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バルトロス帝国編
デキンの胃痛
――勇者召喚が行われてから数日が経過し、デキンは自室で頭を抱えていた。先日に勇者達を召喚に成功し、彼は魔王軍に対抗できる戦力を手に入れたと考えた。だが、こちらの予想に反して召喚された人間は「反抗的」な態度を取り、そして全員が姿を消してしまった。
正確に言えば1人はデキンが追い払い、残りの4人は訓練中に不満を口にした後、1人が唐突に叫び声を上げた瞬間に姿を消したという報告だけがデキンに届いていた。勇者の訓練を任せていた将軍に関しては訓練を見守っていた兵士からデキンは事情を聴きだし、まだレベルが低い状態の勇者に対して指導を過激にし過ぎたと判断し、将軍の座から降ろして辺境の土地の一兵士に転任させた(デキンは処刑を望んだが人の良い国王は命を奪う事には反対された)。
莫大な資金を費やして異界から勇者達を召喚したにも関わらず、結局は5人全員が王城から姿を消してしまい、今回の出来事で間違いなくデキンの評価は大きく下がった。今までは彼の顔色を窺っていた人間達にさえも影で馬鹿にされている事はデキンも気付いており、同時に言い返す事が出来ない失態を犯した事は本人も理解している。
「くそっ……!!どうしてこんな事に……」
王城の一室で彼は大量の書類と向き合い、この全てが過去に召喚された勇者達の情報と勇者召喚に関する資料であり、消えてしまった勇者達を呼び戻す方法を探っているが、結局は手掛かりの1つも見つからなかった。過去に召喚された勇者が特別な能力を所持していたのは確かだが、1人1人が別々の能力を所有しており、誰一人として共通の能力を受け継いだ事はないという情報しか得られなかった。
消えてしまった4人の勇者だけでも呼び戻さなければデキンの評判は日に日に下がり続け、このままでは自分の立場が危うい。彼が気になるのは他にも存在し、たった一人だけこちらの世界に残っていると思われる「霧崎レナ」だった。彼には暗殺者の職業の兵士に見張りを付けさせたにも関わらず、未だに報告が届いていない。それどころか送り出した兵士と思われる「死体」が発見された。場所は帝都の郊外であり、スラム街からそれほど離れていない場所である。
「あの小僧……もしや吾輩の部下を?いや、有り得ぬ……しかし」
殺された男は全身の血液が吸い上げられており、まるで吸血鬼に襲われたような状態で発見されたが、この帝都の警備は最高レベルであり、魔人族であろうと迂闊には侵入できないとデキンは考えていた。実際、この数十年の間に魔人族の侵入を許した事はなく、もしも発見された男の死体がデキンが送り出した暗殺者だった場合、彼を殺した容疑者は霧崎レナしか存在しない。
「もしや……ステータスを偽ったのか!?」
考えにくい事だがデキンは最初の時点でレナが自分のステータスを偽り、あるいは彼等に報告していない能力を隠しており、自分の尾行を行っていた暗殺者をレナが殺害したのではないかと彼は推測する。しかし、状況的に考えてもレナが儀式を終えた時に報告した職業は「付与魔術師」であり、この職業は非常に珍しく、そもそも知っている人間も少ない。しかもこの世界の事情を知らないレナが付与魔術師という職業を知っている可能性は低く、デキンは召喚された時の彼の態度を思い出しても嘘を吐いているようには見えなかった。
「くっ……昨日酒を飲み過ぎたか?」
頭痛に襲われたデキンは資料に目を通すのを止め、一度休憩を行う。悩みの種は尽きないが、どうして現在の状況に陥ったのかを冷静に考える。自分が何故「勇者召喚」を行ったのか冷静に考えると、今更ながらに自分の行動に違和感を抱く。
「そもそも吾輩はどうして勇者召喚等と……ぐっ!?」
自分が勇者召喚を実行するまでの経緯を思い出そうとすると、デキンは激しい頭痛に苛まれ、彼は苛立ちながら机の上に置いてある酒瓶を直接口に流し込む。最近、酒を飲む量が増えているのは自覚しているが、どうしても飲まずにはいられなかった。そんな彼の心証を表現するかのようにデキンの腕に取り付けられている髑髏のブレスレットが怪しく光り輝き、デキンは自分の身体の異変に気付かずに酒を飲み続けた――
正確に言えば1人はデキンが追い払い、残りの4人は訓練中に不満を口にした後、1人が唐突に叫び声を上げた瞬間に姿を消したという報告だけがデキンに届いていた。勇者の訓練を任せていた将軍に関しては訓練を見守っていた兵士からデキンは事情を聴きだし、まだレベルが低い状態の勇者に対して指導を過激にし過ぎたと判断し、将軍の座から降ろして辺境の土地の一兵士に転任させた(デキンは処刑を望んだが人の良い国王は命を奪う事には反対された)。
莫大な資金を費やして異界から勇者達を召喚したにも関わらず、結局は5人全員が王城から姿を消してしまい、今回の出来事で間違いなくデキンの評価は大きく下がった。今までは彼の顔色を窺っていた人間達にさえも影で馬鹿にされている事はデキンも気付いており、同時に言い返す事が出来ない失態を犯した事は本人も理解している。
「くそっ……!!どうしてこんな事に……」
王城の一室で彼は大量の書類と向き合い、この全てが過去に召喚された勇者達の情報と勇者召喚に関する資料であり、消えてしまった勇者達を呼び戻す方法を探っているが、結局は手掛かりの1つも見つからなかった。過去に召喚された勇者が特別な能力を所持していたのは確かだが、1人1人が別々の能力を所有しており、誰一人として共通の能力を受け継いだ事はないという情報しか得られなかった。
消えてしまった4人の勇者だけでも呼び戻さなければデキンの評判は日に日に下がり続け、このままでは自分の立場が危うい。彼が気になるのは他にも存在し、たった一人だけこちらの世界に残っていると思われる「霧崎レナ」だった。彼には暗殺者の職業の兵士に見張りを付けさせたにも関わらず、未だに報告が届いていない。それどころか送り出した兵士と思われる「死体」が発見された。場所は帝都の郊外であり、スラム街からそれほど離れていない場所である。
「あの小僧……もしや吾輩の部下を?いや、有り得ぬ……しかし」
殺された男は全身の血液が吸い上げられており、まるで吸血鬼に襲われたような状態で発見されたが、この帝都の警備は最高レベルであり、魔人族であろうと迂闊には侵入できないとデキンは考えていた。実際、この数十年の間に魔人族の侵入を許した事はなく、もしも発見された男の死体がデキンが送り出した暗殺者だった場合、彼を殺した容疑者は霧崎レナしか存在しない。
「もしや……ステータスを偽ったのか!?」
考えにくい事だがデキンは最初の時点でレナが自分のステータスを偽り、あるいは彼等に報告していない能力を隠しており、自分の尾行を行っていた暗殺者をレナが殺害したのではないかと彼は推測する。しかし、状況的に考えてもレナが儀式を終えた時に報告した職業は「付与魔術師」であり、この職業は非常に珍しく、そもそも知っている人間も少ない。しかもこの世界の事情を知らないレナが付与魔術師という職業を知っている可能性は低く、デキンは召喚された時の彼の態度を思い出しても嘘を吐いているようには見えなかった。
「くっ……昨日酒を飲み過ぎたか?」
頭痛に襲われたデキンは資料に目を通すのを止め、一度休憩を行う。悩みの種は尽きないが、どうして現在の状況に陥ったのかを冷静に考える。自分が何故「勇者召喚」を行ったのか冷静に考えると、今更ながらに自分の行動に違和感を抱く。
「そもそも吾輩はどうして勇者召喚等と……ぐっ!?」
自分が勇者召喚を実行するまでの経緯を思い出そうとすると、デキンは激しい頭痛に苛まれ、彼は苛立ちながら机の上に置いてある酒瓶を直接口に流し込む。最近、酒を飲む量が増えているのは自覚しているが、どうしても飲まずにはいられなかった。そんな彼の心証を表現するかのようにデキンの腕に取り付けられている髑髏のブレスレットが怪しく光り輝き、デキンは自分の身体の異変に気付かずに酒を飲み続けた――
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