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ゴブリンキング編
ワルキューレ騎士団の不満
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――数時間後、ミキが率いるワルキューレ騎士団が帝都を出発してアラン炭鉱に向けて移動を行う。その中には副団長のテンの姿もあり、帝都に現在滞在している50人の女騎士達が白馬に跨がって草原を疾走する。彼女達の後方には一台の馬車が存在し、馬車の中にはレナ達も乗り込んでいた。
「まさかレナさんが陽光教会を説得するなんて思いもしませんでしたよ。しかもあんな作戦を思い付くなんて……」
「アイリィは別に無理に付き合う必要はないけど……」
「そんな寂しい事を言わないでくださいよ。こうなったら死ぬまでレノさんに付いていきますからね。だいたい二人が居なくなったら私は普通に生きていけませんし……」 「……ホネミンがデレた」
「べ、別にデレてませんしぃっ!?二人の事を心配なんてしてませんからっ!?」
「……ツンデレ?」
今更新しい属性を追加したアイリィに呆れながらもレナはコトミンに振り返り、今回の「作戦」には彼女の力が必要不可欠であり、ミキを説得するのには時間が掛かったがワルキューレ騎士団を派遣させる事には成功した。
レナがミキに提案したのは自分達が偵察を行い、ゴブリンキングの勢力と人質たちの居場所を把握した時点で引き返し、ワルキューレ騎士団に情報を伝える役目を担う。その代わりに相手の戦力がワルキューレ騎士団だけでも対処可能な場合、救援に向かう。だが、もしもレナ達が偵察に失敗した場合、あるいは敵の勢力と戦力差が大きすぎる場合は騎士団は戦闘を避けて退却するのが彼女達の条件だった。
「それにしても、まさか派遣してくれないなら二度とヨウカさんに魔力補給を行わないと言い出した時は驚きましたよ。まさか教会相手に脅迫するなんてレノさんもやりますね」
「だって放っておくと炭鉱の人達が死んじゃうし……それにアイリィだって賛成してくれたじゃん」
「まあ、レノさんの作戦は普通の人間が聞くと無謀だと思われますけど、コトミンさんの正体を知っている私としては成功確率が高いと思っていますよ。ですけど気を付けてくださいね……正体を気付かれたら終わりですよ」
「分かってる……頼むよコトミン」
「……任せて」
2人に視線を向けられてコトミンは力こぶを作る。今回の偵察の要は彼女の「擬態」の能力であり、鉱山に到着次第にレナとアイリィは彼女の力を使ってゴブリンの巣窟と化したアラン炭鉱に向かう手筈だった。
「あ、あの……到着しました」
「え?鉱山に辿り着いたの?」
「い、いえっ……あまり鉱山に近づきすぎると敵に気付かれる恐れがあるので……ここで待機するようにという命令が届きました」
レナ達の馬車の運転を行っていたのはアメリアであり、彼女が馬車を停めた場所は鉱山の近くに存在する森の中であり、ワルキューレ騎士団はこの場所に留まるという。ここから先は偵察隊を任せられたレナ達の出番であり、まずは鉱山に向かう必要がある。
「到着しました。皆さんも早く降りてください」
「あ、はい……」
「ちょっと不機嫌そうですね……」
「……当然です」
ミキが馬車のレナ達を迎え入れ、彼女は不満気な表情を抱いていた。それは他の騎士団の女騎士達も同様であり、テンだけが溜息を吐いて首を振る。今回の出動に関してはミキ達も不満を抱いており、そもそも彼女は最後まで反対していたのだが、ヨウカがレナの提案に賛成して命令を下したのだ。
『皆!!レノ君を手伝ってよ!!』
陽光教会の巫女姫の言葉には全員が逆らえず、ワルキューレ騎士団は彼女の命令で出動した。だが、全員がレナの作戦に不満を抱いており、彼等を睨み付ける者も少なくない。
「ミキ団長……この方は一体何者ですか?どうして巫女姫様は……」
「気持ちは分かりますが態度には気を付けなさい。この方達のお蔭で巫女姫様は御力を取り戻されました」
「しかし団長!!我々だけでゴブリンキングを討伐するというのは本気ですか!?」
「ゴブリンならばともかく、流石に伝説の魔物を相手にするのは……」
「今更文句言ってんじゃないよ!!これは巫女姫様の命令なんだ!!それに文句を言うというのは巫女姫様に文句を言っているのと同じなんだよっ!?」
テンの発言に女騎士達は黙り込み、彼女達はレナ達を睨みつけ、もしも三人が失敗した場合は絶対に許さないという表情を抱いており、アイリィがレナに耳打ちする。
「レノさん……万が一の場合は国外逃亡しますよ」
「それは最後の手段だ……じゃあ、行ってきます」
「え?あのっ……こちらに馬を用意していますが……」
徒歩で移動を行おうとしたレナ達にアメリアが2頭の馬を引き連れるが、3人の中で馬を乗りこなせる者は存在せず、レナは首を振る。
「ここから鉱山までの距離はどれくらい?」
「えっと……5キロぐらいだと思います」
「それなら問題ないかな……聖属性の付与魔法で移動するよ。馬出近付いた場合はゴブリンに見つからない場所に馬を隠さなきゃならないし……」
「正気ですか?幾らそれほど離れていないとはいえ、偵察を行う前に体力を消耗するのは……」
「そのための聖水ですよ。それにこっちには色々な準備があるから心配無用です。あまり人の事を馬鹿にしないで下さいよ……こっちもそれなりに修羅場をくぐってるんですよ」
「まあ、確かにね……本当にヤバい奴等ばっかりと会ってる気がする……」
アイリィが収納石を取り付けた鞄を見せつけ、今回のためにレナが生産した聖水が全て中に入っており、他にも大量の解毒薬も用意している。レナ達はワルキューレ騎士団に見送られ、森を離れて鉱山に向かおうとした時、アメリアだけが最後に3人に声援を送る。
「あのっ……頑張ってくださいね」
「ああっ……任せて」
「ぐっとらっく」
「コトミンさん、それは私達が言われる方ですね」
特に緊張せずに炭鉱に向かおうとする三人にワルキューレ騎士団の女騎士達は呆気に取られるが、レナ達はアラン炭鉱に向けて移動を開始した。
「まさかレナさんが陽光教会を説得するなんて思いもしませんでしたよ。しかもあんな作戦を思い付くなんて……」
「アイリィは別に無理に付き合う必要はないけど……」
「そんな寂しい事を言わないでくださいよ。こうなったら死ぬまでレノさんに付いていきますからね。だいたい二人が居なくなったら私は普通に生きていけませんし……」 「……ホネミンがデレた」
「べ、別にデレてませんしぃっ!?二人の事を心配なんてしてませんからっ!?」
「……ツンデレ?」
今更新しい属性を追加したアイリィに呆れながらもレナはコトミンに振り返り、今回の「作戦」には彼女の力が必要不可欠であり、ミキを説得するのには時間が掛かったがワルキューレ騎士団を派遣させる事には成功した。
レナがミキに提案したのは自分達が偵察を行い、ゴブリンキングの勢力と人質たちの居場所を把握した時点で引き返し、ワルキューレ騎士団に情報を伝える役目を担う。その代わりに相手の戦力がワルキューレ騎士団だけでも対処可能な場合、救援に向かう。だが、もしもレナ達が偵察に失敗した場合、あるいは敵の勢力と戦力差が大きすぎる場合は騎士団は戦闘を避けて退却するのが彼女達の条件だった。
「それにしても、まさか派遣してくれないなら二度とヨウカさんに魔力補給を行わないと言い出した時は驚きましたよ。まさか教会相手に脅迫するなんてレノさんもやりますね」
「だって放っておくと炭鉱の人達が死んじゃうし……それにアイリィだって賛成してくれたじゃん」
「まあ、レノさんの作戦は普通の人間が聞くと無謀だと思われますけど、コトミンさんの正体を知っている私としては成功確率が高いと思っていますよ。ですけど気を付けてくださいね……正体を気付かれたら終わりですよ」
「分かってる……頼むよコトミン」
「……任せて」
2人に視線を向けられてコトミンは力こぶを作る。今回の偵察の要は彼女の「擬態」の能力であり、鉱山に到着次第にレナとアイリィは彼女の力を使ってゴブリンの巣窟と化したアラン炭鉱に向かう手筈だった。
「あ、あの……到着しました」
「え?鉱山に辿り着いたの?」
「い、いえっ……あまり鉱山に近づきすぎると敵に気付かれる恐れがあるので……ここで待機するようにという命令が届きました」
レナ達の馬車の運転を行っていたのはアメリアであり、彼女が馬車を停めた場所は鉱山の近くに存在する森の中であり、ワルキューレ騎士団はこの場所に留まるという。ここから先は偵察隊を任せられたレナ達の出番であり、まずは鉱山に向かう必要がある。
「到着しました。皆さんも早く降りてください」
「あ、はい……」
「ちょっと不機嫌そうですね……」
「……当然です」
ミキが馬車のレナ達を迎え入れ、彼女は不満気な表情を抱いていた。それは他の騎士団の女騎士達も同様であり、テンだけが溜息を吐いて首を振る。今回の出動に関してはミキ達も不満を抱いており、そもそも彼女は最後まで反対していたのだが、ヨウカがレナの提案に賛成して命令を下したのだ。
『皆!!レノ君を手伝ってよ!!』
陽光教会の巫女姫の言葉には全員が逆らえず、ワルキューレ騎士団は彼女の命令で出動した。だが、全員がレナの作戦に不満を抱いており、彼等を睨み付ける者も少なくない。
「ミキ団長……この方は一体何者ですか?どうして巫女姫様は……」
「気持ちは分かりますが態度には気を付けなさい。この方達のお蔭で巫女姫様は御力を取り戻されました」
「しかし団長!!我々だけでゴブリンキングを討伐するというのは本気ですか!?」
「ゴブリンならばともかく、流石に伝説の魔物を相手にするのは……」
「今更文句言ってんじゃないよ!!これは巫女姫様の命令なんだ!!それに文句を言うというのは巫女姫様に文句を言っているのと同じなんだよっ!?」
テンの発言に女騎士達は黙り込み、彼女達はレナ達を睨みつけ、もしも三人が失敗した場合は絶対に許さないという表情を抱いており、アイリィがレナに耳打ちする。
「レノさん……万が一の場合は国外逃亡しますよ」
「それは最後の手段だ……じゃあ、行ってきます」
「え?あのっ……こちらに馬を用意していますが……」
徒歩で移動を行おうとしたレナ達にアメリアが2頭の馬を引き連れるが、3人の中で馬を乗りこなせる者は存在せず、レナは首を振る。
「ここから鉱山までの距離はどれくらい?」
「えっと……5キロぐらいだと思います」
「それなら問題ないかな……聖属性の付与魔法で移動するよ。馬出近付いた場合はゴブリンに見つからない場所に馬を隠さなきゃならないし……」
「正気ですか?幾らそれほど離れていないとはいえ、偵察を行う前に体力を消耗するのは……」
「そのための聖水ですよ。それにこっちには色々な準備があるから心配無用です。あまり人の事を馬鹿にしないで下さいよ……こっちもそれなりに修羅場をくぐってるんですよ」
「まあ、確かにね……本当にヤバい奴等ばっかりと会ってる気がする……」
アイリィが収納石を取り付けた鞄を見せつけ、今回のためにレナが生産した聖水が全て中に入っており、他にも大量の解毒薬も用意している。レナ達はワルキューレ騎士団に見送られ、森を離れて鉱山に向かおうとした時、アメリアだけが最後に3人に声援を送る。
「あのっ……頑張ってくださいね」
「ああっ……任せて」
「ぐっとらっく」
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