け出してきたレナ達を男性が見かけ、彼は自分の魔石を盗み出したと考えたのかも知れない。
実際に酒場に存在した魔石の大半はアイリィが魔力の補給に利用したらしく、残りの魔石もレナが所有している。今更ながらに自分達が盗難した事に気付き、しかも殺気まで向けられている以上は相手もレナ達を泥棒と判断して殺意を抱いている可能性もある。
「……不味いよ。謝ったら許してくれないかな……」
「いや、無理だと思いますよ。実は言い忘れていましたけど、この一週間の間に結構な数の魔石を使ってしまいまして……弁償するとしても銀貨50枚ぐらい掛かりますから」
「なんでそれを早く言わないのさ……どうしよう」
銀貨50枚になると今のレナでは弁償できない金額であり、第一に既に殺意を向けられている以上、話が通じる相手とは考えにくい。それでも状況的に考えてレナ達の側に否があるのは事実であり、どうにか話し合いで済ませられないのかと3人は考えていると、建物の影から痺れを切らしたのか男性が姿を現す。
「ちょっと不味いですよ。完全にあの目は私達を殺すつもりです!!」
「こんな街中で!?」
「……逃げよっ」
コトミンの言葉にレナとアイリィは頷き、人混みを掻き分けて男性から距離を取ろうとする。だが、相手も暗殺者の職業を習得しているため、人通りが多いにも関わらずに器用に通行人を避けながら近づいてきた。
「待ちやがれっ!!」
「ちょっと!!追い付かれますよ!!」
「こっちに来て!!」
「んっ」
先頭を走っていたレナは裏路地に移動を行い、アイリィとコトミンも続く。彼は2人を先に移動させ、先ほど建物の壁を凍結させた時の事を思い出し、掌を地面に押し付けて「水属性」の付与魔法を発動する。
「水属性!!」
「うおおっ!?」
「「おおっ」」
レナの掌を通して地面が凍結し、氷が張り付いた地面に男性が派手に転び、その隙にレナは聖属性を自分の肉体に発動させ、限界まで身体能力を上昇させるとコトミンとアイリィを抱き寄せて一気に駆け抜ける。
「ごめんなさい!!いつか必ず弁償しますから!!」
「わあっ……」
「うわわっ!?」
「ま、待て……ふげっ!?」
一目散に駈け出すレナ達に男性が慌てて立ち上がろうとするが、再び氷の上で転倒してしまう。その隙にレナは全速力で路地を抜け出し、2人を引き連れて黒猫亭まで逃走を行う――
――数分後、聖属性の効果が切れて一気に体力を使い果たしたレナはコトミンとアイリィに肩を貸してもらいながら黒猫亭の自室に運び込まれる。アイリィに関しては自分だけの部屋を借りたが、話があるという事でレナ達の部屋にお邪魔する。
「う~んっ……フルマラソンを走り切った気分だ」
「大丈夫ですか?回復薬とか持っていたら飲んだ方がいいですよ」
「……任せて」
ベッドに横たわるレナにコトミンが指を差し出し、また自分の身体から回復液を生成して飲み込ませるつもりらしく、人に見られながらでは恥ずかしい行為だが、体力を回復させたいレナは有難く彼女の指先から滴る回復液を飲み込む。
「あむっ……うん、美味しい」
「ゆっくり飲んで……たくさんある」
「へえ……そんな能力もあるんですか。指先以外からも出せますか?」
「出せる……でも指の方が飲みやすい」
「ふうっ……もういいよ。ありがとうコトミン」
「んっ……」
指先が口元を離れ、レナは彼女のお蔭でだいぶ身体も楽になり、聖属性の付与魔法の効果で身体の負荷は掛からないので筋肉痛に襲われることはないが、体力に関してだけは魔法だけでは回復できない。魔法の熟練度を上げるだけでは体力は身につかず、地道に身体を鍛えるしかない。
アイリィはレナとコトミンの様子を確認しながら机の上に置かれているレナの鞄に視線を向け、こちらの世界には存在しない珍しいデザインの鞄であり、彼女は興味深そうに覗き込む。その際にポケットに入れたままのスマートフォンに気付き、レナに尋ねる。
「これはなんですか?手鏡……には見えませんけど」
「あ、それは……」
「何かの魔道具ですか?それにしては特に何も感じませんけど……」
既に電池は切れているのでスマートフォンは起動せず、流石にホノカも買い取ってくれなかった品物だが、アイリィは面白そうにスマートフォンを観察する。
「そんなに珍しい?」
「そうですね。どんな風に使われるのか興味がありますけど……」
「今は使えないよ。電池がないから……」
「デンチ?よく分かりませんけど、レナさんは不思議な物を持ってますね……そう言えばさっき何したんですか?」
「さっき?ああ、路地裏の事?あれは地面に水属性の付与魔法を発動したんだよ」
「さり気なくとんでもない事を言いますね……そんな事が出来るんですか」
「物体に魔法を付与させる事が出来るなら、壁や地面にも出来るんじゃないかと思ったんだけど……」
「なるほど……レナさんは柔軟な発想の持ち主ですね。普通の人間なら思いつきませんよ」
「そうかな……」
アイリィの言葉にレナは自分が特別な事を仕出かしたつもりはないが、アイリィによると普通の魔術師ならば考え付かない方法を実行したという。
「いや、その名前まだ諦めてないんですか……まあ、ありますね」
「え、あるの?」
「さっきレナさんに渡した魔石を覚えてますか?あれは酒場で見つけたと説明しましたよね。それで考えたんですけど、もしかしたら魔石の本当の所有者かも知れません」
「……なるほど」
アイリィの予想によると彼女が食料代わりに補給していた魔石の所有者の可能性があり、考えられるとしたら彼女が住処にしていた酒場に存在した魔石は現在レナ達を尾行している男性が何らかの理由で隠していた物であり、その酒場から抜け出してきたレナ達を男性が見かけ、彼は自分の魔石を盗み出したと考えたのかも知れない。
実際に酒場に存在した魔石の大半はアイリィが魔力の補給に利用したらしく、残りの魔石もレナが所有している。今更ながらに自分達が盗難した事に気付き、しかも殺気まで向けられている以上は相手もレナ達を泥棒と判断して殺意を抱いている可能性もある。
「……不味いよ。謝ったら許してくれないかな……」
「いや、無理だと思いますよ。実は言い忘れていましたけど、この一週間の間に結構な数の魔石を使ってしまいまして……弁償するとしても銀貨50枚ぐらい掛かりますから」
「なんでそれを早く言わないのさ……どうしよう」
銀貨50枚になると今のレナでは弁償できない金額であり、第一に既に殺意を向けられている以上、話が通じる相手とは考えにくい。それでも状況的に考えてレナ達の側に否があるのは事実であり、どうにか話し合いで済ませられないのかと3人は考えていると、建物の影から痺れを切らしたのか男性が姿を現す。
「ちょっと不味いですよ。完全にあの目は私達を殺すつもりです!!」
「こんな街中で!?」
「……逃げよっ」
コトミンの言葉にレナとアイリィは頷き、人混みを掻き分けて男性から距離を取ろうとする。だが、相手も暗殺者の職業を習得しているため、人通りが多いにも関わらずに器用に通行人を避けながら近づいてきた。
「待ちやがれっ!!」
「ちょっと!!追い付かれますよ!!」
「こっちに来て!!」
「んっ」
先頭を走っていたレナは裏路地に移動を行い、アイリィとコトミンも続く。彼は2人を先に移動させ、先ほど建物の壁を凍結させた時の事を思い出し、掌を地面に押し付けて「水属性」の付与魔法を発動する。
「水属性!!」
「うおおっ!?」
「「おおっ」」
レナの掌を通して地面が凍結し、氷が張り付いた地面に男性が派手に転び、その隙にレナは聖属性を自分の肉体に発動させ、限界まで身体能力を上昇させるとコトミンとアイリィを抱き寄せて一気に駆け抜ける。
「ごめんなさい!!いつか必ず弁償しますから!!」
「わあっ……」
「うわわっ!?」
「ま、待て……ふげっ!?」
一目散に駈け出すレナ達に男性が慌てて立ち上がろうとするが、再び氷の上で転倒してしまう。その隙にレナは全速力で路地を抜け出し、2人を引き連れて黒猫亭まで逃走を行う――
――数分後、聖属性の効果が切れて一気に体力を使い果たしたレナはコトミンとアイリィに肩を貸してもらいながら黒猫亭の自室に運び込まれる。アイリィに関しては自分だけの部屋を借りたが、話があるという事でレナ達の部屋にお邪魔する。
「う~んっ……フルマラソンを走り切った気分だ」
「大丈夫ですか?回復薬とか持っていたら飲んだ方がいいですよ」
「……任せて」
ベッドに横たわるレナにコトミンが指を差し出し、また自分の身体から回復液を生成して飲み込ませるつもりらしく、人に見られながらでは恥ずかしい行為だが、体力を回復させたいレナは有難く彼女の指先から滴る回復液を飲み込む。
「あむっ……うん、美味しい」
「ゆっくり飲んで……たくさんある」
「へえ……そんな能力もあるんですか。指先以外からも出せますか?」
「出せる……でも指の方が飲みやすい」
「ふうっ……もういいよ。ありがとうコトミン」
「んっ……」
指先が口元を離れ、レナは彼女のお蔭でだいぶ身体も楽になり、聖属性の付与魔法の効果で身体の負荷は掛からないので筋肉痛に襲われることはないが、体力に関してだけは魔法だけでは回復できない。魔法の熟練度を上げるだけでは体力は身につかず、地道に身体を鍛えるしかない。
アイリィはレナとコトミンの様子を確認しながら机の上に置かれているレナの鞄に視線を向け、こちらの世界には存在しない珍しいデザインの鞄であり、彼女は興味深そうに覗き込む。その際にポケットに入れたままのスマートフォンに気付き、レナに尋ねる。
「これはなんですか?手鏡……には見えませんけど」
「あ、それは……」
「何かの魔道具ですか?それにしては特に何も感じませんけど……」
既に電池は切れているのでスマートフォンは起動せず、流石にホノカも買い取ってくれなかった品物だが、アイリィは面白そうにスマートフォンを観察する。
「そんなに珍しい?」
「そうですね。どんな風に使われるのか興味がありますけど……」
「今は使えないよ。電池がないから……」
「デンチ?よく分かりませんけど、レナさんは不思議な物を持ってますね……そう言えばさっき何したんですか?」
「さっき?ああ、路地裏の事?あれは地面に水属性の付与魔法を発動したんだよ」
「さり気なくとんでもない事を言いますね……そんな事が出来るんですか」
「物体に魔法を付与させる事が出来るなら、壁や地面にも出来るんじゃないかと思ったんだけど……」
「なるほど……レナさんは柔軟な発想の持ち主ですね。普通の人間なら思いつきませんよ」
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アイリィの言葉にレナは自分が特別な事を仕出かしたつもりはないが、アイリィによると普通の魔術師ならば考え付かない方法を実行したという。
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