最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

文字の大きさ
139 / 207
ゴブリンキング編

ゴブリンキング到来

「ギャアアアアアアッ!?」
「おおっ!!」
「や、やったぞ!!」


レナの吸魔石から放たれた雷光によって最後のゴブリンナイトが倒れ、その光景に兵士と民衆が歓喜の声を上げる。一方のレナは安堵の息を吐き、これで内部から門を開こうとする全ての敵を倒したと確信した瞬間、背後からアイリィ達の声が響き渡る。


「レノさん!!後ろです!!」
「敵っ!!」
「えっ?」
「グギィイイイイイッ!!」


彼女達の声に彼が振り返ると、そこにはゴンゾウに押し倒されたはずのゴブリンナイトが突進する姿があり、顔面が赤く膨れ上がりながらも門に向けて走り込み、レナの横を通り過ぎて兵士を蹴散らしながら鋼鉄の扉に突進する。慌ててレナは引き留めようとするが、事前に発動した聖属性の付与魔法の効果が切れてしまい、疲労感が身体に襲い掛かって反応が遅れてしまう。


「ギィアアアアアッ!!」
「うわぁあああっ!?」
「に、逃げろぉっ!!」
「ひぃいっ!!」


全身から血を流しながらも突っ込んでくるゴブリンナイトの気迫に兵士達が怯え、扉から退避する。邪魔者が居なくなったゴブリンナイトは全身の力を込めて扉を内側から体当たりを行う。その直後、鋼鉄の扉に振動が走り、片側の扉が揺らぐ。


「ギィイイイッ……」


役割を終えたとばかりにゴブリンナイトは地面に倒れ込み、その光景に兵士と民衆は呆然とするが、レナは後方のゴンゾウの方に視線を向けると彼が倒れている事に気付く。


「ゴンゾウ!?」
「ぐっ……す、すまない……」
「動かない下さい!!」


ゴンゾウの傍にアイリィ達が駆け寄り、倒れこんでいる彼の傍に近づくと、脇腹に短剣が突き刺さっている事に気付き、刃の部分にはゴンゾウの血液以外に紫色の液体が付着していた。すぐにアイリィはクド草の毒だと気づき、すぐに刃を引き抜いて回復魔法を施す。


「動かないで下さい……状態回復リフレッシュ
「ぐぅっ……」
「……大丈夫?」
「平気ぃっ?」


アイリィの魔法でまずは体内の毒を取り除き、巨人族であるゴンゾウは毒耐性があるのでクド草の毒を受けても意識を保てるが、抑え込んでいたゴブリンナイトに毒が塗られた短剣を突き刺された事で隙を突かれ、逃げられてしまった。レナはゴンゾウの状態も気になったが、防壁の扉の外側から雄叫びが聞こえ、顔を向けると外側からゴブリンキングの声が響き渡る。



『ウォオオオオオオオオオッ!!』



人間のような咆哮が防壁の外側から響き渡り、直後に鋼鉄製の扉に衝撃が走り、外側から押し開かれる。遂に扉が開かれた事で兵士と民衆は悲鳴を上げ、やがて倒れ込んだ扉の土煙を振り払い、遂にゴブリンの王が帝都の内部に入り込んだ。



『ニンゲンドモォオオオオッ!!ミナゴロシダァアアアッ!!』
『ギィイイイイイイイッ!!』



ゴブリンキングの背後にはゴブリンナイトの群れが存在し、門を潜り抜けて入り込む。その光景に兵士達は抵抗を諦めて逃走を開始する人間が続出し、民衆も悲鳴を上げながら逃げ込む。


「て、撤退だぁっ!!」
「王城に避難しろっ!!」
「ま、待ってくれ!!置いて行かないでくれ!!」


戦意を失った兵士達は王城の方角に避難を開始し、レナ達も彼等の後に続く。十数体のゴブリンナイトとゴブリンキングは現在の戦力で対抗する事は出来ず、レナはアイリィ達の元に駆け付ける。


「皆!!逃げるよ!!」
「待ってください!!もうゴンゾウさんが限界ですよ!!」
「だ、大丈夫だ……ぐふっ!!」
「……無理、これ以上は動けない」


ゴンゾウは起き上がろうとするが膝を崩して倒れ込み、既に彼の体力は限界だった。これでは逃走する事は出来ず、ゴブリンナイトの群れが近づいてくる。レナは収納袋から吸魔石を取り出そうとするが、カトレアの姿に消えている事に気付く。


「あれ……カトレアは?」
「えっ……まさか逃げたんじゃっ!?」
「違う……あそこにいる」
「やっふぃ~」


コトミンが上空を指差し、全員が視線を向けるとカトレアが蝙蝠の翼を羽ばたかせながらゴブリンナイトの群れに接近し、ゴブリンキングに近づくと彼女は瞳を怪しく光らせる。


「こっちを見てぇっ」
『ナンダ、キサマハァッ……グウッ!?』


カトレアの瞳を見た瞬間、ゴブリンキングの肉体が硬直し、その場に膝を崩す。彼女の魅了の瞳の効果が働いたらしく、相手は何が起きたのか理解できない表情を抱いてカトレアを見上げる。一方で彼女の方も眉を顰め、普段の彼女ならばどんな生物でも即座に魅了できるのだが、アイリィから受けた聖水の効果で能力が落ちている事でゴブリンキングを完全には自分の虜に出来ない事に気付く。
感想 263

あなたにおすすめの小説

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~

TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ! 東京五輪応援します! 色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい

冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。 何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。 「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。 その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。 追放コンビは不運な運命を逆転できるのか? (完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)