最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

文字の大きさ
105 / 207
ゴブリンキング編

作戦会議 〈炭鉱脱出〉

「魔道具や魔石を奪われたのにどうして解毒薬を使用できた人もいるんですか?」
「俺達は奪われる前に隠していたんだよ。毒を受けてもしばらくは動けるからな……あいつらに装備品を奪われる前にこの食堂に解毒薬を隠してたんだ」
「そう言えば外でゴブリン達が宴会をしていたけど……」
「何だと!?くそっ!!あいつら、ここの食糧庫を全部持って行っちまったんだ!!しかも人間様のように宴会なんて開いてやがったのか……!!」
「くそっ!!毒さえ受けなければあんな雑魚共……」
「興奮すると体力を消耗しますよ。ですけど、奪われた転移石を取り返す事が出来ればもしかしたら全員を帝都に戻す事も出来るかも知れませんね……その前に何処に隠したのか見つける必要がありますけど」
「その事なんだけどさ……実はあたしは心当たりがあるんだよね」


1人の女性が手を上げ、身長が小さいのでレナは最初は子供かと思ったが、陽光教会のアメリアと同様に「ドワーフ族」の女性らしく、外見から判断するとレナよりも明らかに年上の女性であり、彼女は何処に隠し持っていたのかパイプを取り出して口に咥える。火種がないので実際に吸う事は出来ないが、それでも口に咥えていないと落ち着かないのか彼女はパイプを口にしたまま器用に話す。


「私はここの発掘員をやっているだけどさ、実はこの中では最後に捕まったんだよ。この炭鉱の事は知り尽くしているからゴブリン共から逃げていたんだけど、その途中で気になる行動を取っていた奴を見つけてね。そいつに気を取られている隙に後ろからガツンとやられて捕まったのさ」
「気になる行動?」
「でかい袋を持ったゴブリン共が炭鉱の中に存在する私達の宿舎に入り込んでいたんだよ。出てくるときは袋は持っていなかったから、もしかしたら……」
「その部屋にこの人達から奪った荷物が隠されているのかも知れないと?」
「断言はできないけどね。だけど、ここから宿舎まではそう遠くはないよ。どうする?」


ドワーフの女性の言葉にレナ達は顔を見合わせ、他の人間も黙り込む。今の状態では彼等は戦力にはならないのは事実だが、もしも武器や防具を取り戻せた場合は彼等の体力が戻り次第、ゴブリンにも対抗できる。幸運なことに大部分のゴブリンは外で宴会を行って食事に夢中であり、まだ炭鉱内の様子にに気づいていない。彼等の荷物を取り戻せばゴブリンにも抵抗する事も出来るが、先に転移石を取り戻せば全員を帝都に帰還させる方法もある。


「その場所まで案内して下さい」
「本気かい?まあ、収納石を持っているなら荷物を運ぶことぐらいは問題ないだろうけど、それでも絶対に見張りが居るはずだよ?」
「でもここに残ってもゴブリン達が戻ってきたら全員が今度こそ殺されます。それに転移石を取り戻せれば皆を避難させられます」
「そうですね。見張りを行っているのが普通のゴブリンなら案外何とかなるかも知れませんし……」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!!お前達が全員行ったら俺達はどうなるんだよ!?こっちは真面な武器もないんだぞ!!」
「……ここの出入口はあの扉だけのようですし、私達が抜け出した後に扉を机や椅子で塞げばしばらくは時間を稼げますよ。私達が戻ってきた時のために合図を考えましょう。もしも合図をせずに扉を開けようとする存在が居たら敵だと判断して下さい」
「だ、だけどよ……」
「おい、行かせてやれよ!!この人達が居なかったら俺達は死んでたんだぞ?それに全員が助かるにはこれしか方法が無いんだ!!」
「な、ならせめてあんた達の転移石だけでも……」
「ここで貴方達に渡したら誰が生き残るかで争うでしょう?」


アイリィの言葉に全員が黙り込み、彼女は転移石を渡すつもりはなく、レナ達はドワーフの女性に振り返る。


「道案内お願いします。何か起きたら俺達が守ります」
「そいつは心強いね……万が一の時は私を見捨てな。あんた達にはそれだけの権利がある」
「嫌です。さあ、行きましょうか」
「……普通、そこは嘘でも頷きな。こっちが恥ずかしいだろうが」


ドワーフの女性の名前は「ミラ」と名乗り、彼女の案内の元、レナ達は食堂を抜け出してこの炭鉱の発掘員の宿舎に向かう。
感想 263

あなたにおすすめの小説

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~

TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ! 東京五輪応援します! 色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい

冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。 何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。 「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。 その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。 追放コンビは不運な運命を逆転できるのか? (完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)