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ゴブリンキング編
ゴブリンナイト
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「結構奥まで続いてますね。まあ、今の所は一本道ですから迷う心配はないですけど」
『ゴブリンも見えないな……あれ?ここから灯りが消えてる』
レナ達は炭鉱内部を進み続け、十数分ほど歩き続けていると今まで照らしていた通路の蝋燭が存在しない場所に辿り着き、暗闇に覆われた空間が広がる。レナは暗殺者の「暗視」のスキルがあるので問題はないが、アイリィは困った風にレナに振り返る。
「困りましたね……灯りが無いと先に進むのは危険ですよ」
『……聖水で照らせば?』
「あっ……なるほど、頭いいですねレナさん」
『今のはコトミンだよ』
「ややこしいですね!!」
コトミンの助言通りにアイリィは聖水入りの硝子瓶を取り出し、白色の光が周囲を照らす。聖水は常に光り輝き続ける液体のため、ランタンの要領で前方を照らしながら3人は移動を続ける。前後に気を配りながらレナ達は歩き続けていると、やがて左右に通路が別れた場所に辿り着く。
「あっ、通路が分かれていますよ。どっちに行きます?」
『どっちと言われてもな……ポチ子がいれば臭いとか人間の臭いを嗅ぎ分けられるかもしれなかったな』
「獣人族の鼻は便利ですからね……あれ、そう言えばコトミンさんも嗅覚を強化できませんでした?」
『任せて』
『のわっ!?』
唐突にレナの鼻の部分に異変が生じ、身体に張り付いているコトミンがゴブリンの鼻の形状を変化させ、やがて犬の鼻ように変化する。不思議な事に変形を果たすとレナは自分の嗅覚が研ぎ澄まされたように感じ取り、本物の犬になり切ったような感覚に陥る。
「うわっ!?どうしたんですかその鼻!?」
『いや、コトミンが勝手に……』
『この状態なら臭いが分かる』
自分の鼻の変化にレナは戸惑うが、コトミンの言葉に彼は鼻の部分を触り、試しに周囲に臭いを嗅いでみる。左右の通路をポチ子のように鼻をひくつかせ、右側の通路から「血」の臭いを感じ取った。
『……こっちの方から血の臭いがする……気がする』
「血の臭い……戦闘が起きた場所かも知れませんね。行ってみますか?」
『そうだな……一応は武器を用意した方が良い』
「じゃあ、これを使いますか」
アイリィは自分の鞄から見た事もない色合いの薬瓶を取り出し、前回の蘇生薬とは違った色の薬瓶であり、嫌な予感をしながらもレナは彼女に問い質す。
『……それは何?』
「これは正真正銘の毒薬ですね。実験に失敗した……戦闘用に開発した薬品です」
『今、失敗って……』
「戦闘用です」
明らかに言い直したアイリィにレナは溜息を吐きながらも、一応は彼女の生み出した毒薬の効能を問い質す。
『どんな効果があるの?』
「ふっふっふっ……これは「腐敗剤」という強酸性の毒薬ですよ。触れた瞬間に大抵の生物の皮膚や筋肉を溶解させる威力を誇ります。あ、ちなみに素材は聞かないで下さいね」
『恐ろしいな……間違ってもコトミンに飲ませるなよ』
『……怖い』
「そんな事しませんよ。でもこの腐敗剤は名前の通りに凄く臭いんですよね……だから鼻の良い相手にも友好的です」
『絶対に今は使わないでね』
自分の鼻を抑えながらレナはアイリィと距離を取り、2人は移動を再開する。炭鉱に入ってから既に20分が経過しており、移動を続けるレナ達の前方に蝋燭とは異なる輝きの灯りが再び照らし出された。
「あれは……」
これまでの壁に打ち付けられた蝋燭と違い、2人の視界には天井の部分に電球のように光り輝く物体が収納されたランタンが吊るされており、すぐにアイリィが説明する。
「あれは光石ですね。聖属性の魔石の一種であり、常に一定に光を放ち続ける鉱石です。灯りとしてよく利用される物です。私の持っている発光石の加工前の代物ですね」
『なるほど……そしてあそこが食堂のようだな』
光石が照らされている場所には木造の扉が存在し、扉の表札には「食堂」という文字が刻まれていた。更に出入口には通常のゴブリンよりも巨体のゴブリンが立っており、巨人族のように身長は2メートルを軽く超えており、これまでに遭遇したゴブリン達よりも立派な装備を身に着けているため、レナは目の前の個体が「ゴブリンナイト」と呼ばれる存在だと見抜き、見張り番を行っているのかゴブリンナイトは扉の前で仁王立ちしたまま動く様子がない。
「どうやらあれがゴブリンナイトのようですね……これまでのゴブリンとは明らかに雰囲気が違います」
『1体だけか……あの中に人質がいるのか』
「まさか戦う気ですか?幾ら何でも無茶ですよ……オークよりも間違いなく強いですし、それにレナさんの吸魔石を利用した攻撃法だと洞窟に衝撃を与えて落盤する可能性も出てきますよ?」
アイリィの言葉通り、レナの吸魔石を利用した「投擲魔法」は炭鉱内部では危険であり、下手に強い衝撃を与えると炭鉱自体が崩れる可能性がある。だが、相手が1人だけ見張りを行っている好機を逃してしまうのは惜しく、レナはゴブリンナイトを打倒する方法を考える。
『ゴブリンも見えないな……あれ?ここから灯りが消えてる』
レナ達は炭鉱内部を進み続け、十数分ほど歩き続けていると今まで照らしていた通路の蝋燭が存在しない場所に辿り着き、暗闇に覆われた空間が広がる。レナは暗殺者の「暗視」のスキルがあるので問題はないが、アイリィは困った風にレナに振り返る。
「困りましたね……灯りが無いと先に進むのは危険ですよ」
『……聖水で照らせば?』
「あっ……なるほど、頭いいですねレナさん」
『今のはコトミンだよ』
「ややこしいですね!!」
コトミンの助言通りにアイリィは聖水入りの硝子瓶を取り出し、白色の光が周囲を照らす。聖水は常に光り輝き続ける液体のため、ランタンの要領で前方を照らしながら3人は移動を続ける。前後に気を配りながらレナ達は歩き続けていると、やがて左右に通路が別れた場所に辿り着く。
「あっ、通路が分かれていますよ。どっちに行きます?」
『どっちと言われてもな……ポチ子がいれば臭いとか人間の臭いを嗅ぎ分けられるかもしれなかったな』
「獣人族の鼻は便利ですからね……あれ、そう言えばコトミンさんも嗅覚を強化できませんでした?」
『任せて』
『のわっ!?』
唐突にレナの鼻の部分に異変が生じ、身体に張り付いているコトミンがゴブリンの鼻の形状を変化させ、やがて犬の鼻ように変化する。不思議な事に変形を果たすとレナは自分の嗅覚が研ぎ澄まされたように感じ取り、本物の犬になり切ったような感覚に陥る。
「うわっ!?どうしたんですかその鼻!?」
『いや、コトミンが勝手に……』
『この状態なら臭いが分かる』
自分の鼻の変化にレナは戸惑うが、コトミンの言葉に彼は鼻の部分を触り、試しに周囲に臭いを嗅いでみる。左右の通路をポチ子のように鼻をひくつかせ、右側の通路から「血」の臭いを感じ取った。
『……こっちの方から血の臭いがする……気がする』
「血の臭い……戦闘が起きた場所かも知れませんね。行ってみますか?」
『そうだな……一応は武器を用意した方が良い』
「じゃあ、これを使いますか」
アイリィは自分の鞄から見た事もない色合いの薬瓶を取り出し、前回の蘇生薬とは違った色の薬瓶であり、嫌な予感をしながらもレナは彼女に問い質す。
『……それは何?』
「これは正真正銘の毒薬ですね。実験に失敗した……戦闘用に開発した薬品です」
『今、失敗って……』
「戦闘用です」
明らかに言い直したアイリィにレナは溜息を吐きながらも、一応は彼女の生み出した毒薬の効能を問い質す。
『どんな効果があるの?』
「ふっふっふっ……これは「腐敗剤」という強酸性の毒薬ですよ。触れた瞬間に大抵の生物の皮膚や筋肉を溶解させる威力を誇ります。あ、ちなみに素材は聞かないで下さいね」
『恐ろしいな……間違ってもコトミンに飲ませるなよ』
『……怖い』
「そんな事しませんよ。でもこの腐敗剤は名前の通りに凄く臭いんですよね……だから鼻の良い相手にも友好的です」
『絶対に今は使わないでね』
自分の鼻を抑えながらレナはアイリィと距離を取り、2人は移動を再開する。炭鉱に入ってから既に20分が経過しており、移動を続けるレナ達の前方に蝋燭とは異なる輝きの灯りが再び照らし出された。
「あれは……」
これまでの壁に打ち付けられた蝋燭と違い、2人の視界には天井の部分に電球のように光り輝く物体が収納されたランタンが吊るされており、すぐにアイリィが説明する。
「あれは光石ですね。聖属性の魔石の一種であり、常に一定に光を放ち続ける鉱石です。灯りとしてよく利用される物です。私の持っている発光石の加工前の代物ですね」
『なるほど……そしてあそこが食堂のようだな』
光石が照らされている場所には木造の扉が存在し、扉の表札には「食堂」という文字が刻まれていた。更に出入口には通常のゴブリンよりも巨体のゴブリンが立っており、巨人族のように身長は2メートルを軽く超えており、これまでに遭遇したゴブリン達よりも立派な装備を身に着けているため、レナは目の前の個体が「ゴブリンナイト」と呼ばれる存在だと見抜き、見張り番を行っているのかゴブリンナイトは扉の前で仁王立ちしたまま動く様子がない。
「どうやらあれがゴブリンナイトのようですね……これまでのゴブリンとは明らかに雰囲気が違います」
『1体だけか……あの中に人質がいるのか』
「まさか戦う気ですか?幾ら何でも無茶ですよ……オークよりも間違いなく強いですし、それにレナさんの吸魔石を利用した攻撃法だと洞窟に衝撃を与えて落盤する可能性も出てきますよ?」
アイリィの言葉通り、レナの吸魔石を利用した「投擲魔法」は炭鉱内部では危険であり、下手に強い衝撃を与えると炭鉱自体が崩れる可能性がある。だが、相手が1人だけ見張りを行っている好機を逃してしまうのは惜しく、レナはゴブリンナイトを打倒する方法を考える。
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