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ゴブリンキング編
脱出準備
数十分後、食堂内の人間の治療を終えたレナ達の目の前には100人近くの人間が地面に座り込んでおり、毒から回復しても体力までは取り戻せず、全員が疲弊しきっていた。この様子では武器を取り戻してもゴブリンと戦闘を行える状態ではなく、食堂から移動するのも難しい。
レナが気になったのは治療の最中にゴンゾウの姿が見えない事であり、彼等の話しを聞くと炭鉱内に居た唯一の巨人族であり、毒に耐性を持つ彼はゴブリンナイトに連れられて何処かに移動されたらしい。その話を聞いたレナは助けに向かおうとしたが全員に引き留められる。正確な居場所を把握せずに炭鉱内を移動するのは危険であり、今現在の状況では迂闊な行動が命取りとなる。
「ゴブリンナイトがどうしてゴンゾウ君を……」
「理由は分かりませんけど、ゴンゾウさんは最後まで抵抗していたようですね。なのに殺さずに連れて行ったことが気になります。だけど今はここから抜け出してどうやってワルキューレ騎士団に救援を求めるかです」
「この場所以外に人質になっている人は」
「いないよ……ここにいるのが全員だ。他の奴等は抵抗して殺されたんだよ……その巨人族以外はな」
人質にされていた男性の言葉にレナは考え込み、ゴンゾウを救出したい気持ちはあるがアラン炭鉱の外に存在するワルキューレ騎士団に人質の治療を終えた件と炭鉱内の状況を報告する必要があり、既に騎士団の元からレナ達が離れてから時間も経過しており、彼女達も心配しているだろう。だが、レナはどうしてもゴンゾウの事が気にかかり、アイリィとコトミンに振り返る。
「悪いけど、2人だけで戻ってくれない?コトミンがアイリィと合体すれば問題ないと思うから……」
「え?レノさんはどうする気ですか?」
「ここの人達も放っておけないし……それにゴンゾウ君も気になる。炭鉱の出入口までは送り届けるから……」
「駄目ですよ。レナさんを1人だけ置いて行くなんて……それに炭鉱にはまだ他のゴブリンやゴブリンナイトが居るはずです。1人でどうにか出来るはずが……」
「なあ……ちょっといいか?お前さん達は転移石を持っているのか?」
「転移石……ああ、これの事ですか?出発前に騎士団に渡されましたけど……」
会話の途中で冒険者と思われる男性が口を挟み、アイリィは自分が所持している「転移石」を取り出す。この転移石を利用すれば帝都に中央部に存在する「転移結晶」の台座にまで一瞬で移動する事が可能であり、万が一の場合を考えてワルキューレ騎士団はレナ達に転移石を渡していた。だが、アイリィが取り出した転移石を見た瞬間、人質として捕まっていた人間達が慌てて駆け寄ってくる。
「た、頼む!!そいつを渡してくれ!!こんな場所うんざりだ!!」
「それを使えば帝都に戻れるんでしょう!?」
「金なら後で幾らでも払う!!俺達の転移石はあいつらに奪われてちまったんだ!!だから頼む!!」
「お、落ち着いて下さいよ」
今にも奪いかねない勢いで近づいてきた人間達にアイリィは距離を取り、転移石を使用すれば陽光教会に帰還した人間達のように帝都に戻ることは可能だが、1つの転移石で100人の人間を全員移動させる事は出来ない。転移石を利用して一度に移動出来る人数は20人程度が限界であり、この場で使用した場合は残りの80人は炭鉱内に残されること位なる。だが、レナは彼等の中に気になる言葉を告げた人間を聞き逃さなかった。
「ちょっと待ってください。皆さんの中には転移石を持っていた人がいるんですか?」
「あ、ああ……一応はな。希少品だから持っている奴は少なかったが……でもゴブリンの奴等に奪われたよ。武器と防具と一緒にな」
「奪われた……?破壊されたんじゃなくて?」
「そこが不思議なんだよな……あいつら、俺達から奪い取った魔石や魔道具を大事そうに袋に入れて取り上げやがった。普通の魔物ならそんな事せずにぶっ壊すか、もしくは無視するんだがな……」
「おかしいですね……魔物が魔石を奪うなんて聞いたことがありません。まさか、転移石の価値に気付いていた?」
「有りえなくはないんじゃないの?ここのゴブリンキングは人語を理解できるぐらい頭が良いんでしょ?」
「それはそうですけど……問題はどうして転移石なんか奪ったのかですよ。魔法が扱えないゴブリンには何の使い道もありませんよ」
アイリィの言葉通り、魔石の類は魔力を操れる種族にしか扱えず、ゴブリンのような魔法を扱えない生物には魔石を使用する事は出来ない。それにも関わらずに冒険者から魔石や魔道具の類を奪った事が気にかかり、アイリィは考え込む。
「……いくら知能が高くてもゴブリンが魔法を扱えるようになるとは思えません。もしかしたら……今回の襲撃は何者かが関わっている可能性があります」
「何者って……」
「一番可能性が高いのは魔人族ですね。彼等なら魔物を従わせる術を知っているかも知れませんし、もしかしたら今回の騒動は全て魔人族の仕業かも……」
「……魔王軍?」
レナの脳裏に「魔王軍」という単語が思い浮かび、他の人間が息を飲む。状況的に考えても今回のゴブリンの襲撃は明らかに計画的であり、ゴブリン達が人間に対抗するために毒矢を使用した事、厄介な冒険者から魔石や魔道具を奪った事、そしてゴブリンキングが捕まえた盗賊の職業の人間を利用して陽光教会から聖剣を盗み出すように指示を出している時点で怪しい。
レナが気になったのは治療の最中にゴンゾウの姿が見えない事であり、彼等の話しを聞くと炭鉱内に居た唯一の巨人族であり、毒に耐性を持つ彼はゴブリンナイトに連れられて何処かに移動されたらしい。その話を聞いたレナは助けに向かおうとしたが全員に引き留められる。正確な居場所を把握せずに炭鉱内を移動するのは危険であり、今現在の状況では迂闊な行動が命取りとなる。
「ゴブリンナイトがどうしてゴンゾウ君を……」
「理由は分かりませんけど、ゴンゾウさんは最後まで抵抗していたようですね。なのに殺さずに連れて行ったことが気になります。だけど今はここから抜け出してどうやってワルキューレ騎士団に救援を求めるかです」
「この場所以外に人質になっている人は」
「いないよ……ここにいるのが全員だ。他の奴等は抵抗して殺されたんだよ……その巨人族以外はな」
人質にされていた男性の言葉にレナは考え込み、ゴンゾウを救出したい気持ちはあるがアラン炭鉱の外に存在するワルキューレ騎士団に人質の治療を終えた件と炭鉱内の状況を報告する必要があり、既に騎士団の元からレナ達が離れてから時間も経過しており、彼女達も心配しているだろう。だが、レナはどうしてもゴンゾウの事が気にかかり、アイリィとコトミンに振り返る。
「悪いけど、2人だけで戻ってくれない?コトミンがアイリィと合体すれば問題ないと思うから……」
「え?レノさんはどうする気ですか?」
「ここの人達も放っておけないし……それにゴンゾウ君も気になる。炭鉱の出入口までは送り届けるから……」
「駄目ですよ。レナさんを1人だけ置いて行くなんて……それに炭鉱にはまだ他のゴブリンやゴブリンナイトが居るはずです。1人でどうにか出来るはずが……」
「なあ……ちょっといいか?お前さん達は転移石を持っているのか?」
「転移石……ああ、これの事ですか?出発前に騎士団に渡されましたけど……」
会話の途中で冒険者と思われる男性が口を挟み、アイリィは自分が所持している「転移石」を取り出す。この転移石を利用すれば帝都に中央部に存在する「転移結晶」の台座にまで一瞬で移動する事が可能であり、万が一の場合を考えてワルキューレ騎士団はレナ達に転移石を渡していた。だが、アイリィが取り出した転移石を見た瞬間、人質として捕まっていた人間達が慌てて駆け寄ってくる。
「た、頼む!!そいつを渡してくれ!!こんな場所うんざりだ!!」
「それを使えば帝都に戻れるんでしょう!?」
「金なら後で幾らでも払う!!俺達の転移石はあいつらに奪われてちまったんだ!!だから頼む!!」
「お、落ち着いて下さいよ」
今にも奪いかねない勢いで近づいてきた人間達にアイリィは距離を取り、転移石を使用すれば陽光教会に帰還した人間達のように帝都に戻ることは可能だが、1つの転移石で100人の人間を全員移動させる事は出来ない。転移石を利用して一度に移動出来る人数は20人程度が限界であり、この場で使用した場合は残りの80人は炭鉱内に残されること位なる。だが、レナは彼等の中に気になる言葉を告げた人間を聞き逃さなかった。
「ちょっと待ってください。皆さんの中には転移石を持っていた人がいるんですか?」
「あ、ああ……一応はな。希少品だから持っている奴は少なかったが……でもゴブリンの奴等に奪われたよ。武器と防具と一緒にな」
「奪われた……?破壊されたんじゃなくて?」
「そこが不思議なんだよな……あいつら、俺達から奪い取った魔石や魔道具を大事そうに袋に入れて取り上げやがった。普通の魔物ならそんな事せずにぶっ壊すか、もしくは無視するんだがな……」
「おかしいですね……魔物が魔石を奪うなんて聞いたことがありません。まさか、転移石の価値に気付いていた?」
「有りえなくはないんじゃないの?ここのゴブリンキングは人語を理解できるぐらい頭が良いんでしょ?」
「それはそうですけど……問題はどうして転移石なんか奪ったのかですよ。魔法が扱えないゴブリンには何の使い道もありませんよ」
アイリィの言葉通り、魔石の類は魔力を操れる種族にしか扱えず、ゴブリンのような魔法を扱えない生物には魔石を使用する事は出来ない。それにも関わらずに冒険者から魔石や魔道具の類を奪った事が気にかかり、アイリィは考え込む。
「……いくら知能が高くてもゴブリンが魔法を扱えるようになるとは思えません。もしかしたら……今回の襲撃は何者かが関わっている可能性があります」
「何者って……」
「一番可能性が高いのは魔人族ですね。彼等なら魔物を従わせる術を知っているかも知れませんし、もしかしたら今回の騒動は全て魔人族の仕業かも……」
「……魔王軍?」
レナの脳裏に「魔王軍」という単語が思い浮かび、他の人間が息を飲む。状況的に考えても今回のゴブリンの襲撃は明らかに計画的であり、ゴブリン達が人間に対抗するために毒矢を使用した事、厄介な冒険者から魔石や魔道具を奪った事、そしてゴブリンキングが捕まえた盗賊の職業の人間を利用して陽光教会から聖剣を盗み出すように指示を出している時点で怪しい。
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