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戦姫編
黒色の魔法書
陽光教会に世話になっている間、レナは早朝に起きると朝食の前にワルキューレ騎士団の訓練に参加する。最も職業が騎士の彼女達と魔術師の職業のレナでは身体能力や体力に大きな差がある為、基礎訓練しか付き合えないため、早朝に行われるマラソンにだけ付き合っていた。
「レナ様!!少し遅れていますよ!!頑張ってください!!」
「いや、あの……何で鎧付けて走るんですか?」
「それが訓練ですから!!」
ワルキューレの女騎士達と共にレナは鎧を身に着けて彼女達と移動を行い、それ程長い距離ではないのだが聖属性の魔法や他の能力による身体強化を行わず、自力だけで走る必要がある為、身体に大きな負担が掛かる。しかも女騎士達の鎧は動きやすさを重視して露出度が多い鎧なのだが、彼の場合は王城の兵士のように腕鉄甲、兜、鎧を身に着けており、彼女達以上の負担が押し掛かる。
それでも女騎士達の後に付いていけるのはレナが副職に「格闘家」の職業を習得しているからであり、この職業は運動能力が高く、体力も身に着けやすい職業であり、最初の頃は周回遅れで女騎士達の背中を追いかけていたが、今現在のレナは最後尾ではあるが周回遅れで追い抜かれる事は無くなった。
「お~しっ!!最後尾の奴は最後に1周追加するよ!!但し、レナだけは最後の半周は聖属性の付与魔法を10秒だけ使っていいよ!!」
「え、マジすか?」
「ふ、副団長!?」
「いかん!!全員速度を上げろっ!!」
「あ、待てっ!!」
先頭を走っているテンの言葉に他の団員達が顔色を変え、その一方でレナは聖属性の付与魔法を使用できれば一気に身体能力を上昇させる事が出来るため、彼女達に追いつくために必死に走る。最後尾の人間が追加の1周のため、レナ自身も彼女達に追い付けなければ1周しなければならない。
「おいレナっ!!もう魔法を使っていいよ!!」
「よし!!聖属性!!」
「ちょ、団長!?」
「やばい、追いつかれる!?」
「あっはっはっはっ!!やっぱりルール変更だ!!レナに追い抜かれた奴はもう1周追加だ!!」
『ええ~!?』
テンの発言に女騎士達は悲鳴を上げ、その一方でレナは加速して一気に距離を縮める。先頭集団の中で余裕があるのはテンだけであり、彼女は豪快な笑い声を上げながら走り抜ける。
――数分後、レナとテンだけは息を荒げながら陽光教会を走り続ける団員に視線を向け、水を飲む。テンの場合は豪快に井戸水の桶を頭に被り、ポチ子のように身体を震わせて水飛沫を振り払う。
「ぷはぁっ!!全く、情けない奴等だね。魔術師に追いつかれるなんてだらしない奴等だよ」
「なんでテンはそんなに余裕なんですか」
「地力が違うんだよ。あんたみたいな若造に負ける程落ちぶれていないよ」
「そうですか……」
「それと今日は魔法の強化は認めたけど、明日からはあんたも自力で走り抜きな。当面の目標はあいつ等に鎧有りでも完全に追い付く事だね」
「分かりました……あれ、そう言えばポチ子は?」
「あのワン子はヨウカ様の部屋で眠りこけているよ。全く、団員というよりは完全にペットみたいな扱いだね……まあ、そこが可愛いんだけどね」
「え?」
「さあ、飯の時間だよ。ほら行くよ」
レナはテンと供に早朝の走り込みを終え、朝食を行うために食堂に向かう――
――昼の時間帯は基本的にレナは特定の行動は取らず、偶にヨウカとポチ子の遊び相手を行ったり、アイリィとコトミンと共に回復薬の製作を手伝ったり、ミキから魔物の知識を教わったり、テンとワルキューレ騎士団の訓練を受けたり、もしくは付与魔法の熟練度を上昇させるための訓練を行う。
だが、今回の彼は自室に引き籠り、今までに使用した魔法書の整理を行い、中身の内容を確認して本の主人公達の戦法を学んだり、彼等がどのような相手と遭遇して命を落としたのを何度も確認する。付与魔法の魔法書の主人公は当たり前だが付与魔術師の職業の人間であり、彼等の生き様をしっかりと記憶に刻むようにレナは幾度も魔法書を読み込む。
「うわ……この人、サキュバスに殺されたのか。でも相打ちに持ち込んだのは凄いな」
魔法書の中には男女の行為の最中に正体を現したサキュバスに襲われた男が死の間際に相手の肉体に付与魔法を施し、相手を火達磨にして道連れにしようとしたが、身体を密接させていた自分も火達磨になり、死亡した人間も存在する。かなり間抜けな死に方だが、レナ以外に付与魔法を生物に施す方法を見つけた人間も存在し、付与魔法の実用性に気付く人間も少なからず存在した。
この帝国領内では付与魔術師は不遇職として扱われているが、実際には他国には希少な職業として重宝されている国も存在し、レナが別の国で召喚されていた場合は好待遇で迎え入れた可能性もある。それでもレナが帝国に召喚されなければコトミン達と遭遇する事は無かったため、その点では彼は幸運だったのかも知れない。
「あれ?何だこの本……あ、間違って持ってきちゃったのか!?」
本棚に付与魔法の魔法書を差し込んでいると、レナは表題が刻まれていない黒色の表紙の書物を発見し、魔道具店で他の魔法書と共に用意されていた書物である事を思い出し、間違って収納石に回収して持ち帰ってしまった。慌てて彼は魔道具店に返却するために書物を収納石に戻そうとした時、扉がノックされてアイリィの声が響き渡る。
『レナさ~ん。あの不愛想な鍛冶屋のおじさんから届け物が届いていますよ~』
「え?あ、分かった!!」
彼女の言葉にレナは返事を返し、書物を収納石に戻す事を忘れて本棚に戻してしまい、部屋の外に移動してしまう。
「レナ様!!少し遅れていますよ!!頑張ってください!!」
「いや、あの……何で鎧付けて走るんですか?」
「それが訓練ですから!!」
ワルキューレの女騎士達と共にレナは鎧を身に着けて彼女達と移動を行い、それ程長い距離ではないのだが聖属性の魔法や他の能力による身体強化を行わず、自力だけで走る必要がある為、身体に大きな負担が掛かる。しかも女騎士達の鎧は動きやすさを重視して露出度が多い鎧なのだが、彼の場合は王城の兵士のように腕鉄甲、兜、鎧を身に着けており、彼女達以上の負担が押し掛かる。
それでも女騎士達の後に付いていけるのはレナが副職に「格闘家」の職業を習得しているからであり、この職業は運動能力が高く、体力も身に着けやすい職業であり、最初の頃は周回遅れで女騎士達の背中を追いかけていたが、今現在のレナは最後尾ではあるが周回遅れで追い抜かれる事は無くなった。
「お~しっ!!最後尾の奴は最後に1周追加するよ!!但し、レナだけは最後の半周は聖属性の付与魔法を10秒だけ使っていいよ!!」
「え、マジすか?」
「ふ、副団長!?」
「いかん!!全員速度を上げろっ!!」
「あ、待てっ!!」
先頭を走っているテンの言葉に他の団員達が顔色を変え、その一方でレナは聖属性の付与魔法を使用できれば一気に身体能力を上昇させる事が出来るため、彼女達に追いつくために必死に走る。最後尾の人間が追加の1周のため、レナ自身も彼女達に追い付けなければ1周しなければならない。
「おいレナっ!!もう魔法を使っていいよ!!」
「よし!!聖属性!!」
「ちょ、団長!?」
「やばい、追いつかれる!?」
「あっはっはっはっ!!やっぱりルール変更だ!!レナに追い抜かれた奴はもう1周追加だ!!」
『ええ~!?』
テンの発言に女騎士達は悲鳴を上げ、その一方でレナは加速して一気に距離を縮める。先頭集団の中で余裕があるのはテンだけであり、彼女は豪快な笑い声を上げながら走り抜ける。
――数分後、レナとテンだけは息を荒げながら陽光教会を走り続ける団員に視線を向け、水を飲む。テンの場合は豪快に井戸水の桶を頭に被り、ポチ子のように身体を震わせて水飛沫を振り払う。
「ぷはぁっ!!全く、情けない奴等だね。魔術師に追いつかれるなんてだらしない奴等だよ」
「なんでテンはそんなに余裕なんですか」
「地力が違うんだよ。あんたみたいな若造に負ける程落ちぶれていないよ」
「そうですか……」
「それと今日は魔法の強化は認めたけど、明日からはあんたも自力で走り抜きな。当面の目標はあいつ等に鎧有りでも完全に追い付く事だね」
「分かりました……あれ、そう言えばポチ子は?」
「あのワン子はヨウカ様の部屋で眠りこけているよ。全く、団員というよりは完全にペットみたいな扱いだね……まあ、そこが可愛いんだけどね」
「え?」
「さあ、飯の時間だよ。ほら行くよ」
レナはテンと供に早朝の走り込みを終え、朝食を行うために食堂に向かう――
――昼の時間帯は基本的にレナは特定の行動は取らず、偶にヨウカとポチ子の遊び相手を行ったり、アイリィとコトミンと共に回復薬の製作を手伝ったり、ミキから魔物の知識を教わったり、テンとワルキューレ騎士団の訓練を受けたり、もしくは付与魔法の熟練度を上昇させるための訓練を行う。
だが、今回の彼は自室に引き籠り、今までに使用した魔法書の整理を行い、中身の内容を確認して本の主人公達の戦法を学んだり、彼等がどのような相手と遭遇して命を落としたのを何度も確認する。付与魔法の魔法書の主人公は当たり前だが付与魔術師の職業の人間であり、彼等の生き様をしっかりと記憶に刻むようにレナは幾度も魔法書を読み込む。
「うわ……この人、サキュバスに殺されたのか。でも相打ちに持ち込んだのは凄いな」
魔法書の中には男女の行為の最中に正体を現したサキュバスに襲われた男が死の間際に相手の肉体に付与魔法を施し、相手を火達磨にして道連れにしようとしたが、身体を密接させていた自分も火達磨になり、死亡した人間も存在する。かなり間抜けな死に方だが、レナ以外に付与魔法を生物に施す方法を見つけた人間も存在し、付与魔法の実用性に気付く人間も少なからず存在した。
この帝国領内では付与魔術師は不遇職として扱われているが、実際には他国には希少な職業として重宝されている国も存在し、レナが別の国で召喚されていた場合は好待遇で迎え入れた可能性もある。それでもレナが帝国に召喚されなければコトミン達と遭遇する事は無かったため、その点では彼は幸運だったのかも知れない。
「あれ?何だこの本……あ、間違って持ってきちゃったのか!?」
本棚に付与魔法の魔法書を差し込んでいると、レナは表題が刻まれていない黒色の表紙の書物を発見し、魔道具店で他の魔法書と共に用意されていた書物である事を思い出し、間違って収納石に回収して持ち帰ってしまった。慌てて彼は魔道具店に返却するために書物を収納石に戻そうとした時、扉がノックされてアイリィの声が響き渡る。
『レナさ~ん。あの不愛想な鍛冶屋のおじさんから届け物が届いていますよ~』
「え?あ、分かった!!」
彼女の言葉にレナは返事を返し、書物を収納石に戻す事を忘れて本棚に戻してしまい、部屋の外に移動してしまう。
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