文字の大きさ
大
中
小
162 / 207
戦姫編
ゴンゾウの武器
帝都の武具店の中でも最大の規模を誇る「ウェポン」は冒険者がよく愛用する店であり、レナ達以外にも大勢の客で賑わっていた。老若男女、種族問わずに様々な人間が存在し、レナ達はまずは防具のコーナーに移動する。こちらの店では全て商品が硝子棚に収められており、試着の際は店員に告げる必要があった。
「へえ……色々あるね。だけど、俺はローブぐらいしか着ないかな……」
「基本的に魔術師の職業は運動能力が低いですからね。動きやすい服装の方が向いていると思いますよ」
「むうっ……レナは鎧姿でも格好いい」
「ありがとね……この退魔のローブより良いのはあるかな?」
「まずは一通り回ってみましょうか。気になるのがあれば私に……あれ?あの大きい人はゴンゾウさんじゃないですか?」
アイリィの言葉にレナとコトミンは視線を向けると巨人族用の防具のコーナーに見知った顔が存在し、ゴンゾウが羨ましそうに大盾が収められた硝子棚を覗き込んでおり、彼は財布用の小袋を取り出して中身を除くと溜息を吐きだし、残念そうにその場を立ち去ろうとするとレナ達に気付く。
「む?そこにいるのは……レナか」
「久しぶりゴンちゃん!!ゴンちゃんも買い物?」
「いや……俺の合う防具がないのか探していたんだが、どれも高くて買えない」
「そうなんだ……」
レナはゴンゾウが覗き込んでいた大盾の値段を確認すると確かに中級冒険者が購入できるような代物ではなく、あまり金銭に余裕がないゴンゾウは仕方ないので防具を諦めて新しい武具を買う為に移動する。そんな彼にレナは咄嗟にお金を貸そうかと声を掛けようとしたが、ある名案を思い付いた。
「あ、そうだ……待ってゴンちゃん!!」
「ん?何か用か?」
「あのさ、冒険者ギルドに頼まずに冒険者に依頼を申し込む事は出来るかな?」
「……何故だ?」
唐突なレナの質問にゴンゾウは呆気に取られるが、アイリィが彼の考えを察し、代わりに答える。
「基本的に冒険者はギルドが発注した依頼しか受けませんが、指定依頼なら話は別です。冒険者を依頼者側が指定し、相手側も承諾した場合はギルドを通さずとも依頼を引き受けられますよ。但し、その場合は完全に自己責任になりますけど」
「そうなのか……知らなかった」
「何で冒険者の貴方が知らないんですか……」
ゴンゾウの言葉にアイリィは呆れるが、彼女の話を聞いたレナは先ほど魔道具店で購入した収納石のブレスレットに掌を翳し、早速ジャンヌから受け取った謝礼金を小分けした金貨袋を取り出し、中身を確認してゴンゾウに取引を行う。
「じゃあ、今からゴンちゃんに指定依頼を申し込むよ。俺達と一緒にちょっと伝説の大蛇を一狩りしてくれない?」
「……?」
――レナの言葉にゴンゾウは首を傾げるが、詳しい話を聞いた彼は非常に驚愕し、他種族とは言え、他国でも有名だった戦姫が毒に侵され、それでも自分の配下の青竜騎士団を救うために人員を集め、伝説の大蛇であるバジリスクの討伐を行おうとしている話に彼は感動し、進んで自分も討伐隊の面子に咥えて欲しい事を伝える。
だが、ゴンゾウは冒険者なのでレナは依頼という形で彼を雇い、先に褒賞金の前金を手渡す。この資金で彼に防具と武具を整えるように告げると、最初はゴンゾウも断ろうとしたが、これからバジリスクという化物と共に戦う人間の装備が頼りなかったら困るのはレナ達の方であり、彼を説得して装備を整えるように助言を行う。
結局、ゴンゾウは仕方なく前金を受け取り、レナ達に感謝しながら新しい装備を整える。巨人族用の武器と防具は限られており、店を出てきた時には彼は背中にいつもの鍬ではなく、純銀製の棍棒を掲げて出て来た。
「すまない……待たせたな」
「お帰り……なんだか外見はあんまり変わっていないように見えるけど」
「そうでもない。銀製の鎖帷子と丈夫なブーツを購入した」
「鎧とかは買わなかったんですか?」
「武器を振る時、重すぎる装備は負担になる。今の俺にはこれぐらいが丁度良い」
装備を整えたゴンゾウは満足そうに頷き、これで農具の鍬を使用して戦う必要は無くなり、レナ達も装備を整える。アイリィは防具の代わりに新しい魔術師のローブを購入し、コトミンは念のために結界石が取り付けられた腕輪を装着し、レナの方は幸運のスキルを強化するペンダントを身に着ける。
これで新しい仲間と装備を入手した事になり、レナ達はバジリスクの討伐のために準備を行っているジャンヌから連絡が訪れるまで治療院に待機する事に決めた。
「へえ……色々あるね。だけど、俺はローブぐらいしか着ないかな……」
「基本的に魔術師の職業は運動能力が低いですからね。動きやすい服装の方が向いていると思いますよ」
「むうっ……レナは鎧姿でも格好いい」
「ありがとね……この退魔のローブより良いのはあるかな?」
「まずは一通り回ってみましょうか。気になるのがあれば私に……あれ?あの大きい人はゴンゾウさんじゃないですか?」
アイリィの言葉にレナとコトミンは視線を向けると巨人族用の防具のコーナーに見知った顔が存在し、ゴンゾウが羨ましそうに大盾が収められた硝子棚を覗き込んでおり、彼は財布用の小袋を取り出して中身を除くと溜息を吐きだし、残念そうにその場を立ち去ろうとするとレナ達に気付く。
「む?そこにいるのは……レナか」
「久しぶりゴンちゃん!!ゴンちゃんも買い物?」
「いや……俺の合う防具がないのか探していたんだが、どれも高くて買えない」
「そうなんだ……」
レナはゴンゾウが覗き込んでいた大盾の値段を確認すると確かに中級冒険者が購入できるような代物ではなく、あまり金銭に余裕がないゴンゾウは仕方ないので防具を諦めて新しい武具を買う為に移動する。そんな彼にレナは咄嗟にお金を貸そうかと声を掛けようとしたが、ある名案を思い付いた。
「あ、そうだ……待ってゴンちゃん!!」
「ん?何か用か?」
「あのさ、冒険者ギルドに頼まずに冒険者に依頼を申し込む事は出来るかな?」
「……何故だ?」
唐突なレナの質問にゴンゾウは呆気に取られるが、アイリィが彼の考えを察し、代わりに答える。
「基本的に冒険者はギルドが発注した依頼しか受けませんが、指定依頼なら話は別です。冒険者を依頼者側が指定し、相手側も承諾した場合はギルドを通さずとも依頼を引き受けられますよ。但し、その場合は完全に自己責任になりますけど」
「そうなのか……知らなかった」
「何で冒険者の貴方が知らないんですか……」
ゴンゾウの言葉にアイリィは呆れるが、彼女の話を聞いたレナは先ほど魔道具店で購入した収納石のブレスレットに掌を翳し、早速ジャンヌから受け取った謝礼金を小分けした金貨袋を取り出し、中身を確認してゴンゾウに取引を行う。
「じゃあ、今からゴンちゃんに指定依頼を申し込むよ。俺達と一緒にちょっと伝説の大蛇を一狩りしてくれない?」
「……?」
――レナの言葉にゴンゾウは首を傾げるが、詳しい話を聞いた彼は非常に驚愕し、他種族とは言え、他国でも有名だった戦姫が毒に侵され、それでも自分の配下の青竜騎士団を救うために人員を集め、伝説の大蛇であるバジリスクの討伐を行おうとしている話に彼は感動し、進んで自分も討伐隊の面子に咥えて欲しい事を伝える。
だが、ゴンゾウは冒険者なのでレナは依頼という形で彼を雇い、先に褒賞金の前金を手渡す。この資金で彼に防具と武具を整えるように告げると、最初はゴンゾウも断ろうとしたが、これからバジリスクという化物と共に戦う人間の装備が頼りなかったら困るのはレナ達の方であり、彼を説得して装備を整えるように助言を行う。
結局、ゴンゾウは仕方なく前金を受け取り、レナ達に感謝しながら新しい装備を整える。巨人族用の武器と防具は限られており、店を出てきた時には彼は背中にいつもの鍬ではなく、純銀製の棍棒を掲げて出て来た。
「すまない……待たせたな」
「お帰り……なんだか外見はあんまり変わっていないように見えるけど」
「そうでもない。銀製の鎖帷子と丈夫なブーツを購入した」
「鎧とかは買わなかったんですか?」
「武器を振る時、重すぎる装備は負担になる。今の俺にはこれぐらいが丁度良い」
装備を整えたゴンゾウは満足そうに頷き、これで農具の鍬を使用して戦う必要は無くなり、レナ達も装備を整える。アイリィは防具の代わりに新しい魔術師のローブを購入し、コトミンは念のために結界石が取り付けられた腕輪を装着し、レナの方は幸運のスキルを強化するペンダントを身に着ける。
これで新しい仲間と装備を入手した事になり、レナ達はバジリスクの討伐のために準備を行っているジャンヌから連絡が訪れるまで治療院に待機する事に決めた。
感想 263
あなたにおすすめの小説
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~
白い彗星世界を救った勇者、彼はその力を危険視され、仲間に殺されてしまう。無念のうちに命を散らした男ロア、彼が目を覚ますと、なんと過去に戻っていた!
もうあんなヘマはしない、そう誓ったロアは、二度目の人生を穏やかに過ごすことを決意する!
とはいえ世界を救う使命からは逃れられないので、世界を救った後にひっそりと暮らすことにします。勇者としてとんでもない力を手に入れた男が、死の原因を回避するために苦心する!
ロアが死に戻りしたのは、いったいなぜなのか……一度目の人生との分岐点、その先でロアは果たして、穏やかに過ごすことが出来るのだろうか?
過去へ戻った勇者の、ひっそり冒険談
小説家になろうでも連載しています!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!
克全東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。
アルファポリスオンリー
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさんパーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。