文字の大きさ
大
中
小
154 / 207
戦姫編
魔弓
「これ、もしかして魔弓じゃないですか?エルフ族の紋様も刻まれていますし……」
「良く知ってるね。確かにこれは魔弓だよ」
「魔弓?」
アイリィが木箱の中身を覗き込み、弓矢を確かめると驚いた声を上げる。レナは「魔弓」という言葉にミキが装備している「魔槍」を思い出し、名前の響きから同じ系統の武器なのかと考えているとホノカが説明を行う。
「魔弓は基本的にはエルフ族だけが扱う弓矢でね……この魔弓に刻まれている紋様はルーン文字と呼ばれる文字で描かれている魔術紋の一種だよ」
「魔術紋……?」
「魔法陣のように魔法の力を強化させる特別な術式ですよ。前にミキさんがゴンゾウさんと戦った時に結界石を発動した時に現れた魔法陣も「防御魔法陣」と呼ばれる魔術紋ですよ」
「へえ……」
レナは魔弓に刻まれた紋様を確認し、翻訳スキルを所持している彼でも文字の内容を読み取ることは出来ず、現在の翻訳スキルの熟練度が足りないので内容を理解できない事が判明する。
「この魔弓は所有者の魔力を吸い上げて飛距離と威力を伸ばす事が出来るから、レナ君のように魔力容量が大きい人間向けだよ。使い方は弦に指を触れるだけで魔力を吸収するから複雑に考えないで普通の弓矢のように扱うといいよ」
「え?いや、さらっと説明しましたけど要は弦の部分に触れるだけで魔力を勝手に吸収されるという事ですよね?それはかなり不良品じゃないですか?」
「ちょ、アイリィ……」
「分かっているさ。だからこれも一緒に渡そうと思っていてね」
ホノカは再び収納石のブレスレットを発動して異空間から小袋を取り出し、レナに差し出す。彼は不思議に思いながらも受け取ると、中身は魔法腕輪に装着する大量の魔水晶が入っていた。
「僕としてはこっちが本命だよ。レナ君が魔法腕輪を持っているから予備の魔水晶も必要になると思ってね」
「おおっ……でもこんなに沢山良いんですか?」
「構わないさ。僕が最後に送るお別れの品だと思って受け取ってくれ」
「最後?」
「僕は魔法都市の本店に戻る事にしたよ。元々、この都市にはそれほど長居する気はなかったからね」
「えっ!?」
唐突な彼女の発言に全員が驚くが、ホノカは魔法都市と呼ばれる帝都から遠く離れた場所に存在する都市に本店を建てており、本日中に帝都を出発して魔法都市に向かう予定であり、別れの挨拶を行う為に親交のあったレナ達の元に訪れ、命の恩人であるレナに選別の品として魔弓と魔水晶を渡すために治療院に訪れたという。
「君には色々と世話になったね。もしも魔法都市に訪れる機会があったら僕の店に遊びに来てくれ。君達なら全商品5パーセント割引するよ」
「微妙な数字ですね……ちなみに私達には何かないんですか?」
「そうだな……アイリィ君にはこのカルシウムが大量に摂取できるモウギュウ(牛型の魔獣)の牛乳をあげよう」
「なんでですかっ」
「コトミン君には特別製の回復薬を渡して置こう」
「……わぁいっ」
アイリィとコトミンにも硝子瓶を手渡し、ホノカは別れの言葉を告げると食堂から立ち去る。レナ達は彼女には色々と世話になり、ホノカがいなければ身分証の発行も出来ず、下手をしたら生活費を稼げずにスラム街の住民になっていた可能性もあり、教会の入口までレナ達は見送り、立ち去り際の彼女にレナは深く頭を下げる。
「今までありがとうございました」
「またね」
「さらばでござる!!」
――新たな護衛のカゲマルを引き連れ、ホノカは教会の前に待たせていた馬車に乗り込み、皆に手を振りながら従者に馬を走らせる。走り去る馬車にレナは寂しさを感じながらもホノカから受け取った木箱に視線を向け、早速魔弓の性能を確かめる事にした。
レナは治療院の訓練場に移動を行い、アイリィとコトミンも同行する。聖魔導士のミキは仕事があるので執務室に向い、ワルキューレ騎士団の副団長のテンはポチ子を含めた団員を率いて王城の帝国兵との共同訓練を行うために出発し、巫女姫のヨウカは今日の分の聖水を生産するために聖者の間に向かう。久しぶりに三人だけの行動となり、レナは2人の前で20メートル程離れた場所から的に向けて魔弓を構える。
「よし……じゃあ、行くよ」
「もうちょっと離れてもいいんじゃないですか?」
「この距離で試したい事があるんだよ……よっと」
「おおっ」
魔弓の弦に指を添えた瞬間、レナは自分の魔力が指先を通して吸収される感覚が広がり、魔弓に刻まれたルーン文字が光り輝く。その様子を見たアイリィとコトミンは声を上げ、傍から見ると弓矢が光り輝いており、更にレナは弦に矢を番えて撃ち抜く。
「ふっ!!」
弦を離した瞬間、通常の弓矢よりも素早く矢が移動を行い、見事に木造の的の中心を貫く。その光景を見ていたアイリィとコトミンは拍手を行い、レナは魔弓の具合を確かめると自分のステータス画面を開き、最近の訓練で覚えたスキルを確認する。
「良く知ってるね。確かにこれは魔弓だよ」
「魔弓?」
アイリィが木箱の中身を覗き込み、弓矢を確かめると驚いた声を上げる。レナは「魔弓」という言葉にミキが装備している「魔槍」を思い出し、名前の響きから同じ系統の武器なのかと考えているとホノカが説明を行う。
「魔弓は基本的にはエルフ族だけが扱う弓矢でね……この魔弓に刻まれている紋様はルーン文字と呼ばれる文字で描かれている魔術紋の一種だよ」
「魔術紋……?」
「魔法陣のように魔法の力を強化させる特別な術式ですよ。前にミキさんがゴンゾウさんと戦った時に結界石を発動した時に現れた魔法陣も「防御魔法陣」と呼ばれる魔術紋ですよ」
「へえ……」
レナは魔弓に刻まれた紋様を確認し、翻訳スキルを所持している彼でも文字の内容を読み取ることは出来ず、現在の翻訳スキルの熟練度が足りないので内容を理解できない事が判明する。
「この魔弓は所有者の魔力を吸い上げて飛距離と威力を伸ばす事が出来るから、レナ君のように魔力容量が大きい人間向けだよ。使い方は弦に指を触れるだけで魔力を吸収するから複雑に考えないで普通の弓矢のように扱うといいよ」
「え?いや、さらっと説明しましたけど要は弦の部分に触れるだけで魔力を勝手に吸収されるという事ですよね?それはかなり不良品じゃないですか?」
「ちょ、アイリィ……」
「分かっているさ。だからこれも一緒に渡そうと思っていてね」
ホノカは再び収納石のブレスレットを発動して異空間から小袋を取り出し、レナに差し出す。彼は不思議に思いながらも受け取ると、中身は魔法腕輪に装着する大量の魔水晶が入っていた。
「僕としてはこっちが本命だよ。レナ君が魔法腕輪を持っているから予備の魔水晶も必要になると思ってね」
「おおっ……でもこんなに沢山良いんですか?」
「構わないさ。僕が最後に送るお別れの品だと思って受け取ってくれ」
「最後?」
「僕は魔法都市の本店に戻る事にしたよ。元々、この都市にはそれほど長居する気はなかったからね」
「えっ!?」
唐突な彼女の発言に全員が驚くが、ホノカは魔法都市と呼ばれる帝都から遠く離れた場所に存在する都市に本店を建てており、本日中に帝都を出発して魔法都市に向かう予定であり、別れの挨拶を行う為に親交のあったレナ達の元に訪れ、命の恩人であるレナに選別の品として魔弓と魔水晶を渡すために治療院に訪れたという。
「君には色々と世話になったね。もしも魔法都市に訪れる機会があったら僕の店に遊びに来てくれ。君達なら全商品5パーセント割引するよ」
「微妙な数字ですね……ちなみに私達には何かないんですか?」
「そうだな……アイリィ君にはこのカルシウムが大量に摂取できるモウギュウ(牛型の魔獣)の牛乳をあげよう」
「なんでですかっ」
「コトミン君には特別製の回復薬を渡して置こう」
「……わぁいっ」
アイリィとコトミンにも硝子瓶を手渡し、ホノカは別れの言葉を告げると食堂から立ち去る。レナ達は彼女には色々と世話になり、ホノカがいなければ身分証の発行も出来ず、下手をしたら生活費を稼げずにスラム街の住民になっていた可能性もあり、教会の入口までレナ達は見送り、立ち去り際の彼女にレナは深く頭を下げる。
「今までありがとうございました」
「またね」
「さらばでござる!!」
――新たな護衛のカゲマルを引き連れ、ホノカは教会の前に待たせていた馬車に乗り込み、皆に手を振りながら従者に馬を走らせる。走り去る馬車にレナは寂しさを感じながらもホノカから受け取った木箱に視線を向け、早速魔弓の性能を確かめる事にした。
レナは治療院の訓練場に移動を行い、アイリィとコトミンも同行する。聖魔導士のミキは仕事があるので執務室に向い、ワルキューレ騎士団の副団長のテンはポチ子を含めた団員を率いて王城の帝国兵との共同訓練を行うために出発し、巫女姫のヨウカは今日の分の聖水を生産するために聖者の間に向かう。久しぶりに三人だけの行動となり、レナは2人の前で20メートル程離れた場所から的に向けて魔弓を構える。
「よし……じゃあ、行くよ」
「もうちょっと離れてもいいんじゃないですか?」
「この距離で試したい事があるんだよ……よっと」
「おおっ」
魔弓の弦に指を添えた瞬間、レナは自分の魔力が指先を通して吸収される感覚が広がり、魔弓に刻まれたルーン文字が光り輝く。その様子を見たアイリィとコトミンは声を上げ、傍から見ると弓矢が光り輝いており、更にレナは弦に矢を番えて撃ち抜く。
「ふっ!!」
弦を離した瞬間、通常の弓矢よりも素早く矢が移動を行い、見事に木造の的の中心を貫く。その光景を見ていたアイリィとコトミンは拍手を行い、レナは魔弓の具合を確かめると自分のステータス画面を開き、最近の訓練で覚えたスキルを確認する。
感想 263
あなたにおすすめの小説
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~
白い彗星世界を救った勇者、彼はその力を危険視され、仲間に殺されてしまう。無念のうちに命を散らした男ロア、彼が目を覚ますと、なんと過去に戻っていた!
もうあんなヘマはしない、そう誓ったロアは、二度目の人生を穏やかに過ごすことを決意する!
とはいえ世界を救う使命からは逃れられないので、世界を救った後にひっそりと暮らすことにします。勇者としてとんでもない力を手に入れた男が、死の原因を回避するために苦心する!
ロアが死に戻りしたのは、いったいなぜなのか……一度目の人生との分岐点、その先でロアは果たして、穏やかに過ごすことが出来るのだろうか?
過去へ戻った勇者の、ひっそり冒険談
小説家になろうでも連載しています!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!
克全東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。
アルファポリスオンリー
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさんパーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。