最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

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ゴブリンキング編

潜入開始

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『ぎ、ぎぃいっ……』
「ギィッ!?」
「いや、無理に鳴き声を上げないでもいいですよ?自然に接して下さい」


気軽に腕を上げてゴブリンに近づいたレナに対し、武装したゴブリン達は警戒気味に彼を見つめるが、自分たちよりも身長が大きい事に気付くと怯んだように後退る。レナは先ほどのアイリィの助言を思い出し、堂々と腕を組んで偉そうにゴブリン達を睨み付ける。

最初は警戒して武器を構えていたゴブリン達が顔を見合わせ、自分達を睨み付けるレナに道を開く。その行動に内心驚きながらも彼は先に進み、アイリィも後に続く。彼女の事を見てもゴブリンは反応は示さず、本当に「スライム」と同じ存在として認識しているのかアイリィに対して何も反応は示さなかった。


「上手く行きましたよ。どうやらあのゴブリン達、レナさんを仲間だと勘違いしたようですね。もしかしたら例のゴブリンナイトという個体と勘違いしたかも知れません」
『ゴブリンキングの子供か……普通のゴブリンよりも巨体だっけ?』
『……レナ、気を付ける。この周りにもゴブリンが隠れてる』
「うわっ……コトミンさんですか。急にレナさんが裏声を出したのかとびっくりしましたよ」


コトミンの声が響き渡り、アイリィの視界にはレナが口を開いて喋っているようにしか見えず、合体した状態でコトミンが会話を行う場合は張り付いた人間の口を利用するため、独り言を行っているようにしか見えない。


「どうやら周りにもゴブリンが隠れているようですね……それと鉱山と聞いていましたけど、緑が一切存在しませんね。もう完全な岩山ですね」
『炭鉱は何処にあるんだろう?』
「もう少し登りましょう。道は1つだけだけですし、迷う心配はなさそうですね」


2人は坂道を移動し、その途中で何匹か武装したゴブリンとすれ違う。ゴブリン達はレナ達に気付くと慌てて道を開け、アイリィに関しては彼女が見えていないかのように気にした素振りを見せずに黙って見過ごす。炭鉱の場所を探しながら三人は坂道を移動し続けると、やがて坂道が終わりを迎え、周囲が開けた場所に辿り着く。


『ここが……』
「アラン炭鉱のようですね……予想よりも凄い数です」


レナ達が坂道を完全に登り切るとクレーターのように地面が凹んだ場所に到着を果たし、目的地の炭鉱に遂に到着する。クレーターには無数の洞穴が存在し、鋼鉄のレールとトロッコが地面に設置されており、さらに100匹を超えるゴブリン達が人間のように派手に宴を行っていた。



『――ギィイイイッ……!!』



無数のゴブリンが酒瓶や食料を味わっており、中には裸踊りを行っている個体も存在し、この場にレナ達が訪れぅ前には武装したゴブリンと何体も通り過ぎたが、炭鉱に存在するゴブリンの大半は身体に布切れを纏っているだけであり、全員が人間のように酒に酔っていた。


『……一体何をしてるんだ?』
「勝利の宴ですよ。人間だってよくやる事じゃないですか」
『魔物もそんなことするのか……』
『私はしない……お酒は嫌い』


レナとアイリィはゴブリン達の様子を観察しながら炭鉱内の洞穴も確認し、複数の入口が存在するため何処から侵入すればいいのか判断に迷ったが、位置的に一番近い洞穴に向う事を決める。3人は酒に溺れるゴブリン達を刺激しないように忍び足で移動する。


「ギィイッ……?」
「ギギィッ!!」
「ギィアッ……」


ゴブリン達を通り過ぎる際にレナとアイリィに気付いた個体も居たが、特に大きな反応は示さずに見過ごす。2人はゆっくりと移動を行い、何事もなく炭鉱内に続く洞穴に辿り着く。炭鉱にはレールが敷き詰められており、トロッコも搭載されており、普段は炭鉱で発掘した魔石をトロッコで外に移送させているらしく、レナとアイリィは洞窟の中に入り込む。


「炭鉱と聞いてましたけど、随分と道が広いですね。多分、巨人族でも通りやすいように掘り尽くされているんでしょう」
『そういう事か……この中にゴブリンキングがいるのかな?』
「さっきの宴の席ではそれらしい個体は見かけませんでしたから恐らくは……気を付けて進みましょう」
『……いざという時は私が守る』


レナ達は奥に移動を行い、洞窟内部は蝋燭が取り付けられており、問題なく地面のレールに沿って移動を行う。レナの予想に反して迷路のように複数の通路が存在するわけではなく、一本道が延々と続いており、途中に存在するトロッコには魔石の原石と思われる鉱石が詰められていた。レナが中を覗き込む限りでは所々が赤色や茶色に輝く石が詰め込まれており、アイリィが直に持ち出して鑑定のスキルを発動させて説明を行う。


「どうやらここの鉱山からは火属性と土属性の魔石が発掘されるようですね。でも、この状態だと魔石としては利用できません。開始に研磨してもらう必要があります」
『使えないの?』
「火属性の魔石なら強い刺激を与えれば爆発するかも知れませんけど……これだけ大量の魔石が爆発したら炭鉱なんて崩壊しますよ」


アイリィの発言にレナはトロッコに山積みされた魔石の原石を確認し、間違っても火属性の付与魔法を施さないように気を付ける。
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