最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

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ゴブリンキング編

閑話 〈再び異世界へ〉

「レベルが上がっている……」
「えっ?」
「レベルが上がってるんだよ!!SPも入って……」
「それがどうしたのよ!!」


興奮した様子で佐藤は自分のステータスの変化を告げようとしたが、鈴木は信じられない物を見るような視線で彼を見つめ、意識を失った加藤を抱き上げる。彼女は鼻血まみれの彼に涙を流し、佐藤を罵倒する。


「信じられない!!この状況でよくもそんな事を言えるわね!?親友を殴り飛ばした次の台詞がレベルが上がったですって!?それは良かったわね!!あんたがここまで加藤を……雷太殴りつけて満足!?」
「ま、真帆……」
「……陽菜、加藤を保健室に連れて行くわよ。こんな奴、放っておきましょう」
「え?で、でも……」
「いいから行くわよ!!」


鈴木と花山は加藤に肩を貸し、保健室に運び込むために移動を行う。佐藤は手伝おうとしたが、鈴木に睨み付けられて立ち止まり、三人は屋上から立ち去る。


「何を……しているんだ僕は」


その場に佐藤は座り込み、自分の仕出かした行為に顔を覆う。親友を殴り倒してレベルを上昇させ、SPが手に入った事に浮かれていた彼は頭に冷水を被せられたような感覚であり、自分の行為に後悔する。いくら加藤が佐藤を刺激するような言葉を掛けたとしても、一方的に殴りつける理由にはならない。


「最低だ……僕は」


念願のSPを入手しても「命中」の能力を取り戻す気にはなれず、もしも3人が教師に佐藤が加藤を殴りつけた事を報告したら良くて停学、最悪の場合は退学であり、彼は溜息を大きな溜息を吐く。


「全部……あいつらのせいだ……!!」


彼の怒りの矛先は異世界から自分を召喚した男達であり、歯を食い縛る。彼等が自分達を召喚しなければ幼馴染達との関係が可笑しくなる事もなく、自分の野球人生も閉ざされることはなかったと考え、佐藤は拳を床に叩きつける。


「……皆に謝ろう。だけど、その前に……」


佐藤はある決意を抱き、今日は学校を早退して家に戻る事を決めた――





――彼は自宅に戻り、家にいた母親には驚かれたが気分が悪くて学校から戻ってきたと報告を行い、部屋の中に閉じ籠る。佐藤は昨夜に用意していた荷物を確認し、出来る限り動きやすい格好に着替え、荷物を積み込んだリュックを背負いこみ、自分の所有しているスキルを確認する。


「すぐに戻れば問題ない。皆の為にも……」


立ち去った三人の後姿を思い出し、佐藤は胸が痛むがこれからの行動は三人のためになると信じ、彼は自分の能力を発動した。



「――転移」



次の瞬間、彼の視界が一変し、佐藤は無事に王城から離れた建物の前に移動を果たす。彼は慌てて周辺を見渡すと、人通りは少ないが街中に移動した事は間違いなく、無事に王城の外部に移動を果たした事を知って安堵する。昨夜に王城から望遠鏡を使用して遠方の様子を伺った事が幸いし、彼の能力は思い描いた場所に転移できる能力の為、直接移動した場所でなくとも彼が記憶に残した場所なら移動が出来る事が判明される。


「や、やった……うわっ!?」
「おっと……悪いな兄ちゃん」


後方から自分よりも2倍以上の身体が大きい男性に衝突し、佐藤は慌てて道の隅に移動する。立ち去り際に巨人族の男性は「兄ちゃんも気を付けな」と告げ、佐藤は慌てて彼に頭を下げる。冷静に周囲を見渡すと元の世界には存在しない人種の人々が存在し、巨人族、獣人族、エルフ族といった神話や童話の存在が佐藤の目の前を行き交っていた。


「本当にここは別の世界なんだな……いや、今はどうでもいいか」


今回佐藤がこの世界に移動したのは少しでもこちらの世界の知識を身に着け、レベルを上昇させる方法を見つけ出す事だった。これまでの傾向から佐藤もスキルを習得し、熟練度を上昇させたり、あるいは他人と「戦闘」を行う事でゲームで例える「経験値」を入手する事が出来ると確信する。


「だけど……他に方法があるのなら探さないとな」


危険な行為を犯さずにレベルを上昇できる方法があるのならば確かめる必要があり、まず彼が取るべき行動はこの世界の知識を身に着ける為、まずは情報収集を行うために動き出す――
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